無題33

ヨーガスートラ第1章(三昧)ノート その3

<Ⅰ-2> 
ヨーガハ チッタヴリッティニローダハ
「ヨーガとは、心(チッタ)の作用を止滅させることである」


◇チッタ・・・心の構成
まずはチッタ。「ココロ」というものについて。
一口に”ココロ”といっても人によって定義がまるで違います。
この言葉の取り扱いの範囲はすごく大きくて、とても一言で説明はできません。

一言で説明できないということは、もしかしたら二言以上では説明できるかも。。

ということで理解のためには分類という作業が必要となります。

”ココロ”の働き方について、どんな分類を思いつくことができますか?

例えば

・理性と感情。

・意識と無意識。

・魚心と水心(これはちょっと違うか。。)


色んな分け方があるんだけど、「ヨーガスートラ」の場合は「3つの働き」に分類します。

・マナス

・ブッディ 

・アハンカーラ 

この3つが”ココロ”を構成するとされます。

それぞれが一言の訳語ではやっぱり説明できないので(笑)くどくどと解説しましょう。


◇マナス・・・反応する心
日本語への訳当てが難しいんだけど、経験をデータとして「反応する心」と言うと分かりやすいかな?

コンピューターってデータを入力すると計算して答えをだしますね。

人間の心にも同じような”働き”があります。

コンピューターがデータ処理をするために、前もって内部にインプットされている”ルール”を使うように、僕たちにも内側にデータ処理の”ルール”を持っています。

「本能」を重要視するという方ルール。

そして「経験および記憶」を重要視するというルール。

外から入力された刺激(インプット)に対して、高速処理コンピューターのようにものすごい速さでカシャカシャとデータを本能や経験と照合をして、答え(アウトプット)をぱっと導き出すのが”マナス”という意識の働き方です。

でも早い分”マナス”はしょっちゅう間違えます。

インドではよく「ロープを蛇と勘違いする」という例え話で”マナス”を説明していますが、なぜ「正確さ」よりも「速さ」を優先するかというと、”マナス”というのは心の機能の中ではとても原始的な領域に属するからです。
原始的というのは要するに「命ある存在」に必要な共通項です。

全ての生き物としての”最優先事項”って何でしょう?

マイホームでも最高のパートナーでもありません。

まず生き残ることです。

繁殖も娯楽も哲学も命が脅かされずに生存できた上で初めて成り立つことですね。


食うか食われるかという状況にあるときに生き物は流暢に
「ん?じっくり考えてみなきゃ」にはなりません。

もし散歩の途中にアナコンダに出くわしたら瞬間に行動を決めないと、
「あれ?これはどういう進化の過程でこんなに長くてくねくねしてるんだろう?」
なんて考えている間に胃袋に収められてしまいます。

外からの反応に対して、本能が「キケン!」。過去の経験が「イメージェンシー!」と告げたなら、さっさと行動を起こす必要がある。

”マナス”は生存していくうえでは欠かせない機能なのです。

ただちょっとモンダイもあります。

”マナス”は無意識的な反応だから、過去の経験との照合の上、平気で今の自分に必要のない答えを導き出してくれちゃいます。

分かりやすいのがパブロフの犬かな?

ベルの音と食事に直接の因果関係は本当は存在しないのに、ベルの"りんりん"とよだれの"ダラダラ"が結びついてしまう。

真理の探求している最中であってもベルの音が聞こえたら、そこに存在しない御飯を全力ダッシュで探してしまいます。

そうすると彼なりの”期待”と”失望”。もしかしたら”自己嫌悪”までを経験することになります。


小さいころに丸顔のジャイアン系にいじめられた経験が根深い人の”マナス”は「丸顔は危険!」と反応するから、アンパンマンみたいないい奴であっても"丸顔ゆえ"にアブない奴に見えてしまいます。

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ステキな人間関係が広がっていくはずの未来も、”マナス”の反応によって簡単に閉ざされてしまうのです。

反応の原因は決して普遍的な事実ではありません。

特に人間の場合は本能的な動物に比べて、”抽象概念”を通じて個人的な記憶や経験をマナスに関与させてしまう強い傾向があります。

大好きな人が薔薇を好きなら、わたしにも薔薇が最高ステキに見えます。

ノイジーな隣人が百合の花を丁寧に育てていれば、百合もウルサいラッパに見えてきます。

いずれにせよ”マナス”の反応態度は「ありのままの真実」を観ることからはほど遠い認識を生じさせ、そこから様々な「感情の波」が生まれてきます。

”マナス”の基本は”反応の働き”なのですがここには”感情の働き”もその範疇に含まれます。

”感情の仕組み”も発生学的に根本へ辿っていくならば”反応の仕組み”にたどり着きます。

動物は生命維持のためにある自律的なシステムを”内臓”として内側に包み隠しているのですが、内臓には機能維持のための自律神経支配と共に、外部世界による刺激も多様に伝達されています。

その刺激に対して「興奮」として反応することで、アドレナリンやらセロトニンやらのホルモンが内外の行動を決定づける舵取りをしているのですが、それらは当然様々な心情も生み出す因子となっているのです。

嬉しい。楽しい。悲しい。怖いなどの感情は頭よりもカラダで感じませんか?

中医学では「陰陽五行説」といって、それらの感情を各臓器との関わりの中で説明しています。

東洋的な医学では「働きかけ」は内蔵→感情だけでなく、感情→内蔵の働きかけを重要視して、双方の理解を健康維持に役立てているようです。

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