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浮世絵には色んな○絵がある

 今回は題名の通り、浮世絵についてのお話。そして、浮世絵の書籍「世界でいちばん素敵な浮世絵の教室」を読んだ感想、論考についてです。

参考 : 世界でいちばん素敵な浮世絵の教室    岡部昌幸



それはさておき、私の名前ですが
遅咲弓里(おそざき ゆみり)と言います。
とにかく、私は遅咲きなことが多いです。何かを始めたての時、物事を進める要領は遥かに劣りますが、思考すること、分析・観察が好きなので時間はかかりますが音楽や美術の分野で夢中になると屈強です。気がつくと周囲よりも追い越しちゃうことが多々あります。という意味でも遅咲きです。

さて、本題の「浮世絵には色んな○絵がある」ということですが、一括に浮世絵は浮世絵じゃないの?と思われがちです。しかし、浮世絵は今でいうグラフィックデザイン的な役割を果たしていました。ポスターや旅行のガイドブックの絵など、目的や需要によって描かれる主題がかなり広いため、様々な○絵・○画という括りに分けられます。
しかし、それが教科書で習ったところの話とごちゃ混ぜになって、結局浮世絵って何?っていう次第になると私は思います。
今回はわかりやすく、浮世絵の中でも様々な○絵・○画があるよということを執筆いたしました。

まずは、皆さんがすぐに思い浮かべるものはこちらだと思います。典型的な役者絵、そして風景画です。
また役者絵には、下のような「大首絵」と呼ばれるモデルの半身像や胸像をアップで描いたものが多々あります。役者の表情、遊女の美貌をよく見せようとするためです。ポスターとしてはとても見栄えがしますね。

みかけハこハゐがとんだいゝ人だ   歌川国芳 
神奈川沖浪裏     葛飾北斎
日本橋 朝之景     歌川広重

これらの名画は、一目見ただけで日本の趣や風情を一気に感じられると思います。日本画といえばこれ、とも言えるような作品たちではないでしょうか。高値が付きそうな気がしますが、描かれた当時(江戸時代)ではかけそば1杯ほどの値段(現在の貨幣価格でいえば数百円程度)で買えたとのこと。
しかし、このような役者絵、風景画だけでなく浮世絵にはもっと知られざる種類の"○絵"があります。
浮世絵の「浮世」の語源は「浮生」、「憂世」、「浮世」(自然を受け入れる人生観、末法思想、風俗的題材)と言われるように多様な意味を持ちます。それらの意味のとおり、浮世絵は生活のあらゆる場所で、多様な目的で量産されました。遊里の遊女の美人画、アイドルやスターの写真、ポスター、おもちゃやおまもりのイラスト、新聞の挿絵などです。かなり広範囲に世俗的なツールとして使われていたようですね。
しかし、浮世絵が誕生したのは江戸時代に入ってからというもの。しかも大正12年の関東大震災を機に、完全に版元制度が破壊され浮世絵は世に無き存在となってしまいます。江戸の一世を風靡した絵とも言えそうですね。

やっとですが、下記からは本題に入ります。浮世絵の様々な○絵・○画について、種類別で6項目にまとめてみました。実はこれ以外にも沢山存在しますが、特に私が興味を持ったものだけを書かさせていただきました。

【①美人画】

美人画は主に、遊郭に佇む遊女が描かれています。当時の遊女は単なる客商売だけではなく、江戸のファッションリーダー的存在として注目を得ていました。現代の人気アイドルやグラビアモデルといった側面も持っています。
また切れ長の目や細面、下膨れした顔は当時の理想の美人像とされ、同時期の絵師たちはこぞってそれを模倣したことで、美人画は皆、同じような顔なのです。しかし、顔は今ひとつ変化がないものの、頭身は時代が進むにつれて変わっていきました。江戸時代中期には6.5~7頭身が流行しましたが、天明年間に入ると8頭身、さらに寛政年間は12頭身の美人画が人気を集めたそうです。(下2枚目の絵)

当時三美人    喜多川歌麿
美南十二候 九月 漁火    鳥居清長

【②相撲絵・武者絵】

相撲は古代からありますが、江戸時代当時は観客が見て楽しむ娯楽スポーツとしてよく親しまれていました。相撲絵は役者絵と同じく、スターのブロマイド的な役割で描かれています。
また、武者絵は歴史、伝記などに登場する武将や英雄を鮮烈な色彩で描いており、なんとも躍動感溢れる錦絵です。(錦絵とはカラー版の浮世絵のことを一挙に言う)

通俗水滸伝豪傑百八人之一個 浪裡白跳張順  歌川国芳
通俗水滸伝豪傑百八人之一個 船火児張横  歌川
勧進大相撲土俵入之図    歌川国芳
赤澤山大相撲    歌川国芳

歌川国芳の絵は特に、貴族から一般庶民まで大衆に幅広く人気だったようです。構図やいきいきとした線などに技術の高さを感じます。それも納得というところです。

【③見立て絵・物語絵】

見立て絵は歴史上の出来事や故事・古典などを題材にする代わり、同時代の人々が理解しやすいように当時風にアレンジを加えた絵です。
それに対し、物語絵は日本の昔話や中国の古典などを題材にした浮世絵です。この頃から、絵のアレンジ・リメイクを試みていたなどと知ると、面白いものがありますね。

見立佐野の渡り  鈴木春信
源氏物語    歌川広重

【④戯画・花鳥画・判じ絵】

これらは説明すると言うよりかは写真を見てもらえれば直球にわかると思います。判じ絵に関しては絵を見て答えを当てるクイズとして、市民の間で楽しまれたようです。
また花鳥画は、もともと皇族や貴族が楽しまれるものでしたが浮世絵自体が版画なので量産が可能になります。そのために、庶民の元へ多くの花鳥画が量産されるようになりました。

猫の当字 かつを  歌川国芳
牡丹に蝶   葛飾北斎
菊に虻   葛飾北斎
芙蓉に雀   葛飾北斎

葛飾北斎といえば風景画ですが、花鳥画に関してもどの作品を見るかぎり繊細で几帳面な筆遣いが見受けられます。私は、北斎の富嶽三十六景や長大判花鳥図などの風景画がお気に入りです。水や空を描くにも直線を多分に使い、デザイン的でありながらリアルさを感じる表現力の高さが見物ですね。

しん板手あそびづくしはんじもの  歌川義兼

【⑤妖怪画】

妖怪画なども絵も人々から注目され、売られていました。(浮世絵は基本的に、地本問屋という書店で売られていたそうです。)芝居との関係も深く、政治的批判を込めた作品もあります。私の見解ですが、幕末から明治初期あたりにはこのような絵が増えていたのだと思います。幕末・維新の動乱期の世相の末法思想から、このような風刺的な浮世絵を描いたものは処罰され、発売禁止になるなどしたそうです。

【⑥揃物】

また、揃物(そろいもの)と呼ばれるものがあります。東海道五十三次や富嶽三十六景などが有名です。シリーズ化して売られた浮世絵ですが、今で言う旅行のガイドブックのようなものです。上記の絵は、日本のいたるところの観光名所が"北斎ブルー"、"広重ブルー"などといったベロ藍をふんだんに使い、美しく描かれています。また、旅行に行く人々が増え、

それまで役者絵や美人画が中心であった浮世絵の世界でも名所絵や街道ものと呼ばれる作品が数多く生み出されました。こちらは私のお気に入りです。

尾州不二見原 『富嶽三十六景』より    葛飾北斎
東海道五十三次之内  庄野    歌川広重

この他にも様々な○絵・○画と呼ばれる多種多様な浮世絵は多くあります。詳しくは本書を読むことをおすすめします。本書には、浮世絵の製法や絵の細部についても詳しく書かれております。ここに記しているのはほんの1部の内容だと思います。

世界でいちばん素敵な浮世絵の教室 
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また、ヒット作は最高で計2万4000枚もの枚数が摺られたりなど、浮世絵は江戸の街を彩る代表的な印刷物だったことがわかります。
今はただの美術品になっていますが、当時はちゃんとしたグラフィックデザインとしての価値がありました。現代でも、"ロゼット 江戸こすめ"のCMに使われていますね。当時のように、グラフィックデザインとして再活用するのも斬新かつ新鮮味がありいいなと思います。


書いてて思ったけど、私は日本画初心者だー...
悔しいなあ...
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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