記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

フィクサーってやっぱ、fixする人なわけ? ドラマ「フィクサー」を楽しんでます

本日のOP

皆様、おはこんばんちは。

本日のOPは、WOWOWドラマ「フィクサーSeason2 」のスペシャル予告。
私が視聴したのは、BS日テレさんです。
先日最終回が放送されましたが、11月のSeason3の放送が待ち遠しいです。
WOWOW正規ユーザの方は、既にマルっとご存知なのですよね。


Season2の見所

・全幅の信頼を置いていた「丸岡」が、実はスパイ。
・花形女性キャスター「沢村」の意外な野心と、あっさりした引き際。
・民自党幹事長「須崎」の、総理の椅子への執着心と、変わり身の速さ。
・須崎の傀儡である東京都知事「横倉」の、ダメダメ無責任っぷり。
・見せ場もなく設楽に見限られるのは自業自得、初の女性総理「新田」。
・実は設楽の実子と判明、冤罪裁判を耐え抜いた「渡辺」の都知事選出馬。
・無双だったはずの黒幕「本郷」の己の処し方。

親子関係が鍵でした

「フィクサー」は、政治の世界を舞台にしつつも、
入り乱れる人間関係を楽しむドラマです。
シーズン2では、幾つもの親子関係が絡み合っていました。

実子関係

シーズン1の(確か)第2回での、渡辺を観察する設楽の視線の粘着っぷり。
やっぱり実子ですか?と予想してから、
ようやくシーズン2の最終回で渡辺の知るところに。

シーズン1では、渡辺に情報を匿名で流したり。
シーズン2では、裁判の面倒を見たり。
もう、渡辺を意識しまくりのツンデレ初恋女子かよ、と
設楽に突っ込みを入れた方も多いのでは?
いつ明かされるのかと楽しみでしたが、
最終回もそろそろお終い、という最終盤まで引っ張るとは。

しかし、拘置中に30歳に達したのは、都知事選出馬の伏線だったとは。
ようやく親子の名乗りを上げるのね、と
何の疑いも無く前のめりで待ち構えていた私。
最後の最後に思いっきり空振りさせられて、楽しいったら無かったです。

渡辺をホテルの部屋に快く招き入れた設楽。
第1シーズンでは匿名でしか絡んでくれなかった設楽のプライベートに
ようやく足を踏み入れることを許されたと思ったら、部屋には須崎が。
須崎との密談がまとまり、
話を進めるジャストのタイミングで渡辺が登場したから、
招き入れられただけ。

真実を母「響子」に知らされて逸る心で「父」の元に駆け付けたのに、
思いっきり肩透かしされた渡辺。
気持ち、すれ違ってますね。

出馬打診を、暫しの葛藤の後に承諾、須崎と握手する渡辺。
  ♪   権力の椅子の魔性の魅力に陥落されたのか、
  ♫  記者として政治の深部に潜入してやろうという目論見なのか、
  ♬ この提案に乗っかって父の懐に飛び込みたい子供心か。

伏魔の政界泥沼に片足を突っ込んだ渡辺の行く末が、
シーズン3のお楽しみですね。
底無し沼にずぶずぶと飲み込まれる渡辺は、
ドラマとしては物足りないし、個人的にも見たくない。

設楽には、実子渡辺に対する関心はある様子。
しかし、出馬を打診したのは、
・新聞記者としての政治知識
・濡れ衣の逮捕・拘留から復活した不屈の男という話題性
・整った容姿
という3点セットが揃った、黒幕にとっての「使えるコマ」だからだろう。

疑似親子関係 設楽

設楽は志を本郷に与えられた
何かにつけては設楽の前に立ちはだかった黒幕・本郷の幕引き。
ダーティな黒幕は国益のためなら、
命を賭して秘密を守る覚悟を持っていた。
躊躇なく拳銃を顎下に当て発砲、血しぶきが設楽を染める。
制止する暇もなかった。
「誰かが黒幕を引き受けねばならない」との最後の言葉を、
設楽ただ一人に遺して。

これって、血の継承なのだな、と思った。
本郷と設楽に血縁関係は無いのだが、
設楽の政界関与のキッカケは、本郷の言葉。
いわば、設楽も本郷チルドレンの亜種。
接触が一回こっきりだったことが幸いして、
本郷の悪影響は受けずに済んだ。

そして、本郷は自分の死に様を設楽に見せつけて、
  お前が本当に俺に成り代わるつもりなら、
  これだけの覚悟を持っているんだろうな?

と念押しする、自分の命を使った最後のレクチャだった気がする。
要は、血の枷ですね。
あまりの凄みに、飄々とした設楽も唇をヒクつかせ、目が泳ぐばかり。
黒幕としての覚悟を見せつけられ、フリーズしていた。

最近、西田敏行さんは座った姿しかお見掛けすることが出来ない。
でも、こんなに凄みと貫禄のあるキャラクタを演じることが出来るなんて。
これからも、長く長く活躍してください。

屋根の上のバイオリン弾きの最終公演の千秋楽、
一緒にサンライズ・サンセットを歌ったのが、懐かしい。

西田さんの最後のテヴィエになるとは、思っていなかった。

本郷からフリーだったからこそ自分の信念を抱き得た設楽が、
本郷の血を浴びて政界の黒幕を継いだわけだ。
皮肉だね。
親の過干渉は、良くないということで。

須崎と渡辺が握手をするのを、満足気に眺める設楽。
新しい黒幕の誕生を象徴するシーンで、シーズン2の幕が下りた。

疑似親子関係 丸岡・佐々木

金銭援助は恩義の鎖
シーズン2では、本郷の巧みな戦略が描かれていた。
寄る辺ない子供の面倒を見る代わりに感謝を刷り込み、
己に忠誠を尽くす「コマ」を本郷が量産してきた手練手管。
マフィア映画か、任侠映画か。

我が血を受け継ぐ実子を大切にするよりも、
血の繋がりの無い疑似親子関係の方が、
感謝が膨らむ分、崇拝は絶対的で、使い勝手の良いコマの出来上がり。

足長おじさんに報いる、無自覚な善意の洗脳集団。
本郷チルドレンの純真が、痛い。
本郷は「ここぞ」というタイミングを見計らって昔話を持ち出し、
恩と期待とをチラつかせ、相手を思考停止させる。

息のかかった政治家は、欲得づくで従順に振舞っているだけ。
いつ何時 手を噛まれるか、わかったもんじゃない。
しかし、自分を心から慕うコマならば、安心して背中を向けられる。
自分の神経は、他所へ集中させれば良い。

ノブレス・オブリージュ的に私財を投じたら
結果的に都合の良いコマが育って、味を占めたのか。
それとも、初めからそのつもりだったのか。
後者だとしたら、本郷は とんだ知恵者だ。
私は前者に一票! 本郷のかつての善性ゆえと信じたい。

例えば、父が死んで落胆していた幼い設楽に声をかけたのは、
不憫さを見かねた、下心の無い純粋な親切心からだったと思う。

本郷の洗脳は、シカゴ・ボーイズのやり口を思い出させた。
世界を股に掛けた洗脳は、資本主義を火事場泥棒的に普及させた。

親離れ子離れ 自立と自律

本郷チルドレンは、本郷の「コマ」だ。
コマは「駒」であり、「独楽」。
駒は、棋士の意のままに配置され、置かれた場所で自分なりの働きをする。
独楽は、紐から放たれた瞬間、独楽回しの影響を逃れ、
一見すると自律・独立して回転する。
しかし、本郷チルドレンの回転軸は、あくまでも本郷の思想や言いつけ。
回転の勢いは、本郷への崇拝。

独楽の見せ場といえば、
ガチンコでぶつかって相手を場外に跳ね飛ばす、けんか独楽。
検察官「佐々木」とスパイ「丸岡」という2名の本郷チルドレンは、
設楽の訴追と、殺人で服役中に設楽へ接近という使命を各々独立に遂行。
本郷の行く手に転がる石を蹴散らし、
「野良猫」の首に付けられた鈴の役割を果たした。
設楽にしたら(駄洒落)、本郷に付き従う一対の狛犬(コマだけに)に
散々付け狙われて、いい迷惑である。

本当の独楽ならば、いずれ回転は衰え、倒れてお終い。
しかし人間は、自分の回転軸を自分で定め、回転を自ら生み出す
自立&自律の日を迎えねばならない。

本郷によって放たれ、回転を続けた丸岡と佐々木。
彼らにも、信念が揺らぎ始めるときが訪れた。

悲しき本郷チルドレン 人間はつらいよ

丸岡は、設楽の信念と信頼とに触れて。
佐々木は、検察の正義という己の本分の自覚と、
弁護士「杉谷」の呼びかけとに応じて。

本郷への忠誠心と、新たに芽生えた正義感との間で葛藤する二人。

丸岡は、本郷と設楽とのいずれも選ぶことが出来ず、消え去ってしまう。
殺人すら承諾したという点で、丸岡は、かなり自覚的に悪を背負った。
その分、苦しみは根が深い。
本郷とは、少年院に入った後に知り合ったらしい。
家庭環境から脛に傷もつ身となったのに拾ってもらえたら、
そりゃぁ、生きるために本郷に頼るしかない。
本郷も、わざわざ少年院まで出向いて使えそうな若者を物色するとは。
こういうマメなところが無いと、人の上に立つことは出来ないのか。

佐々木は、検察官としての独立を取り戻し、
己の正義を遂行することを誓う。
本郷の指令に忠実に従い正義を遂行したという点で、加担は無自覚。
その分、傷は浅かった。

子供を階層化する毒親

本郷のもう一つのコマは、リュウ。
佐々木の頭脳も、丸岡の適応・懐柔能力も持たない若者は、
本郷専用のスイーパー。
しくじったら車椅子に頭を何度もぶつけられて折檻されるが、
葛藤する知性も無い分、最後まで本郷に付き従った。

3人の本郷チルドレンは、能力に応じてランク分けされている。
・公権力担当 司法試験に受かり検察官になった頭脳派・佐々木
・間諜担当  分析力・実行力に優れる丸岡
・裏仕事担当 知性に劣るが忠実なリュウ
本郷なりの、適材適所な人材活用。

丸岡が殺人実行役に選ばれたのは、少し不思議。
少年院上がりだから、捨て駒扱いされて服役したけど、
丁度設楽が収監されたので、これ幸いと懐柔役に抜擢されたのだろうか。
それとも、設楽の収監先は、本郷の差し金で丸岡の刑務所に決まったのか。
シーズン3で明らかにされる必要は無いだろうから、謎のままなのだろう。
でも、丸岡が人を殺めてまで本郷に報いたかった理由は、
是非とも知りたい。

シーズン3が気になる

予備知識のない状態での予想

本郷と本郷チルドレン(設楽含む)という疑似親子関係の破綻は、
「エディプス・コンプレックス」(ありきたりで済まんね)。
これが、シーズン3でどう発展するのか?
渡辺が実父・設楽の手を噛む暗示なのだろうか?
飼い主・本郷を失い野良犬になったリュウは、
他にすることもないので、設楽を付け狙うのか。
丸岡は、設楽の元に帰るのか。

シーズン2までは民自党の関係者しか出て来ず、野党は存在感無し。
都知事選を5回でやり切るのは、無理と思われる。
それに、裏工作よりももっと、見せたいものがあるはずだ。
都知事選は、丸ごとすっ飛ばされそうな気がする。
渡辺が都知事になった時点から、シーズン3は始まるのだろうか。

渡辺が袂を分かっても、「それでいい」と設楽は笑うのだろう。
フィクサーは黒幕の意だけど、元々はfixer。
固定したり、直したりする人。
設楽は、「世直し人」足るのだろうか。

どのようなストーリーが人間同士を繋げていくのか、楽しみ。

自分の予想を書いたから、シーズン3の予告を自分に解禁しよ。


予備知識を得て

なんと、都知事選が舞台なのか。
しかも、須崎と組んだのに渡辺は公認候補になれないという、
予想の斜め上の展開。
公認は当然と思ったから、都知事選が舞台にならないと予想したわけで。
どうしてそうなった?

しかも、都知事選に、誘拐事件が絡むのか。
設楽・渡辺の親子関係も、何らかの決着を付けねばならないだろうし。
たった全5回でこんな溢れんばかりに「てんこ盛り」にしたら、
ドラマ24の面白さを越えるんじゃないの?
24Japanの主役よりも、唐沢さん、やりがい感じたのではないですか?

11月は、熱くなりそうだ。

屋根裏の散歩部屋

以下は、一息ついて自分なりに考えたことを、書き連ねます。
屋根裏の散歩者の如く、天井の節穴から覗き見る心持でつらつらと。
私個人の独壇場。
客観性はこの際、隅に置いとけ、です。

それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
以上

ここから先は

3,936字

¥ 100

「世の中に人の情け受くるこそ情けなしとは言ふもののお前では無し」 おこころざし、誠にありがとうございます。 ブタもおだてりゃ木に登る、ЯRtoneサポすりゃ天にも昇る。