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『佐藤健寿展』を鑑賞しながら「自分のいる場所」を改めて観察してみた

山口県立美術館で開催中の『佐藤健寿展』に行ってきました。


佐藤健寿さんは、写真家であり作家でもある多彩な方です。世界中の120ヶ所以上を巡り、「奇怪なもの」を対象に、博物学的、美術的視点から、撮影と執筆をされています。(サイトより

活動を開始してから約20年の節目を迎えられたそうで、初期から最新の作品を通覧できる美術館では初めての展覧会だそうです。


展示会場には、その国その土地の「日常」を切り取った「景色」が並んでいました。

食事風景や家屋の中、日常着や祭事での装い、また、亡くなった人を埋葬するための棺桶や、墓地、それから弔う儀式の様子など。ありとあらゆるその「場所」での当たり前の「日常」の景色は、私がいる「場所」のそれとはあまりにも違っていて、とても同じ地球の上の景色だとは思えないものばかり。

特に、葬儀に関しては、その「場所」の歴史や信仰によって、「死」に対する考え方が全く異なるために、日本ではとても受け入れられない方法で埋葬される様子もあり、ただただ驚くばかり。でも、「死者」を大切に送り出したい気持ちは同じです。と言うことは、もしも私がその「場所」で生きていたら、きっと同じことしたに違いないし、その方法に対して、何の違和感も感じないのでしょう。

改めて、自分のいる「場所」によって自分が作り上げられていくのだと感じました。


東洋医学の治療の大原則として「三因制宜」という考え方があります。
これは、簡単に言うと、「同じ病気、病態であっても、三因によって治療法が異なる」と言う理論です。つまり、治療とは「オーダーメイド」であるべきだと考えられています。
三因とは、「地」「時」「人」の三つです。
「地」は生活している「場所」「土地」。
「時」は主に季節。
「人」はその人の性別、年齢、体質など。
これらを考慮して治療を行わないと、全く効果が期待できないどころか状況が悪くなってしまうこともあります。それだけこの3つは、影響力が強く、故に重要なのです。

これは「運」についても同じことが言えると思います。「病気」も「運気」も根っこは同じ「気」だからです。
例えば、友人を見るとその人となりがある程度わかると言われるのも、同じ「場所」で過ごす機会が多いから「運」の「質」が似てくる。また、仲良し夫婦の雰囲気が似てくるのも同じことが言えるでしょうね。

もしも、今、「ついてないな・・・」と思っているならば、「三因制宜」の考え方を利用して動いてみると良いかなと思います。3つの中で、自分でコントロールしやすいのは「地」です。まずは「地」を、俯瞰して観察してみる。それから、今いる「地」と雰囲気が違う「地」に行ってみる。長期間行くほど影響が大きいけど、難しいので「旅」でも大丈夫です。旅先でたくさんのものに触れ、その土地の気で育ったものを食べ、その土地の空気の中で呼吸を繰り返す。

きっと「運」の「質」が変わっていき、自分を取り巻く気の巡りの受け止め方が変わっていくと思います。

人は異なる二つのものを比較して、初めて「一つ」を認識できると言われています。
つまり、「今の自分の場所」を知るためには、「今の場所ではない場所にいる自分」と比較する必要があるのです。


「奇異なもの」たちを眺めながら、「今の場所」をもっと大事にしても良いかなと感じました。

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