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4人は地球をつくり、そしてぼくたちは家族になった。ーSEKAI NO OWARIが告げる新しい世界の始まりー

音楽文投稿2つ目。
前回のザチャレについてはパパっと書き終えることができた一方で、今回のセカオワは構想から1年近くかかりました(少し大げさ)
12/6のファンクラブツアー「Fafrotskies」の前に投稿できたので、気兼ねなく公演を楽しむことができました!
といっても投稿完了は先行物販に並んでいる時ですが。笑

ライブが終了して多幸感に包まれている帰路のこと。
「セカオワの4人と仕事をしたい」
というのがフワッと頭に降りてきたので、これからの1つの目標としていきたいと思います。
ライターなのか、ブレーメンのような社会活動なのか。
関わり方はまだ不明ですが、目指すものとしては申し分ないですね。

▼音楽文のリンク▼
http://ongakubun.com/archives/7415

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SEKAI NO OWARIはデビュー以来、その独特な世界観で多くのファンを魅了してきた。
2010年のデビューから変わらず歌い続けてきたのは、「社会の不条理」「愛と希望」の2つである。両者は相反するものかもしれないが、彼らが表現する世界観はこの2つを根底にしていると私は考えている。
彼らの世界観については「EARTH」で既に独自性がうかがえ、先日完走した「IMSOMNIA TRAIN」の様子からは世界観がより深まり、4人が新たなステージに向かっていることを私たちに感じさせた。
こういった華々しい活躍と同時に、4人の精神的成長や絆の深まりも随所で感じることができる。ここでは4人が世界に向けて放つ音楽そのものの魅力はもちろんのこと、その音楽の根底にあるもの、ここ数年での世界観や哲学の深化について追ってみたいと思う。

今日までのセカオワの活動を振り返る中で、小沢健二との出会いは非常に大きなターニングポイントになったのではないだろうか。
2017年9月に小沢健二とSEKAI NO OWARI名義で「フクロウの声が聞こえる」をリリース。小沢健二が2017年突如として音楽シーンに帰還したことは、世間を騒がせる大きなトピックであり、彼とセカオワのコラボはそれに次ぐ話題性を持っていた。
小沢健二について語るには紙幅が足りないため、ここで長々と記述することは避けたい。ただ一点触れるとするなら、音楽を制作する上での世界観・哲学・社会への課題意識等、セカオワとオザケンには共通項が多いといえるだろう。

彼ら5人の出会いと交流については、YouTube等にアップされている短篇動画で詳しく語られている。これによると彼らの交流は2015年から既に始まっていたという。
2015年というと、7月に「Anti Hero」がリリースされた。それまでのファンタジー色の強い楽曲とのギャップ、洋楽マニアをも唸らせる完成度の高さで、このシングルが話題となったことは記憶に新しい。
この曲が生み出されリリースされたことと、4人が小沢健二と交流を深めていったこと。私はどうしてもこの2つを切り離して考えることができない。
「Anti Hero」以降の彼らの音楽はただのファンタジーではなく、理念や強いメッセージがリスナーにより深く刺さる形へと変化した。そう言っても過言ではないだろう。

特にその変化が如実に感じられるのが「Hey Ho」である。
「Hey Ho」は、ブレーメンという動物殺処分ゼロ支援プロジェクトを開始するにあたって製作された。
ブレーメン公演は3年目を迎え、アコースティックでの演奏やブレーメン公演限定で披露されるカバー曲がファンに喜ばれている。

「誰かを助けることは
 義務じゃないと僕は思うんだ
 笑顔を見れる権利なんだ
 自分のためなんだ」

この曲は従来のファンのみならず、誰かのためにひたむきに活動を続ける多くの人々の心にも強く響いたことだろう
。SEKAI NO OWARIが自ら連絡をとり交流が続いている団体は複数あり、その中で得られたリアルな感覚が曲に反映されている。

「音楽は4人の世界観を表現する上での手段に過ぎない」
先に述べたブレーメンでは大規模な譲渡会も行われており、4人の活躍する舞台が音楽シーンだけではないことは明白だろう。
彼らはエンターテイメントを追求していく中で、舞台演出や社会活動にもその関心を広げ、多様な分野の知識や価値観を横断的に得て自分たちのものにしてきた。
それはまるで、Lv.1の勇者が少しずつレベルアップを重ね、1人ずつ仲間を増やして成長していくかのようだ。
小沢健二からレコーディングに誘われたときは非常に驚いたというメンバーだが、Owl City、DNCE、Epic High等、これまでに海外アーティストとのコラボレーションも活発に行ってきた。海外での豊富な経験は確かに楽曲にも表れている。

「何度もトライ しているうちに 
 ひとりふたり三人四人 
 村人が増えてきては
 「頑張れ」って叫んでる」(PLAY)

デビュー当時「世界の終わり」というバンド名は良くも悪くもセンセーショナルに取り上げられることが多かった。
「ひとつの世界が終わることで新たな世界が始まる」
Fukase自身の経験を基にしたこのバンド名は、今では新たな意味を持っている。

「今の世界を終わらせ新たな世界を始める」

彼らが目指す未来には新たな世界が待っている。4人は旗手として私たちを導く存在となったのである。
彼らの歩んできた長い道には様々なものが足跡となって残されている。
貧乏生活に耐えながら作り上げたライブハウスは、若手が経験を積む場に。台風が迫る中で開催した野外イベント名は、所属する事務所に。ブレーメンは動物殺処分ゼロに向けて、継続的な支援・啓発を促すものとなっている。

「社会の不条理」を純粋な子どものような視点から歌っていた「世界の終わり」は、
「社会の不条理」をなくし世界に「愛と希望」をもたらす「SEKAI NO OWARI」へと進化を遂げた。
メンバー4人だけではない、彼らの活動に関わるスタッフ、ファン、世界中の人々を巻き込んだ、より大きな存在へと。

「僕らにはこんなことしか出来ないけど
 今日は君に歌ってほしいんだ
 僕らにはこんなことしか出来ないけど
 今日は君に笑ってほしいんだ」(ファンタジー)

4人は最初に地球という名のライブハウスをつくり、シェアハウスでの生活からも見受けられるように、家族のような友人たちを増やしてきた。
SEKAI NO OWARIがこれから何を生み出していくのか、私たちはこれからどう生きていくのか。
彼らが作る世界は、きっと今よりも優しい。

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