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1週間で覚えるメディカルハーブ30種 その3

おはようございます。アロマテラピーと手しごとのカノワです。

フィトオーセンティックプロダクトの仕事をしながらアロマやハーブの記事を書いたり、アロマクラフトの提案をしたりしています。

こちらのnoteでは、「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、暮らしに取り入れやすいアロマ・ハーブクラフトや石けん作りなど、様々なアイデアを提案しています。

さて、本日もハーバルセラピストで学ぶ、30種類のメディカルハーブをご紹介していきたいと思います。

本日はキク科のハーブを紹介したいと思います。
ハーバルセラピストででてくるキク科のハーブは6種類あります。
30種類の中ではキク科が一番多いです。

では順にご説明していきます。


1つ目は「アーティチョーク」になります。
学名はCynara scolymus(キナラ・スコリムス)
和名はチョウセンアザミ
使用部位は葉部です。

属名のCynaraは犬、の意からきています。アーティチョークの鱗葉が固くて、犬の歯のような形であることからきているようです。また種子名のscolymusは、地中海地方産の食用アザミの一種で、トゲのあるScolymus hispanicusを語源としています。

アーティチョークは、苦いハーブ。苦味質のシナロピクリンによる強い苦味が特徴です。
薬用ハーブとしての使用は紀元前4世紀にもさかのぼるといわれています。
そのような昔から、肝臓の特効薬として、肝臓の病気やお酒の飲み過ぎなどにハーブティや薬草酒として
用いられてきました。
ストレスなどでダメージを受けた肝機能を修復したり、保護したりする働きがあり、
肝機能の促進や胆汁の分泌促進による消化不良や食欲不振の改善に活用されています。
また、生活習慣病の予防として、脂質異常等の生活習慣病の予防にも活用されます。

フェノール酸のシナリンには肝臓の解毒作用があり、二日酔いを防ぐ働きがあると言われているようです。
お酒をよく飲む方には、日常的に飲んでもらいたいハーブですね。
アーティチョークは苦いハーブですが、ペパーミント とのブレンドもおすすめされています。

ちなみにアーティチョークは、ヨーロッパでは食材としてポピュラーなハーブ。
ワインのつまみに相性がよいとされ、生のほか、蕾をゆでたり、蒸してサラダなどにも料理されます。

キク科にアレルギーのある方は利用を控えてください。

おさらいになります。

■アーティチョーク
キク科の植物で、学名 Cynara scolymus(キナラ・スコリムス)和名は、チョウセンアザミ。使用部位は、葉部となります。

主要な成分は、クロロゲン酸、カフェ酸、シナリン、苦味質(シナロピクリン)、フラボノイド(ルテオリン)、フラボノイド配糖体(スコリモサイド)タラキサステロールとなります。

作用については、消化機能亢進、苦味質のシナロピクリンとタラキサステロールからの強胆、利胆、となります。

適用症は消化不良、食欲不振、脂質異常。

安全性、相互作用ともに未収載となっています。

アーティチョークのキーワードをおさえておきます。
苦いハーブ。苦味質のシナロピクリンとフェノール酸のシナリンによる肝臓ケア。


2つ目は「エキナセア」になります。
学名はEchinacea angustifolia(エキナセア・アングスティフォリア),Echinacea purpurea(エキナセア・プルプレア),Echinacea palida(エキナセア・パリダ)
和名はムラサキバレンギク
使用部位は地上部、根部です。

属名のEchinaceはEchinos,ハリネズミが語源です。お花の中央にあるトゲ状の花冠部にちなんでいるそうです。
また種小名のpurpureaは紫の花の色を示しているそうです。

エキナセアは「インディアンのハーブ」とよばれ、北米の千住民が最も大切にしたハーブと言われています。
風邪や伝染病、毒蛇に噛まれた時の治療に用いられました。
先ほど学名を3種ご紹介しましたが、メディカルハーブとしての使用は、こちらの3種に限られているそうです。
戦後ドイツを中心に進められたエキナセアの研究により、免疫賦活作用、抗ウイルス作用などの有効性が確認されました。エキナセアに含まれる多糖類は、マクロファージを活性化することで、インターフェロンを活性化して免疫を高めます。風邪やインフルエンザ、膀胱炎などの感染症へ用い、外用では強い抗菌力が傷口の消毒に利用され、治りにくい傷や感染予防にうがいなどで用いられます。
天然の抗生物質として、チンキ剤、カプセル剤、などさまざまな製剤として利用されます。キク科にアレルギーのある人は利用を控えます。

また、薬用植物の効用に関する公的な評価委員会:ドイツコミッションEによると最大8週間以上の継続した使用はさけるべきとされています。

おさらいになります。

■エキナセア
キク科の植物で、学名はEchinacea angustifolia(エキナセア・アングスティフォリア),Echinacea purpurea(エキナセア・プルプレア),Echinacea palida(エキナセア・パリダ)
和名はムラサキバレンギク
使用部位は地上部、根部です。

主要な成分は、エキナコシド、多糖類、シナリン、イソプチルアミド
となります。シナリンは先ほどのアーティチョークにも入っていましたね。

作用については、免疫賦活と創傷治癒。
となります。

適用症は風邪、インフルエンザ、尿道炎、治りにくい傷。

安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

エキナセアのキーワードをおさえておきます。
免疫力アップのハーブ。インディアンのハーブ。風邪やインフルエンザに。


3つ目は「カレンデュラ」になります。
学名はCalendula officinalis(カレンデュラ・オフィキナリス)
和名はトウキンセンカ(ポットマリーゴールド)
使用部位は花部です。

属名のCalendulaは、1ヶ月間の意、カレンダーの語源でもあるそうですが、こちらは、お花が咲いている期間が1ヶ月にもおよんで長いことからきているようです。どちらかというと現在はお肌のハーブ、といった印象が強いカレンデュラですが、月経のサイクルと関連づけられ、月経不順の薬として用いられていたこともあり、現在でも、ホルモン様作用から生理不順や整理による不調を整えるのにも役立ちます。

また、種小名のofficinalisはopus(働き)とfacio(作る)の合成語で、働きをする、の意味から「薬用の」を示しています。

カレンデュラはお肌のハーブと覚えておくといいですね。
2大肌ハーブはカレンデュラとカモミールと言われています。

カレンデュラは、花弁に美しいオレンジ色のカロテノイド色素を含有し、抗炎症作用があることから、胃炎や胃潰瘍などの症状を緩和してくれます。
また、古くから、ダメージを受けた皮膚や粘膜の修復や保護に活用されていました。熱をともなう風邪やインフルエンザには、ティーにして飲用すると、発汗を促し、症状を和らげてくれます。抗菌、抗ウイルス作用があるので、風邪予防にも役立ちます。

花弁を植物油に漬け込んで有効成分を抽出させたカレンデュラ油と蜜蝋で作ったカレンデュラ軟膏は皮膚の万能軟膏として用いられます。少し苦味のあるカレンデュラの花はエディブルフラワーとしてサラダなどにも利用されています。

キク科にアレルギーのある人は利用を控えます。

おさらいになります。

■カレンデュラ
キク科の植物で、学名はCalendula officinalis(カレンデュラ・オフィキナリス)和名はトウキンセンカ(ポットマリーゴールド)
使用部位は花部です。

主要な成分は、カロテノイド(ルテイン、リコペン)、タラキサステロール、苦味質、フラボノイド(クエルセチン)

作用については、皮膚や粘膜の保護、消炎、抗菌
となります。

適用症は創傷、皮膚炎

安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

カレンデュラのキーワードをおさえておきます。
お肌のハーブ。マイルドなハーブ。カロテノイド色素と浸出油。万能軟膏。

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4つ目は「ジャーマンカモミール」になります。
学名はMatricaria chamomilla(マトリカリア・カモミラ)Matricaria recutita(マトリカリア・レクティタ)
和名はカミツレ
使用部位は花部です。

属名のMatricaria はmatrix、子宮を語源としています。婦人病によく用いられたことからきています。

また、種小名のrecutitaは、下に反り返るの意。開花時に花弁が舌状に反り返ってさくことからだと言われています。
もうひとつのchamomillaは、地面の低いところでりんごのように臭うもの、という意味で
地面のリンゴ、呼ばれています。

カモミールは先ほどご紹介したカレンデュラと並んで、
2大肌ハーブと言われています。

ジャーマンカモミールはピーターラビットの童話にも出てくる、世界で最も親しまれているハーブのひとつ。童話のなかで、ピーターがお腹をこわして、お母さんにカモミールティを飲ませてもらっている有名な場面がありますので、絵本の挿絵が思い浮かんでいる方も多いのではないでしょうか。

ジャーマンカモミールは優れた鎮静作用で、お腹の不調や不眠にも使えます。また、心身のリラックス、消炎作用から、ストレスによる胃炎、胃潰瘍、不眠、冷え性や月経痛など婦人科の症状に用いられます。「植物のお医者さん」とも言われ、コンパニオンプランツとして、周囲に植えた植物を元気にします。作用が穏やかなので、お子さまへも安心して使っていただけるハーブです。牛乳との相性がいいので、ミルクティーにもおすすめです。

キク科にアレルギーのある人は利用を控えます。

おさらいになります。

■ジャーマンカモミール
キク科の植物で、学名は、Matricaria chamomilla(マトリカリア・カモミラ)Matricaria recutita(マトリカリア・レクティタ)
和名はカミツレ
使用部位は花部です。

主要な成分は、精油(α-ビサボロール、カマズレン)、マトリシン、フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン)です。カマズレンは蒸留の際に、マトリシンから変化したものになります。

作用については、カマズレンからの消炎、アピゲニン・ルテオリンからの鎮静、鎮痙、駆風

となります。

適用症は胃炎、胃潰瘍、月経痛、皮膚炎となります。

安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

ジャーマンカモミールのキーワードをおさえておきます。
女性系だけでない万能ハーブ。心身のリラックスハーブ。カマズレンとフラボノイドのアピゲニンとルテオリン。


5つ目は「ダンディライオン」になります。
学名はTaraxacum officinale(タラクサクム・オフィキナレ)
和名はセイヨウタンポポ
使用部位は根部です。

属名のTaraxacum は、古く、苦い草からきており、中世ラテン語ではタンポポ属の意となっています。

また、種小名のofficinaleは、「薬用の」の意味でしたね。

ダンディライオンの名前は、葉の形がギザギザでライオンの歯を連想させることからつけられたと言われています。
アーティチョークの属名のCynaraは犬の歯のような形であることからでしたが、こちらはライオンの歯、ということで面白いですよね。

さて、そんなダンディライオンですが、とても栄養価の高いハーブとなります。その種小名からもわかるように、世界各地の伝統医学で自然薬(ナチュラルメディスン)として用いられてきた歴史があります。日本でも漢方薬の材料「蒲公英(ほこうえい)」として、健胃、利胆、緩下、催乳を目的に幅広く活用され、現在に至ります。蒲公英って、聞き慣れないかもしれないですが、パソコンで「たんぽぽ」とタイピングするとこの「蒲公英」という文字が変換されますので、それくらい有名、ということでしょうか。よろしかったら試してみてください。

利尿作用が高く、余分な水分や老廃物を排出するため、むくみの改善やデトックスに役立ちます。また、肝臓を強化して、胆汁の分泌を促し、消化不良による便秘の改善に役立ちます。母乳の出をよくしてくれる催乳作用も有名ですよね。

キク科にアレルギーのある人は利用を控えます。

おさらいになります。

■ダンディライオン
キク科の植物で、学名は、Taraxacum officinale(タラクサクム・オフィキナレ)
和名はセイヨウタンポポ
使用部位は根部です。

主要な成分は、
多糖類のイヌリン、タラキサステロール、苦味質(タラキサシン)
カフェ酸、ミネラル(カリウム、カルシウム)です。

作用については、
多糖類のイヌリンからの緩下作用、タラキサステロールと苦味質のタラキサシンからの強胆、利胆、そして催乳です。授乳中のママにたんぽぽコーヒー、は結構有名ですよね。たんぽぽコーヒーはダンディライオンの根を焙煎して「ノンカフェインのヘルシーコーヒー」として飲まれています。

適用症は、肝胆系の不調、便秘、消化不良、リウマチ
となります。

安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

ダンディライオンのキーワードをおさえておきます。
ダンディライオンは以下の4つの作用を必ず覚えておきましょう。
強胆、利胆、緩下、催乳。
イヌリンからの緩下作用、タラキサステロールと苦味質(タラキサシン)からの強胆利胆です。


ついに、キク科の最後6つめとなります。
「ミルクシスル」になります。
学名はSilybum marianum(シリブム・マリアヌム)
和名はマリアアザミ、オオアザミ
使用部位は種子です。
キク科のハーブは意外に使用部位がばらばらですよね。
アーティチョークが葉っぱ部分、エキナセアが地上部、根部、カレンデュラとジャーマンカモミールが花部、ダンディライオンが根部でした。
そして、このミルクシスルが種子、ということになります。

属名のSilybumについてですが、ギリシャ語の「sillybon(房飾り)」に由来するそうです。
また、marianumについては、ラテン語の「聖母マリアの」に由来します。
和名もマリアアザミといわれ、「聖母マリアのミルク」に由来しています。

ミルクシスルは、古代ギリシアの時代から、その種子が「肝臓を守るハーブ」として知られ、現在まで300以上の研究論文で慢性肝炎やアルコール性肝炎、脂肪肝などに対する効果が報告されています。
またストレスの多い人やお酒、タバコの多い人、薬を服用している人など肝臓に負担がかかりやすい人に用いる場合もあります。

ミルクシスルの種子には、フラボノリグナンのシリマリンという成分が含まれ、肝臓の細胞膜を保護して再生し、有害な活性酸素を捕捉したり、無毒化して、肝臓病の予防や治療に役立ちます。シリマリンはサプリやチンキで摂取しやすい成分です。ティーで使用する場合は、種子をつぶしてペパーミントとブレンドすると風味や効能が向上するといわれています。
試してみてくださいね。

そうそう、肝臓に作用するハーブとしては、ダンディライオンやアーティチョークもありましたが、ダンディライオンやアーティチョークは強胆、利胆の作用となりますが、
このミルクシスルは強胆だけでなく、肝臓の修復にも作用するのが2つとの違いになりますので、チェックしておいてくださいね。

キク科にアレルギーのある人は利用を控えます。

おさらいになります。

■ミルクシスル
キク科の植物で、学名は、Silybum marianum(シリブム・マリアヌム)
和名はマリアアザミ、オオアザミ
使用部位は種子です。

主要な成分は、
シリマリン、フラボノイド、脂肪酸(リノール酸、オレイン酸)、ビタミンE、フィトステロール(β-シトステロール、スティグマロール)

です。
作用については、抗酸化作用、細胞膜安定化
適用症は、アルコール性肝炎、脂肪肝
となります。

安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなっています。

ミルクシスルのキーワードをおさえておきます。
肝臓を守るハーブ。肝臓の細胞に直接働きかけてくれるハーブ。
聖母マリアのミルク。シリマリンによる強胆

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以上、キク科のメディカルハーブ6種をご紹介いたしました。

ちょっと長くなってしまいましたが、
共通する成分や、効能などもありますし、
何より、キク科のハーブには、ポピュラーで使いやすいハーブが
多いので、覚えておくと、生活のいろいろなシーンで活用できると思います。

何度も聞いて、覚えてもらえると嬉しいです。

それでは、今日もよい1日を♪


参考文献
ハーバルセラピストテキスト(JAMHA)
ハーバルセラピスト認定試験 対策問題集(BABジャパン)
ハーブ学名語源辞典(東京等出版)

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