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人の印象とその実『ジャック・オ・ランタン』より

10月31日、ハロウィンといえば何を思い浮かべるでしょう。
お菓子。仮装。パーティー。お化け。
色々あると思いますが、かぼちゃを顔の形にくり抜いた中でロウソクを灯したものを浮かべた人もいるんじゃないでしょうか。

基本的には怖い表情が多いイメージですが、中には可愛いものや何かの人気キャラクターを模したものもよく見る気がします。
名前は『ジャック・オ・ランタン』
”ハロウィンといえば”とも言える風物詩のような存在ですね。
その”ランタン”の名の通り手提げランプですが、それ以上にそれそのもの自体が生命を宿した生き物や化け物のようにも見えます。
ハロウィンのイメージとも結びつけると、お菓子をあげないと襲ってくる…みたいな。
脅かすというよりは、その鋭くギザギザした口で食べられてしまう…みたいな。
そういう恐ろしい感じ。

でもふとジャック・オ・ランタンについて調べたら全く逆の印象になってしまいました。
関係する逸話はいくつもあるようですが、その中で調べた時に一番多く出てきたのは『鍛冶屋のウィル』というお話です。

普段の行いが悪かったウィルは死後”天の国の鍵”の番人であるペトロから地獄行きを命じられますが、言葉巧みな彼はペトロを説得し、もう一度生まれ変わることに成功します。
しかし転生した後の人生でも極悪人となってしまい、その再びの死後ペトロに激昂され、今度は天国にも地獄にも行けず、煉獄の暗闇の中で永遠と彷徨うことになります。
そんな彼を哀れんだ悪魔から燃える石炭を受け取り、それを拾いくり抜いたカブの中に入れランタンにしたものを持って今も彷徨っている。

その姿がジャック・オ・ランタンとなったとされています。

僕が持っていたのは、暗闇の中旅人をわざと迷わせるお化けというイメージでしかなかったので(そういう言い伝えもありますが)、一人暗闇の中を彷徨っているというお話を知ってからなんだか少し愛らしい存在のように思えるようになりました。
ただ”暗闇の中旅人をわざと迷わせる”というイメージは具体的な逸話を読んで持ったものではなく、「ハロウィン」「怖い表情」「怪しげな灯り」「お化け」といういくつものキーワードが僕の中で作り上げていったものです。
例えば「リーゼント」「着崩した学ラン」「傷のついた頰」「ペチャンコな学生鞄」の少年を不良だと思っていたら、後をつけてみたら雨の中優しい表情で子犬を拾っていた、的な感じです。

人はやっぱり表面上では理解できません。
単純に容姿ということだけではなく、言葉遣いとか人当たりとか、そういうものも含めてです。
僕はライブ会場で「あまり笑わない」とか「近寄りがたい」とか言われることがありますが(言われないことの方が多いと換算するとすごくたくさんの人にそう思われているのかもしれない…)、実際は喋り始めると止まらないですし、意外にたくさん笑います。
案外可愛らしく笑います。(これは個人差があります)



だから人のことを外見から判断するな…ということが言いたいのではありません。
逆に表面の部分で近寄りがたいのであれば、やっぱりその人は”近寄りがたい”でしかないのだと僕は思います。(自分のことです)
ジャック・オ・ランタンはもしかしたら旅人を迷わせたいのではなく、自分自身暗闇の中を迷っている中で同じような旅人に出会い、一緒にただ彷徨っているだけなのかもしれません。
でもその実とは関係なくやっぱり外見はお化けでしかないし、旅人を迷わせてしまっているという事実が変わるわけでもありません。
だからやっぱりジャック・オ・ランタンは怖い存在になってしまっても仕方ない。

でもその存在に対して一歩踏み込んだ時に、自分の好きなものや人が増えることがあるのも事実です。
時には勘違いで嫌いになってしまったものも180度変わることがある。
嫌いな食べ物になってしまったものをもう一度口に運ぶことは簡単ではありませんが、そんなことを信じてアプローチできるようになりたいなと改めて思いました。


そして”近寄りがたい”自分を変えることの必要性もね。(ぼちぼち頑張ります)

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