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冷たいグルマンアコードの作り方。調香紹介編

今回は先日作らせて頂いたオーダーフレグランスをご紹介したいと思います。

テーマ
【北国の雪を、冷たさ・明るさ・透明感・ほのかな甘さをもって表現したい、フルーティ、グルマンが好みのため、雪(冷たさ)を念頭に置きつつも、全般的に美味しそうと感じられる香りを目指したい】

グルマンアコードを作る時はスパイスやプラリネなどでひたすら暖かさ、温度を感じる様に作る事が多いのですが、冷たさを感じつつもグルマンに寄せていくという今回のテーマにとても魅力を感じました。


◯カウンセリングでは、冷たさ、明るさ、透明感、ほのかな甘さ
それぞれどの様な割合で香りを作りたいか。

◯トップから冷たさを感じる方が良いか、それともラストで冷たさを感じた方が良いか。

◯ラストのバニラのイメージ
ムスクの様なパウダリーなバニラ、ホイップクリームの様なスイーツ感のあるバニラ、カスタードクリームが混ざった様なバニラなのか
それぞれ最も大切な要素を確認させてもらいました。

その結果
"冷たさが半分、明るさと透明感にほのかな甘さ
トップから冷たさを感じるアコード
バニラはホイップクリームやカスタード系"

この様に香りの骨格となる部分のイメージをしっかりと共有していく事が理想の香りへと近づけていく大切な工程となります。

結果的に僕が考えたアコードは
トップがアールグレイ(ベルガモットにローズウッド(リナロール)フランボワーズのベリーの要素を加えました。アールグレイにフルーティーな香りを入れてグルマンと合わせるイメージ。

そしてパインニードルやディル、ユーカリ、シダーなどをブレンドしたアロマティックウッドアコード


ここで冷たさを表現しています。
ラベンダーの要素も自然と感じられるので雪国ともマッチします。
雪の降る日に強い風が吹いた時の冷たさをイメージ。そしてほのかなミントなどをブレンドしたハーバルアコードを。異なる冷たいニュアンスをいくつか入れて単調に感じない冷たさを作りました。

サンプルではこのハーバルさを強調させすぎてしまったので、かすかな冷たさに氷のひんやり感が加わる程度のニュアンスに。

ミドルにはティーアコードを。
Ethyl maltolのシュガー感にブラックティーの渋さ加えた紅茶。


そこにキャラメルの香料で深みを足してます。


このキャラメルの焦げたニュアンスがブラックティーアコードとも相性が良いのでよく使います。
美味しそうな要素はここで作り上げました。


ブラックティーアコードには定番のhedioneを良く使いますが、後日有料記事としてご紹介したいと思います。

ラストはホーウッドとバニラを。

ホーウッドにもリナロールがたくさん入っているので紅茶の香りのサポートとして役立ちつつ、ローズウッドとか違ったカンファーのニュアンスがあるのでほのかにブレンドする事で冷たさをラストまで長く香らせることが出来ます。


冷たさを表現する時はローズオキシドなどのメタリック系を使う場合、カンファーなどのハーブ系、マリン系様々な作り方がありますが今回はグルマンと合わせたかったのでリナロールのフローラルさとハーバルな冷たさ、詳しく書くとブチルシクロヘキサノンという香料がキーとなっています。

この2つの相性がとてもブラックティーやバニリンとフィットしてくれるので
スパイス、グルマンの定番なアコードとは違った冷たさを表現したグルマンアコードを作ることが出来ました。

トップから吹雪を浴びるような冷たさを感じながらもフルーティーグルマンな美味しさ、
ミドルからは華やかなティーノートが現れて
でもラストまで透明感のある冷たさが続き、本当に最後に残るのは儚いほのかな甘さ。


ぜひ自分の理想とするこんな香り作ってみたい、この絵画を香りにしてみたい様々なテーマも1から香りを組み立てますのでお気軽にオーダー頂けたらと思います。

まずはこちらのperfume makingから自分の香りを組み立て見ることもおすすめです。

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