ダイヤのAの話しようぜ!ダイヤのAの話!

さぁ。最近、暗い話題ばかり書いていたから。久々に、趣味の話をしよう。

今月__ついに、手を付け始めた。『ダイヤのA』という作品に。
こちら、講談社から出ている野球漫画である。
11月、現実のプロ野球はペナントも日本シリーズも侍強化試合も終わり、完全にオフシーズンを迎えた。野球のない日々をどう過ごすか……悩んで(そんなに悩んでもない)、出した答えは「足りない野球成分は漫画で補おう!」だった。
結論から言うと、めちゃくちゃハマった。

ダイヤのA』(ダイヤのエース、Ace of Diamond)は、寺嶋裕二による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(講談社)にて2006年第24号から2015年第7号まで第1部が連載され、同年第38号から2022年第48号まで第2部『ダイヤのA actII』(ダイヤのエース アクトツー)が連載された[1]
(中略)
高校野球を題材にしており、登場キャラクターたちが苦悩・葛藤を重ねた末、成長していく姿が最大の見どころ。その他、フライボール革命や二番最強打者論など、MLBのトレンドを取り入れる点も特徴。また、『巨人の星』などのようないわゆる魔球が登場せず、超高校級の選手はいても現実的な描写であるのが特徴である。作者の寺嶋は「リアルな野球漫画だとよく言われますが、それは地味な練習描写が多く、また実在の選手やシーンを参考にして作画するスタイルが影響しているかもしれませんね。」と述べている[2]。

出典:『ダイヤのA』https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイヤのA

はい。高校野球の話である。
めちゃくちゃ、めちゃくちゃ簡単に説明すると、主人公・沢村栄純(投手)が田舎から東京の強豪校・青道高校に入学してエースナンバーを目指す感じの話である。野球、投球に関して光るものを持っていながらも知識などは素人同然の沢村がどんどん成長していく姿は非常に見ごたえがある。

とりあえず様子見、ということでアニメから入ったのだが、もう普通に面白くて、1話20分があまりにも速すぎる。続きを見る手が止まらなかった。
なんかもうアニメを観ている間でさえも待てないくらい続きが気になってしまい、「ええいままよ!」と大枚をはたいてダイヤのA全巻……電子書籍で購入つかまつった。予想だにしていない出費だったが、買ってよかったのでヨシ。アニメは原作の販促というが、本当にそうだ。アニメは出来が良いに越したことはないだろう。ダイヤのアニメはとてもよかった。
アニメを観始めたのが14日、漫画を買って読み進め始めたのが23日、そして26日に第1部全47巻、読破いたしました。2週間足らずでここまで。まさに破竹の勢いである。止まらなかった。
ちなみにactⅡはクレカの都合で12月に入った瞬間買おうと思っているので、とりあえず今は第1部まで。

さて、ダイヤのAの何にそんなに惹かれたか……色々あるが、やっぱりひとつ大きいのは主人公の前向きさ、かもしれない。
打者の手元で変化するクセ球を武器とする主人公沢村。先述の通り知識や技術は入学時点ではまだまだ素人同然だったのだが、野球に対するひたむきさだけは誰にも負けない。自分の実力を理解して、素直に、前向きに努力ができる。自分でも「心の強さ」を売りにしているだけあって、ここぞの場面で勝負強い。紆余曲折ありながらも周りの意見を受け入れて、着実に課題と向き合ってそれをクリアしていく様子は見ていてとても気持ちがいいのである。多少調子に乗ることはあっても、かわいげがあるというか、嫌味がないというか……とにかく、ちゃんと自分の今の力を理解したうえで高みを目指す方法を考えて教えを乞うて、真っ直ぐ野球に向き合い努力する姿に心を打たれるというか、つい応援したくなる、そんなキャラクターである。
やっぱり主人公は素直で前向きで明るいほうがいい。こんなに主人公が好きになる作品もあんまりないかもしれない、というくらい私は沢村に対して好印象を抱いている。
他のキャラクターもみんな印象的だし、キャラクターの造形が上手いと思った。ちなみに私が好きなのは御幸一也です。沢村の1学年上の正捕手。野球IQ高い勝負強いリード上手い肩も強いついでに顔も良い。是非この逸材をベイスターズにほしい。非常に魅力的なキャラクターである。

ダイヤのA、良い所がまだまだたくさんある。なんせずっと野球をやっているのである。ストーリーフックが、全部野球にある。それが私はたまらなく好きだった。廃部の危機とか、弱小校から成りあがるとか、部の立て直しとかじゃない。荒削りな主人公が、全国レベルの強豪校で仲間と切磋琢磨しながら這い上がる構図が良い。
スポーツ漫画に、ノイズはいらない。ただひたすらに、何の障害もなく、スポーツに向き合っていてほしい。そういう思想の持ち主であるので、ダイヤのAは非常に私の好みに合った作品だった。なにより、ダイヤに触れ始めた動機が「オフシーズンに足りない野球成分を補う」ことにあったから。練習試合、夏の甲子園予選、練習試合、秋の大会……野球尽くしである。素晴らしい。
中だるみも全然なく、一気に夏を駆け抜けていくのが堪らなかった。
あとなんか地に足ついてるなぁって感じ。理論とかに納得感があるというのか。先の引用でリアルな野球漫画でうんたらと言われているが、本当にそう思う。作者ご本人も野球をされていて、取材もたくさんされていて、そういうものの積み重ねなのだろう。とても丁寧につくられている、と思う。野球への愛情を感じるのが良い。

ダイヤのA。何よりすごいと思ったのが、「試合結果が分かっているのにどちらが勝つか最後まで分からないヒリヒリ感があった」ことである。試合結果が分かっている、というのはもちろん仕様ではなく、16年前から連載を続けてきたご長寿漫画であるので、さすがの私でもネタバレを回避することができなかったのである。夏の大会の試合結果など、既に分かった状態で読んでいた。ネタバレを見てしまった瞬間はめちゃくちゃ落ち込んだ。
でも、なんか……いざ読んでみると、「え!?どっちが勝つのこれ!?分かんないよこれ!!」と、いうような。熱く痺れる試合が待ち受けていたのである。既知の勝敗なんて関係ない。試合中に起こる駆け引きやドラマこそ、野球の醍醐味なのである。
正直アニメを見始める前は、「現実の試合に敵うフィクションの試合なんてないよな~(野球は現実が一番面白いから)」と思っていたのに、あっけなく手のひらクルーである。ダイヤのAにすっかり魅了されてしまった。
何より、作者の「高校野球を描きます!!!」という心意気が常にビシビシと伝わってくる。高校スポーツが好きだから、何だか嬉しいなと思った。

高校生の3年間は、本当に長くて短くて濃密で大事なものだと思う。その3年間を、ひとつの物事にすべて捧げる若人たちの刹那の煌めきが堪らなく好きだ。「刹那の煌めき」が好きだから、極論、スポーツじゃなくても良い。でも、それじゃあ、なぜスポーツが好きなのか。スポーツというジャンルは如実にフィジカルが物を言う分野である。身体的に未成熟な青少年たちが真剣に、情熱を持ってスポーツに向き合い、挑戦する過程で生まれるドラマには、何ものにも代えがたいものがあると、私は思っている。それを観戦者という立場から味わえる喜びがある。当事者にしかわからない想いもたくさんあると思うが、きっと観戦者だからこそ味わえる興奮や楽しみも、あると思う。いや、きっとある。
だから私は高校スポーツが好きなのだ。

ダイヤのA。学校によって立場も違えば事情も違う、各々の想いも決して同じではない。それでも高校球児たちは「甲子園に行きたい」、それだけは同じ気持ちで日々を過ごし、闘っている。それが良いと思った。チームの数だけ、人の数だけ、ドラマがあって、悩みがある。それでも願いはみんな同じ。高校生が甲子園にかける想いは、私なんかじゃ到底理解できないほど大きく、重たいものなのだろう。この漫画を読んで、そう感じた。

第1部最終巻まで読んで何より良いなぁ……と思ったのは、最終巻。最終巻で、3年生の「高校野球」を、ちゃんと終わらせてくれたこと。
ダイヤのAを読んでいて、これは「誰かの野球人生」の話ではなく、「高校野球」の話だと読み取った。だからこそ、3年生の高校野球を終わらせて、ちゃんと別れを告げさせてくれてよかった。
大学でも野球を続ける者もいれば、やめる者もいる。「甲子園出場」について、まだ割り切れない想いを抱えた者もいる。それでも、自分で選んで決めた道を歩んでいく。自分の未来は自分の目で確かめに行く。そういう描写が、本当によかった。それってすごく難しくて、すごくかっこいいことだと思う。全高校球児へのエールだろう、もう。きみたちの未来は、閉ざされたわけじゃないんだ。
以下ネタバレだが、正直私は夏の大会での3年生の引退を、秋の大会が始まってからも受け入れられずにいた。まだ、もっと3年生の野球を見ていたかったと、ずっと思ってしまっていた。でも、47巻で3年生が各々自分の未来に向かって歩んでいく描写を見て、私もやっと3年生に別れを告げることができたのである。本当に、よかった。

良い漫画だった。久々にこんなにキャラクターに愛着が湧いて、1コマ1コマに熱中できる漫画に出会えたことに感謝しよう。とても読み応えのある作品だった。
12月までの数日間はアニメでも見返して、第2部に備えよう。
ちなみにダイヤのAは最近16年の連載に幕を閉じ、12月に最終巻が発売する。終わり方についてネットではやれ打ち切りみたいだとか16年続けてこれかよとか言われているので、ちょっと怖い。連載が終わってから読み始めたくせに、こんなにも愛着が湧いてしまった作品の終わりが来るのが寂しいと思っている。あと2週間もすれば、私も最終話を目にすることになる。
第1部がすごく充実していて満足したから、意外とどこで終わっても受け入れられるような気がしているが、さて。それは自分の目で確かめないと分からないね。
もし受け入れられなかったら、やはりその先を待つしかない。作品は一旦ここで終わっても、好きの気持ちはそう簡単には終わらない。長く楽しんでいけたら良いな、と思っている。
ダイヤのAactⅡ……御幸世代の集大成と、沢村世代躍進の1年。楽しみで仕方がない。そして「その先」があるとしたら。御幸卒業後、沢村たちピッチャーはどうなるのか。「先輩卒業後を見据える」というのは、actⅡにおいてひとつの大きなポイントになるのではないかと勝手に思っている。全然違ったらごめん。
早く12月にならないかなぁ。たのしみだなぁ。

オフシーズンでも、私を助けてくれるのは、やっぱり野球らしい。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

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