同業者と同じ会計処理ができていますか?~不動産業の気になった決算書から思ったこと~
こんにちは。元銀行員 勤続10年、法人融資営業をしていた谷本と申します。
現在は独立して、主に中小企業の財務担当者のアウトソーシング事業を行っています。
今回は、最近あった事例をお話します。
不動産売買業のお客様で不動産の仕入をし、建物を建てたりリノベーションしたマンションを販売したりする事業を行う企業の事例です。
ちなみに弊社は、不動産業のお客様がここのところ増加傾向にあります。
会計処理にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
融資に関する相談は、問い合わせフォームやFacebookのDMなどから受け付けています。
※氏名・社名・業種・Facebook URL・メールアドレスなどを添えてお問い合わせください。
不動産売買業のお客様の事例
不動産売買業は、不動産(土地)の仕入をして建物を建てたり、マンションだったらリノベーションをして販売している企業です。
不動産業の融資について
こういった企業の場合、不動産の仕入は高額になります。
一般的には不動産を購入する際に、実際に仕入をする不動産を担保に入れて融資を受け、その資金で仕入を行います。
そして、売却をする際に担保を解除し、売り渡すと同時に返済をする流れが一般的で、この流れを企業と銀行の間で行われます。
銀行はこのような融資をする際には、基本的に「1年後期日一括返済」の形態で融資を行います。
一般的に行われる会計処理
それでは、その際の会計処理はどのように行うのが一般的なのかを解説していきます。具体的な内容は、以下の通りです。
不動産3,000万円の購入、その際に融資3,000万円
現金3,000万円/短期借入金3,000万円
仕入(商品)3,000万円/現金3,000万円
※最終的に貸借対照表に残る仕訳は商品/短期借入金
通常、このような仕訳を行います。
会計処理を間違えると起こること
私のお客様先で行われていた仕訳は、
現金3,000万円/『長期借入金』3,000万円
となっていました。
この仕訳で会計処理をすると、何が良くないのかご説明します。
長期借入金は1年超の返済期間があるもの
短期借入金は、1年以内に返済するものを指します。
それに対して、長期借入金は1年以上の返済期間がある借入のことです。
銀行は銀行格付けを決める際、お客様から詳細な返済予定表をもらっていない場合、長期借入金を5年程度で割り戻して年間返済額を推定します。
従前からお伝えしている通り、「年間返済額」よりも「税引き後利益+減価償却費」の金額が大きいことが望ましいので、簡易的に財務分析をしたときにキャッシュフローがマイナスに陥りやすくなります。
本来は、不動産と見合いの短期融資です。
しっかりと振り分けをしなければならない理由が、ここにあります。
不動産仕入資金は短期借入金を使っているケースが多い
不動産業を行う上場企業含め、一般的にはどの会社も不動産仕入資金は短期借入金を使っています。
業界全体として利用をしている「会計処理」というものがあります。
それに沿った会計処理を行うことが対銀行だけではなく、重要なステークホルダーに対して決算書を見せる時にも役立つはずです。
今回は短期借入金のケースを挙げましたが、他にも不動産業だと売買契約書を結んだタイミングで売掛金計上、買掛金計上をしている企業を見たことがあります。
これは売買が成立しないケースがあったり、大手企業中心にこのような経過勘定を利用していないことがほとんどなので銀行としては違和感があるので使用しない方が無難です。
売上利益を大きく見せたい気持ちもわかりますが、
銀行はそれよりも現預金を重要視している点を理解し、無理な納税はよりキャッシュフローを痛めるので控えるべきです。
各業界には一般的に良いとされる会計処理方法がある
今回は不動産業を挙げましたが、建設業や製造業など業界ごとに一般的とされる会計処理があります。
「うちの会社は特別だから」
それは良いのですが、なるべく他社事例に習った方法で何でも行うべきです。特別な会社は評価もされますが、逆に評価をしにくい面もあります。
特に銀行は他社事例、業界平均などを参考にする傾向です。
評価をされにくい、または面倒な会社と思われるだけで忙しい銀行員からは御社の仕事を後回しにされてしまう可能性があります。
銀行目線の会計処理に不安がある場合はぜひ相談を
御社の決算書はどうでしょうか?
今回の内容がご参考になると幸いです。
銀行目線の会計処理や融資について、何か気になる方はご相談ください。
初回は無料で相談を受け付けています。
Xでも日々発信を行っています。
ぜひフォローをお願いします。
https://x.com/arriba0519
相談に関する質問については、以下の記事でお答えしています。
お問い合わせは、DMもしくは問い合わせフォームからお願い致します。
※氏名・社名・業種・Facebook URL・メールアドレスなどを添えてお問い合わせください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?