読んだ論文 (Occurrence and determinants of Klebsiella species bloodstream infection in the western interior of British Columbia, Canada. BMC Infect Dis. 2019;19(1):1070.)

カナダ・ブリティッシュコロンビア州西部内陸部におけるKlebsiella属血流感染症の発生と決定因子

上記から無料で全文閲覧が可能。

なお、菌名はイタリックですが、イタリックにできないのでご了承ください。


要旨

背景

Klebsiella speciesは、血流感染症(BSI)の最も一般的な原因の一つである。しかし、非選抜集団におけるKlebsiella speciesの疫学を評価した研究はほとんどない。

本研究の目的は、カナダのブリティッシュコロンビア州西部内陸部の住民を対象に、クレブシエラ菌による血流感染症の発生率、危険因子、転帰を明らかにすることであった。

方法

2010 年 4 月 1 日から 2017 年 3 月 31 日までの間に、母集団ベースのサーベイランスを実施した。

結果

151 件のエピソードが確認され、その発生率は人口 10 万人当たり年間 12.1 件、K. pneumoniae は 9.1 件、K. oxytoca は 10 万人当たり年間 2.9 件であった。全体では24例(16%)が病院発症、90例(60%)が医療関連、37例(25%)が地域関連であった。患者年齢中央値は71.4歳(四分位間範囲、58.8~80.9歳)で、88例(58%)は男性であった。40歳未満の患者ではエピソードはまれであり、10歳未満の患者では症例は認められなかった。有意なリスクとして多くの併存疾患が同定されたが、その中には脳血管事故(5.9;3.3~9.9)、腎疾患4. 3;2.5~7.0)、がん(3.8;2.6~5.5)、うっ血性心不全(3.5;1.6~6.6)、認知症(2.9;1.5~5.2)、糖尿病(2.6;1.7~3.9)、慢性閉塞性肺疾患(2.3;1.5~3.5)であった。入院した 141 例(93%)の患者のうち,入院期間の中央値は 8 日間であった(四分位範囲,4~17).院内および30日間の全原因による死亡率は、それぞれ24/141人(17%)および27/151人(18%)であった。

結論

Klebsiella speciesの BSI は、特に慢性的な併存疾患を持つ患者において、重大な疾病負担と関連している。


(個人的な感想)

現在、私がやっているStudyの関連でKlebsiella関連の論文を読みあさっているところです。

検出は医療関連、院内発症が7割強と概ね日本のデータと変わらないように思います。年齢も70歳台とこちらも当院の検討と合致。

入院期間は、おそらく、医療制度が異なることが関連していると思うが、入院期間はカナダは圧倒的に短いと思う。

併存疾患が菌血症と関連するのは、想定内ですが、肝胆道系が独立した因子として上がってきていないのが想定外。

死亡率は2割弱と他の報告が概ね2割前後なので、大きく解離はしていない。

本文に記載している点ですが、薬剤感受性がK.pneumoniaeとK.oxytocaでは少し差異がある抗菌薬があるようです。→治療時にKlebsiellaが想定される場合の選択を考える必要があるか?


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