読んだ論文 (Five-Day Antibiotic Treatment for Community-Acquired Bacterial Pneumonia: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of Global Antimicrobial Resistance(2020))

市中肺炎の5日間抗菌薬治療:RCTのシステマティックレビュー、メタ解析

Journal Pre-proofですが、オープンアクセスですので、無料で本文を全て閲覧可能です。

抄録

目的
このシステマティックレビューおよび無作為化比較試験(RCT)のメタアナリシスでは、成人の市中発症肺炎(CABP)の治療において、5日間の抗菌薬投与コースの臨床効果が、より長い(7日以上)抗菌薬投与コースと同等であるかどうかを調査した。

方法
PubMed, Web of Science, Cochrane Library, Ovid MEDLINE, Embase.を2020年1月18日までに検索した。CABP治療における5日間の抗菌薬投与コースとそれ以上のコース(7日以上)の有効性を比較したRCTが含まれていた。主要アウトカムは、臨床反応、微生物学的反応、有害事象(AE)のリスクであった。

結果
本メタ解析では、7つのRCTを対象とし、5日間の抗菌薬投与コース群は1499例、長期コース群は1522例を対象とした。5日間コース群と長期コース群の全臨床奏効率の差(88.3%対88.8%,オッズ比[OR],0.95,95%信頼区間[CI],0.70~1.28,I2=19%)は有意ではなかった。さらに、微生物学的除菌率は5日間コース群で94.8%、長期コース群で95.8%と群間で有意差はなかった(OR、0.84、95%信頼区間[CI]、0.38~1.87、I2=0%)。最後に、全死亡率は2群間で差がなかった(OR、0.91、95%CI、0.31-2.66、I2 = 0%)。

結論
CABPに対する5日間の治療とより長い抗菌薬投与コースでは、臨床的および微生物学的反応が類似しており、安全性プロファイルも類似しています。


(個人的な感想)

抗菌薬加療は、感染症の原因菌、感染症病名等により、治療期間の推奨は異なっている。近年、short is betterという流れになっており、今回は市中肺炎を対象としたメタ解析。

考察(本文)で触れられていますが、肺炎の再燃については、短期間では懸念されていること、十分な検討がされていないことが指摘をされており、短期間での治療は、患者背景等を考慮しながら、選択する必要があるように思います。

最近、知っててなのか、短期間で治療を終了するような症例もいるんですが、一律っていうのは考える必要があるように思います。

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