読んだ論文 (Antibiotic de-escalation for bloodstream infections and pneumonia: systematic review and meta-analysis. Clin Microbiol Infect. 2016;22(12):960-967.)

血流感染および肺炎における抗菌薬de-escalationについて、系統的レビューおよびメタ解析の報告

下記から本文を無料で閲覧可能です。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1198743X16301756

要旨


抗菌薬のde-escalationは、抗菌薬適正使用プログラムにおいて魅力的な戦略である。我々は、系統的レビューとメタアナリシスを用いて、その安全性と効果を評価することを目的とした。我々は、菌血症、微生物学的に証明された肺炎または重症敗血症の成人を対象とした無作為化比較試験(RCT)および観察研究を対象とし、抗菌薬のde-escalationとde-escalationを行わない場合の比較を行った。de-escalationは、薬剤感受性試験の結果に基づいて、初期抗菌薬レジメンを、より狭域スペクトルの抗菌薬に96時間以内に変更することと定義した。主要評価項目は 30 日間の全死亡率とした。公開された論文と会議の議事録の検索は、2015年9月に最後に更新した。95%CIの粗ORおよび調整済みORは、ランダム効果メタ分析に統合した。16件の観察研究と3件のRCTが含まれた。交絡因子に関連するバイアスのリスクは観察研究で高かった。非調整分析では、19研究、中等度の異質性であったが、de-escalationは死亡数の減少と関連していた(OR 0.53、95%CI 0.39-0.73)。調整解析では11試験、中等度の異質性であったが、死亡率に有意差は認められず(調整後OR 0.83、95%CI 0.59-1.16)、RCTでは、3試験、異質性は認められず、de-escalationによる死亡率の有意でない増加が認められた(OR 1.73、95%CI 0.97-3.06)。菌血症/重症敗血症(OR 0.45、95%CI 0.30~0.67)および人工呼吸器関連肺炎(OR 0.49、95%CI 0.26~0.95)では、de-escalationと生存の間に有意な無調整関連があったが、その他の肺炎(OR 0.97、95%CI 0.45~2.12)では有意な関連はなかった。耐性の出現について報告した研究は2件のみであり、一貫性のない所見であった。観察研究では,菌血症,重症敗血症,人工呼吸器関連肺炎に対して薬剤感受性試験を用いたde-escalationによる死亡率の低下が示唆されているが,RCTではそれは示されていなかった。

(個人的な感想)

本日も個人的に研究をしている関連論文を探していて発見。

大変興味深い点は、下記の図です。

画像1

本報告はメタ解析なのですが、観察研究とRCTの結果が相反していたという点です。

いままで読んでいたこの手の論文は、観察研究では差が認めたが、RCTでは差がなかったような場合が多かったように思います。

私の論文の読んでいる数が圧倒的に少ないのと、この手の論文に手をあまり出せていないということで、知らなかったというだけかもしれませんが・・・。

RCTを実施できるのは、やはり、大学病院や大病院が圧倒的に有意なので、私が所属している施設ではなかなか難しいですので、細々と観察研究に邁進していく所存ではあります。

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