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★『ねえ、どれがいい?』ジョン・バーニンガム

新学期が始まり、学校などで始業前の時間に絵本や児童書の「読み聞かせ」
(最近は「読み語り」という表現なのでしょうか)をされる方もおられると思います。

私も子どもが小さいときに、何年か参加したのですが、実はこの時間がどうにも苦手でした…。

元々声質が低いうえに、緊張していると余計に聞き取りにくいようで、よく子どもたちからクレームをもらったり…。
あまりよい思い出はありません^^;;

そんなとき、やや邪道かもしれませんが、この本などは、そんな苦手な「読み聞かせ」の「つかみ」として、たいへん重宝した一冊でした。

『ねえ、どれが いい?』ジョン・バーニンガム

この本は、『ガンピーさんのふなあそび』などで知られる作家、ジョン・バーニンガムのユーモア絵本です。

内容は、ある状況を提示して、そのときどういう選択をするか、子どもたちに答えてもらう、その繰り返しなのですが、その質問が、子どもにとって、楽しそうなことも、ちょっと(ときにはものすごく)困ることもあり、その多くがなんとも「究極の選択」なのです。

たとえば、

「ジャムだらけになるのとさ、
 犬に 引っぱられて ドロンコになるのとさ、
 水を かけられるのと どれが いい?」

って、どれもやだわ! とみんな叫びます。あるいは、

「おとうさんが 学校で おどっちゃうのと、
 おかあさんが、きっ茶店で どなるのと、
 どっちが いや?」

みんなヒソヒソ相談して、盛り上がります。

こんなふうに、絵本を読みながら、子どもたち同士、ときには読む側ともコミュニケーションしながら、楽しく絵本を共有できるので、その場が一体になる雰囲気作りにも役立ちます。

絵本そのものを楽しむという「読み語り」の王道からは外れるかもしれませんが、私のように、読むのが苦手な方にとっても、絵本の時間の導入の本として、読み手も含めてみんなで楽しめる作品としておすすめです。

バーニンガムの作品は、日本でも多く翻訳・出版されていて、以前こちらで紹介させていただいた『ちいさいえほん』シリーズも、おすすめです。

『ねえ、どれに する?』も、絵のタッチは、バーニンガム特有の、細いふわっとしたやさしいタッチですが、やや大判の絵本なので、少し離れていても子どもたちは見ることができると思います。

もちろん、家庭でお子さんと読むときも、絵本の最後は、素晴らしいクロージングになっていますので、安心して眠りにつける一冊です。

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