野島健太郎と言う偉大な音楽家の訃報を知り打ちのめされる中、軽率きわまりない「フェミサイド」の使われ方を嘆き・善意の暴走が多くの弱者の口をふさいでいることについて考えてみる。

 さて、また少し間が空いてしまいました。

 いろいろと書こうとしては行き詰まり…を繰り返しつつやってきています。

 先週末になり、音楽家(というよりご本人が名乗ってたパンクロッカーと言うべきかも)の野島健太郎さんが、3月29日に亡くなられていたのを今更になって知り、ショックで文章考えるどころではなくなっていました…なんで、4ヶ月以上経って知ることになったんだろうか…と。その部分・早々に知ることの出来なかった自分の情けなさがショックで…。


https://www.facebook.com/kentaro.nojima/posts/3824675140919146

https://www.facebook.com/kentaro.nojima/posts/4163679930351997

 彼…私は「野島さん」といつも呼んでました…とは、1990年代前半にまだ西新宿にあった新宿LOFTなどのライヴハウスで仲野茂BANDのギター・キーボード担当としてよく活動をされていたときに私がバンドのファンだったご縁もあって、その後も主にネットを通じてのお付き合いがありました。

https://rooftop.cc/loftarchives/shinjuku/

 少し思い出話を書いておくと、当時、同じパンク好きの友人でS君という方がいて、彼は90年代の後半にギター製造の会社に就職した縁でインドネシアのバリに移り住み、その後退社されて定住するんですが(名前書いてもいいのかも知れないけどとりあえずイニシャルだけで)、彼が野島さんと同じくデュカティなどのバイクが好きだった辺りのつながりから野島さんと私をつないでくださった。と言う事があったのです。

 仲野茂BAND自体は96年くらいに解散したのですが、その後ご縁ができて、00年代には野島さんが初台のDOORS(今は改装して絵がなくなってるかも知れませんが、ステージに行く階段や室内に、奈良美智さんの大きな壁画が描かれてる所でした…多分、奈良美さんがブレークする前に描かれた)などで主催してたライブに呼ばれて見に行ったり、当時色々と凄まじいことになって荒れ果ててもいた私の私生活を心配して頂いてちょくちょく短いメールなど頂いたりしてて…彼は「ロック村の馴れ合い体質についてけない」と当時言ってて、ステージミュージシャンとしての仕事を殆どしなくなってて映画とかVシネマとかの音楽を中心にやられてたのですが、2011年の東日本大震災を契機に被災地に慰問に行くようになり、そこで出来たいろいろな人のご縁もあって、確か2013年か14年に福島市に移住されて、その後は映画やVシネマや演劇の音楽をやるために東京と往復して仕事しつつ、福島市や会津若松市などのジャズ喫茶やライヴハウスで時折ライブ活動をされていました。

https://www.livewalker.com/web/detail/2298

https://www.youtube.com/playlist?list=PLNaZI-ijKk1jrdwVi7WS_skFBmQcSqvfV

 そして、昨年頭か一昨年くらいに、体調を崩されて緊急入院されたと書かれてて…その後も闘病しつつライブ活動や音楽制作も精力的にこなされていました。が、病状が悪化し、ご兄弟などのフェースブックによると、今年の2月に抗癌剤治療を諦めて終末期医療を行っていたようです。

 私が最後に彼とお会いしたのは、2016年だったかの初夏に、ちょうど子供の中学校での用事を済ませたあとで気まぐれで行った官邸前の反原発デモ集会で、国会議事堂の駅を出た時にばったり出くわして「よう!太田か!元気でやってるか!」って声をかけられて…立ち話で五分くらい世間話して…それが最後でした。

 世間に名前が知られてるような方ではないのですが、ARBやシーナ・アンド・ザ・ロケッツのサポートメンバーをやっていたりなど演奏力もセンスも物凄く素晴らしくて、80年代以降の日本のロックを語る上では欠かせないような凄い方だったと思います。

 彼ともう少し色々とお付き合いの機会が欲しかったです。本当に惜しい方が逝かれてしまいました。

 合掌。

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メンタリストDaiGoのホームレスや生活保護への憎悪扇動動画が起こした、深刻なインパクト。

 さて、この一ヶ月間も、本当にたくさんのことがありました。

 メンタリストを名乗ってるYouTuberのDaiGo氏(竹下登のお孫さんでタレントのDAIGOさんと間違えやすくて紛らわしいですが、別人です)が、生活保護や福祉を受けてる人たちやなどに対して物凄い憎しみに満ちた物言いをして「不要論」を言う動画を出して、猛烈な非難を浴びた上で動画を削除して…その後も、特に貧困問題を長年やられてる方々からも批判が相次いで、「このような物言いをする人間は一発アウトで社会的に葬るべきだ」といつもは穏健なことしか言わない稲葉剛氏に言わしめてしまうところまでなってしまってるわけです。

https://mainichi.jp/articles/20210814/k00/00m/040/095000c

 既に、DaiGo氏がコラボしてた企業から契約を打ち切られたりなどしてて、ある程度の社会的制裁を受けてることはありますが、そこは完全に棚上げしてでも言わないといけないのは、反貧困を掲げる人達が、このような形で「一発アウトで社会的に葬るような状況を作らないといけない」という言葉に手を出した事自体に、物凄い危機感を覚えています。

https://magazinehack.com/daigo3

「発言故に社会的に葬る」事で、見えなくされていた”弱者”がなおさら口を塞がれる方向に向かうのではないか。

 確かに、それで救われる人や危害を加えられるのから守られる人とはいるでしょう。

 でも、言葉を封じて・特定の人への制裁や特定の物言いを声高に要求してそれがまかり通る状況で「救われる」人よりも、救われずに却って口をふさがれてしまい何も出来なくされる・社会からないものにされてしまう弱い人たちや苦しんでるヒトたちの方が圧倒的に多くなると思うんです。それは、彼らが取り組んでる貧困や病気や障害などを抱えて福祉の世話になるよりない人達であっても。というより、そういう人達の大半が、この手の「キャンセルカルチャー」の影響で社会から「いないこと」にされてしまいかねなくなる。
 今の貧困問題に関わってる運動の皆さんは、たしかにこの状況下ですごく頑張ってるのは確かなのですが、弱者的な意味で困ってる人・苦しんでる人たちの僅かな部分しか拾えてないと思いますし、多くの人達がどうすればいいのか見失ってる中で誰からも苦難を知ってもらえず・助けも得られずに黙るしかなくなってる訳で…。

 元から声が大きな一部の「弱者」の人たちと・社会運動などに「拾って」もらえるような幸運を得たり人のつながりでそうできた人たちの発言力が大きくなるにつれて、「弱者」とはこういうものなんだ。他の「弱者」を名乗ってる人たちは「エセ弱者」だと思われたり・そもそも存在自体が社会から無視され続けたりするのが、より酷くなってしまう。と言うのは、本当に大昔から日本に限らず多くの国で繰り返し起きてる訳ですよ。

 声の大きな人たちでもなく・ある種の運動や政治の決めた基準から外れるがために「無視」されたり「悪者」と決めつけられ続ける人達が、物凄く沢山いる。

メンタリストDaiGoや西村博之などが言う「弱者敵視論」と左派リベラルが無意識にやってる「弱者を選別する」行為は双子のようなものではないか。

 そして、メンタリストを名乗ってる件のYouTuberの動画や西村博之が最近煽ってるような「生活保護ヘイト」「福祉ヘイト」と言う物は、そういう「弱者の身勝手な選別」と言う意味で、双子のようなものだと思うんです。

 「救うべき」人や物が違ってるだけで、そういう身勝手な選別を行ってしまってる。

 反貧困の運動の人たちは、その事を忘れてしまってるのではないか。

 メンタリストを名乗ってる件のYouTuberの動画に対して「一発アウトだから社会から退場しろ。今後同じ様な発言をしたら一発アウトで社会から排除できる仕組みを作るべきだ」と言う稲葉さんの発言は、気持ちはすごくわかります。私だって、感情の部分ではそういう考えになりかけてしまう。

 でも、それを実際に言ってしまったら、おしまいなんですよ。

 「自分たちには見えない・自分たちが認めない”弱者”が今より更に声を上げられず・透明にされて無視され救われなくなるような社会を望んでます」っていうふうに言ってしまうのと、同じになってしまう。最低でも結果論としては。

 どうか、良心のある皆さんで、こういう発言をされたり社会的に要求したり・記事を書かれた方々は、今からであってもそれを撤回して頭を冷やしてほしい。と私は思います。

8月7日の小田急線・無差別刺傷事件を「フェミサイド」(女性への憎悪犯罪)だと主張する流れ。

 大体10日くらい前・8月7日に、小田急線の車内で無差別通り魔事件があり、10人ほどがケガをしました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/122741

https://bunshun.jp/articles/-/47811

 この事件では、容疑者が捕まった直後に警察に「幸せそうな女なら誰でもいいから殺したかった」と言う供述をしたと報道がされ、その後それが正確な中身でなくて「幸せそうなカップルや人々」全般に対してのことだったのが翌日くらいには既に報道されてたのですが、時既に遅し。「女なら誰でもいいから」と言う部分がすぐに独り歩きして、「これはフェミサイドだ!許せない!」と言う言葉がネット中で飛び交うだけでなく、フェミニズムを掲げる運動の人達が一気に「フェミサイド許すな」って動き出しちゃったんですよね。

https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201707_post_13919/

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66427

https://ameblo.jp/acchohime/entry-12691047309.html

https://togetter.com/li/1755801

https://togetter.com/li/1757856

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