★『くんちゃんのはじめてのがっこう』
あなたの すわる ばしょは ここですよ──入園・入学を迎える小さい人と一緒に楽しみたい絵本です^^
新年度・新学期を迎えるこの時期になると、いつもこの絵本を思い出します。ドロシー・マリノのくんちゃんシリーズの一冊、
『くんちゃんの はじめてのがっこう』です。
くまのくんちゃんは、おとうさんぐま、おかあさんぐまと三人(三匹、三頭?)暮らしです。
くんちゃんが初めて学校へ行く朝がやってきました。
(くんちゃんは早起きでした)
そしておかあさんと一緒に学校へ向かいます。
学校へ行く道の途中で、みつばちやこうもり、ビーバーなどと出会いますが、みんなそれぞれの仕事に忙しく、学校へは行かないようです。
そしてくんちゃんは歌いながらスキップして、学校へ着くのです。
そして、そこでおかあさんと別れて教室へ入ってから…。
4月は新しい場所で新しいスタートを切る人、フレッシュマンの季節です。
(この絵本のくんちゃんは、秋の季節の入学のようですが…)
そしてそれは小さい人たちにとっては、大人が思っている以上に、大きな生活の変化であり、世界の転換なのかもしれません。
そこには、夢や期待といったワクワク感と同時に、守られて慣れ親しんだ場所や人から離れることの不安感、自分が何もできないのではないかと思う心配、そんなちょっと抱えるのが苦しい気持ちも、大人が想像する以上にあるのでしょう。
そんなとき、よい距離感で受け止めてくれる大人や周りの人がいたら、
小さい人も安心して、自分の居場所を見つけることができるのですね。
くんちゃんも、
と、やさしく受け入れてくれるこんな先生がいたら、安心して楽しくみんなとすごせるのでしょう。
ドロシー・マリノの絵は、優しいタッチのペン画で、くまさんたちの表情も穏やかで、親しみやすい画風です。
色も墨とブラウンの二色刷りで、飾らない素朴な絵本です。
1970年に発行され、日本版は1982年初版と、かなり昔の絵本ですが、色あせることなく、今でも多くの小さい人たちに愛され続ける作品です。
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