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ババ抜きの戦略についての一考察

※このnoteは以前@SAoygのTwitterアカウントに掲載したものを修正・再構成してまとめたものになります。

1. はじめに

 ババ抜きを知らないという日本人は数少ないと思います。数字が合致するペアを捨てていき、「ババ」と呼ばれるJOKERのカードを押し付け合い、最後まで「ババ」を持っていた人の負け。最後に1対1でどちらのカードがババなのかを見極める心理戦があり、単純ながら奥深い日本でポピュラーなトランプゲームです。
 今回私が考察するのは1対1の心理戦部分ではありません。目線を読むとか、ババを持っている時の態度が違うとか、相手に自分の意図したカードを引かせようとか、そういう部分はメンタリストの方とか対人心理学を専攻している人に聞いてください。まあ今回心理学要素が多少は含まれてはいますが。
 簡単にいえば、1対1になる前に上がってしまおうというお話です。ババ抜きの醍醐味がないじゃないかと言われたらそうなので、私も純粋にババ抜きを楽しみたいときは封印しています。でも、たまに罰ゲーム付きババ抜きとかあるじゃないですか。そういうのってババを持っているの避けたいじゃないですか。なのでさっさと上がれるよう心がけるべき場合において、どのようなプレイングをするか。もちろん心理学をバリバリ使える人はそれで勝てばいいんですが、そんなことしなくても、確率的に上がりやすいプレイがあるというお話です。もちろん最後は運ゲーと心理学ゲーになってしまうのですが。知っておいて損はない情報だと思います。

2. カードの受け渡しの順番について

 ババ抜きの地方差として、「カードを引いた人が次の人にカードを引いてもらう(先引き型)」という回し方と、「カードを引いてもらった人が次の人からカードを引く(後引き型)」という回し方の2パターンあることがわかります。これは戦略でもなんでもないのですが、個人的には先引き型のパターンの方が好きです。以下に理由を述べます。

  1. ババが回りやすい
     ババ抜きはババが人々の手を回っていくのを楽しむゲームです。後引き型の場合、ババを引いてしまった場合、自分の手元から次の人にババが渡るまで少なくとも1周またなければなりません。そこでババが渡ったとしても、次にババが動くまでまた一周…その間に別の人が上がってしまうかもしれません。これではババの回転率が悪く、醍醐味が失われてしまいます。

  2.  勝利確定状況からの待ちが長い
     後引き型において、例えばあなたがカードを二枚持っており、隣の人からカードを引いたところペアが成立したとします。この時点で、あなたは次のターンに別の隣の人に最後の一枚のカードを渡せるので、勝利が確定しています。でも勝利宣言するには一周待たないといけません。上がりが確定しているのに上がれない、とてもじれったい時間になってしまいます。また喜びも小さくなります。ババ抜きは、正しいカードを引いたという行為に対して上がりという報酬をつけるゲームだと考えているので、その報酬が後でくるよりもすぐに来た方が喜びや達成感は大きいでしょう。

  3. 隣の人が渡して上がった時の対応
    2の例において、隣の人の視点になって考えてみます。次は自分がカードを引いてもらう番なはずだったのに、隣の人がカードを渡して上がってしまった。さて、あなたはどうしようか。まず裁定があやふやになります。ターン的には渡すターンだったのに、渡す相手がいない。どうすればいいか。大抵揉めます。そして大抵次の人からカードを引くということで落ち着きます。自分は何もしてないのに、隣の人のせいでカードが増えてしまった、これは悲しいことです。そのような事態を防ぐためにも、個人的には先引き型をオススメしますね。

 以上は戦略に関係ないですし、後で説明しますが自分がルールを制定する立場であればここを自由に操ることで自分にとって都合のいいようにすることはできます。なお、これ以降は特に断りがない場合先引き型として考察していきます。

3. カードの枚数について

  1.  カードの枚数カウント
     ババ抜きを少し注意深くやっている人は自分がカードを引こうというタイミングで、手持ちカードが1枚か2枚かで上がりやすさが違うと感じたことはあると思います。当然待ち番号が多い方が上がりやすいので、2枚の方が上がる確率が高いです。でも、ここで考えてみると、ババ抜きって基本的に1枚もらって1枚渡すゲームです。そして、揃ったら2枚を捨てます。つまり、もらって渡すを1ターンと考えると、1ターンにおけるカード枚数の変動は0or2になるわけです。つまり手札が偶数の状況で隣の人のカードを引ける状態にすると、上がりにリーチの局面で手札を2枚残すことができるのです。詳しい確率計算は行なっていませんが、2枚のうちにババがなければ、上がる確率は単純に2倍になるといっても過言ではないでしょう。手札の偶奇を気にしながらプレイをすることは大切だといえるでしょう。
     ただ、例外が一つだけ。隣の人が引いて上がった場合です。その時、あなたは引くカードがないので、隣の人にカードを引いてもらうだけになります。そうすると、カードの移動は1枚になり、奇数進行になります。それを避ける方法もこの後紹介します。

  2.  カード枚数調整について
     カードの枚数を調整する方法として大きく分けて二つあります。一つは初期カード枚数の調整、もう一つはカードの受け渡し型の調整です。
     まず、初期カード枚数の調整ですが、先引き型のルールの時は単純に初期手札が偶数のパックを選べばいいのです。ババ抜きというゲームはカードを53枚使用するのですが、この53という数字は素数です。つまりどのような分け方をしてもいずれかのパックは偶数になることが確定しています。例えば4人の場合は53=4*13+1なので、一つだけ偶数になります。これを取ればじゃんけんの結果次第ですが偶数進行で進めることができるでしょう。じゃんけんによって自分の手が奇数進行に変わってしまう可能性は25%なので、分が悪いかけではないとは思われます。また、5人や6人でやる場合は偶数のパックが複数できます。自分が偶数のパックを取るのはもちろんですが、できれば自分がカードを引く人に偶数のパックを渡すのが望ましいでしょう。自分が引く人が偶数進行であれば、先ほど偶数進行が崩れる唯一の原因、隣の人が引いて上がる確率が下がるです。そうなるためにはさらに隣の人が引いて上がる必要があります。二つ隣の人が引いて上がるかつ隣の人が引いて上がる確率が低いことは直感的にわかるでしょう。できることなら隣の人のカード枚数も管理したいですね。
     勘のいい人ならもうお気づきでしょうが、これらを達成する一番手っ取り早い方法は、カードを配る人、すなわちディーラーになることです。ジョーカーの位置を確認したり、ペアができやすいように並べ替えたりなどの不正は一切していません。ただ自分が上がりやすいように配るカードの枚数を調整しているだけです。これを不正とはいうことはできないはずです。
     もう一つのカードの受け渡し型の調整ですが、初期カード枚数調整がうまくいかず、初期手札が奇数だったとして、スタートが自分じゃないとします。この時、先引き型の場合、自分の最初のターンは引くことなので、引く時点で奇数という奇数進行になってしまいます。でも、後引き型にすると、自分がカードを引く前に隣の人からカードを引いてもらうので、結果的に偶数進行にすることができます。大抵の場合カードの受け渡しの流儀にこだわりがある私のような人は一般的に少ないと思うので、戦略がうまくいかなかった場合には受け渡し型を自分のいいように主張することができます。これも何も不正ではないですね。ルールを今決めただけです。
     こうやって明文化することでズルをしているような錯覚に陥りますが、全てをババ抜きの流れの中で自然にやれば、疑われることがありませんし、それがルールになります。戦略としては十分ではないでしょうか。

4. カードを引くときの戦略について

 正直私が一番書きたかった項目です。と言っても、これは相手依存なので相手次第ではこの戦略が通用しない可能性は大いにありますが。
 ババ抜きのゲームにおいて、自分が引いたカードが揃わなかったときに、何気なく自分の手札に加えて終了、という人はいませんか。私も多くの人とババ抜きをしてきましたが、半数程度の人が、あわなっかった場合に手札にただ加えて終了としていました。このカード狙い目ではありませんか?
 例えば5人でババ抜きをしていると考え、すべての数字においてペアが一つずつ揃っていると仮定します(つまり自分の持つカードのペアとなるカードは1枚しかない、ということです)。このとき、隣の人が引いて合わなかったカードと、元から持っていたカード、どちらの方が当たる確率が高いでしょうか。(ここでは感覚的な確率計算を行います)
 元から持っていたカードの相方は、残りの4人の誰かが持っているわけなので、確率は25%と言えます。一方、いま引いてきたカードは、この持ち主の他に、その前の持ち主もペアができなかったカードであるのでそのペアを持つ可能性がある人は3人に絞られます。すなわち33%の確率で当たるカードなのです!!
 …まあ確率が疎い人ならこれで騙されるでしょうが、これが正確な当たる確率ではありません。でも、一般的な状況で考えたら回ってきたカードが当たりやすいというのは間違いないことです。その点を意識して考えてみましょう。
 では、その隣の人が引いたカードがババだったら?確かにそれは自分のカードと合うはずがありませんし、そのような可能性は十分にあります。しかし、ここでこの考察で唯一の心理学的部分が出てくるのですが、ババを引いてしまった場合、多くの人が無意識でシャッフルをしてしまうのです。これは何も考えずにカードを引き、取ってもらう人に多い行動です。だいたい引いたカードをそのまま手札に加えてそのまま出してくるような人は、何も考えていないことが多いのです(この理論を逆用しようとしていることも考えられますが)。そして、予想外のババを引いてしまった場合には、そのまま加えることはなく、不自然なシャッフルをしてしまいます。そうした場合、この戦略は関係なくなって、ただの運ゲーと化すわけです。逆に言えばこれによって入れたカードをそのまま取ることのデメリットが消えたということになります。
 発展的な話をすると、自分が引いてあわなかったカードはできるだけ他の人に渡した方が自分の上がる確率は高くなります。ババ抜きにおいて、基本的には自分が引く相手は変わりません。そして自分が引いてあわなかったカードは、隣の人もペアを持っていないカードになります。つまり、自分のところでそのペアを作るためには、隣の人が別の人からそのペアカードを引いた上で、自分がそのカードを引く必要があります。これは確率的に低いことはわかるでしょう。つまり、自分が引いてあわなかったカードは、相手に渡した方が、次のターンで自分が合うカードを引く確率が高くなるということです。ただし、その戦略は自分から引いてもらう人が上がりやすくしているということにも注意してください。

5. 終わりに

 ババ抜きを、心理的要素をほとんど抜いて確率論的に考えてみました。私が何を言いたかったかというと、配ってもらったカードを無意識に取って、ババが来るまで無意識にカードを引いたり引いてもらったりしていないですか?ということです。ババ抜きで勝ち抜けるためには序盤から頭を働かせる必要があるのですよ。

 まあ最終的には運と心理要素が働くゲームになってしまうのですが。そうなってしまった場合は周りの人の運が良かったと諦めるのが妥当だと思います。あなたは最善を尽くしたと思う。

 最後に、戦略とは言いましたが、ずっと引いてきたカードを引いてると相手にバレてしまったらそれを逆用されるかもしれませんし、対戦相手もこの内容を知っていたなどの場合は逆手に取られる可能性もあります。用法と用量を守って適切なタイミングで使うようにしてください。

皆さんも健康で楽しいババ抜きライフをお楽しみください。

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