『らら、るるる』

春、うらら
らららって口ずさんでみても
誰の耳にも届きはしないな
あーだって声が小さい

アスファルト ピンク色をして 
立ちつくす あたしが一番ピンク

ぼんやりしてる鈍痛
どんよりしてる雲
逆さまよりも遥か斜めに
迸った目眩 偏った呼吸

痛いだけの太陽は死ね
君は雪白の月ね

羽根は開かない背中
咽返るように咲いた花弁

ロートーンのサイケデリック

空っぽの真ん中 
部屋の端っこに 積まれたガラクタ
埋もれた水の中 
淀みに浮かぶ 重たいバニラ
あぶく 遊ぶ 憂う 指先と口先
恋と愛 哀哀たる そして夢を見る

この世は最悪よ
でも君が好き

めろめろってして きゅんきゅんってして
どろどろになって しゅわしゅわになって
ゆめゆめないわ きらきらも からからも

でも君が好き

春、うらら
らららって口ずさんでみても
そんなに不幸じゃない
じゃないはずね
死にたいとか生きたいとかあるけれど

縫い目が解けて 言葉が散った

桜、散る
るるるって口ずさんでみても
誰の耳にも届きはしないな
あーだって声が小さい
あーだって頭が痛い

らら るるる るらら らる

本当に言いたいことを口ずさんでみては
誰の耳にも届かないことに安心している
あたしを無視したこの世界に巡り巡ってやってきた
春、うらら




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