ヴィアティン三重で何が起きているのか?

まず、冒頭昨日公表させていただきました弊クラブ選手による重大なコンプライアンス違反について、チーム事業部長として深くお詫び致します。
本件は4月11日、Vリーグコンプライアンス規定に基づきVリーグ機構にも書面による報告をさせていただきました。ヴィアティン三重としてクラブの管理不行き届きについて処分をご審議いただくことになります。また私自身もVリーグの理事の職について進退伺を代表理事会長に提出しそのご判断を仰ぐ状態です。
Vリーグの信頼に傷をつけてしまうような事象を引き起こし恥いるばかりです。

一昨日からの引退選手3名の発表、そして本日の移籍希望選手の発表でファンの皆様には大変なご心配をお掛けしております。
普段より透明性を大切にと考え行動をして参りました。今皆様にご不安をお掛けしている以上、私でわかる範囲のこと、私の感じていることをご説明しようと思いました。
私でわかる範囲のこと。と申しましたのはあくまで私が聞き、理解したという意味で選手たちの本音と同義ではない部分もあろうかと思いまして、あくまで私個人の感じ理解している状況と捉えていただけますと幸いです。

まず、引退選手・移籍選手については昨日公表しましたコンプライアンス違反の一件とは全く関わりのない理由となります。何故なら契約解除の話を選手たちに致しましたのは4月10日の夜のことです。10日以前に選手たちの意向確認を終えておりましたので、昨日の件を理由にチームを離れたわけではありません。
逆に申しますと、昨日の件以外に現在のヴィアティン三重には問題があるというのが現状です。

引退選手・移籍選手それぞれに当然に理由は異なり、一様に言えるところではありません。大学卒業後永きに渡りチームに尽力してくれた選手たちもおり、自身の年齢からくる肉体の変化や家庭環境の変化などから引退を決意した選手。

日々人一倍努力し、アウェーゲームでチームが遠征中も三重で黙々と汗を流しながらも出場機会に恵まれず、日々衰えゆく肉体への焦りと戦いながら、新天地での出場機会を求めて移籍を希望する選手もおります。

一方、私たちが認めなければならないのは、そうではなく夢と理想を持ってチームに加入してくれた選手に選手の望む環境や成長の場を提供できなかったケースも存在します。
そして彼らからは今シーズン初期には移籍の希望を内々に聞いておりました。それぞれ私自身にも相談をしてくれ、話も聞きました。その上で今シーズンを共に戦ってくれましたが、残念ながら私たちに改善する力がなく今日の状況となってしまいました。

この状況は間違いなく私たちクラブの力不足であり、市民クラブであるヴィアティン三重の抱える財政的な問題と、人的リソースの不足がもたらした結果であろうと思います。コロナ禍でスポンサー企業様の新規獲得が進まず、遠征費の増加、ホームゲームの運営コストの増加など、チームへの投資に選手たちの満足する環境整備や指導陣の確保ができなかった点もあります。
ここはしっかりと受け止め、経営計画を再度見直す必要があります。

また設備環境以外の面でも、選手たちの期待に応えられなかった点がチーム運営上もあるものと認識しています。
残ってくれている選手たちも決して満足できる環境ではなく、それでも残ってくれるという決断をしてくれたというのが現状です。

一方、私個人として、現在のVリーグの移籍規定は著しく選手に不利である。という考えを持っておりました。Vリーガーの多くは最初に入ったクラブでその選手生命を全うします。それは私たち親代わりの存在としては大変嬉しく、そして最後まで見届けることのできる幸せも感じてきました。
ですが、クラブの話を聞いて入団してくれた選手が、聞いていた環境・思っていた環境と異なった場合にも移籍をするには大きなリスクが存在します。
移籍金についても極めてクラブ側に強い規定となっていると思っています。

Vリーグの理事に選出いただき、現在私はこの問題に取り組んでいます。今、問題提起に多くのチームの代表・事務局に賛同いただき、かなりの時間をかけて移籍規定の改定に取り組んでいます。非常に大きな改定となり、来季の改定には間に合いませんが、私の任期2年でこれだけは実現したいと強い熱意を持って取り組んできました。私がこの後もリーグの為に働くことが許されるならば、必ず成し遂げたいと思っています。また動く過程の中で多くの理解者・賛同者の皆様に協力をいただける状況になり、確かな手応えを感じています。理事職を離れることになったとしても、ここまで一緒に議論を続けてきて下さったメンバーの皆さんが引き継いで成し遂げていただけると思います。
バレーボールは私たちも含めて働きながらプレーする選手。チーム保有企業に雇用されてバレーをする選手など様々な形態で選手たちが活動しています。移籍には転職が伴い、非常に難しい問題ではありますが、移籍が活発化することで各チームはより良い環境整備が必要になります。そういった切磋琢磨によってリーグ全体、バレーボール界全体がより洗練され、錬磨されたチームの集合体に変わっていくと信じています。

この考えが私の根本にある為、昨年の移籍もですが移籍を希望する選手たちにはその理由をよくよく聞き、話をした上で、気持ちよく送り出したいと思っています。本音はさみしいに尽きますし、当然同時に、残ってもらえるチームにならなくては。という危機感や使命感も抱きます。そしてチームに残る選択をしてくれた選手たちには感謝しかありません。
彼らのためにチームは成長していかねばなりません。

とうとうと書き連ねましたが、ヴィアティン三重は大丈夫か?というお声をたくさん頂戴し、今の正しいチーム事情をご説明したいと思い記事にしました。
肝心な大丈夫なのか?という問いに関しては、大丈夫です。とお答えをします。

理由は、今も信頼に値する選手たちが多く残っていること。そして退団・移籍理由も上記の通りトラブルを理由にチームを離れるわけではないこと。
何よりGMの中尾の目と心がまだ死んでいないこと。この3点になります。

ただ、チーム創設以来の厳しい状況にあることは事実だと思います。チームとして所属選手による行為についてその管理責任についてしっかりと向き合わなければなりません。教育体制も管理体制も一から見直しを図り、今後二度とこのような事が起こらないように再発防止を行います。
そして応援していただいております、ファンの皆様、スポンサーの皆様からも再び信頼いただけるチームに再建していかなければなりません。

置かれた状況は厳しく、続く道も険しいものです。しかしそれでもまだ前に進む意思はあります。進む意思さえあれば私たちはきっと再構築できます。ファンの皆様には何卒これからもヴィアティン三重と残ってくれた選手たちへの応援・ご声援のほど心よりお願い申し上げます。