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Axie Infinity から撤退した話

Axie Infinity を2022年1月中旬にやめました。

・所有するすべてのアクシーを売却
・ギルドを解散

解散直前、ギルドは8名でした。せっかく構築した彼らとの関係を考えると、他のBCG(ブロックチェーンゲーム) を新たに始める選択肢がありました。話題のペガクシーとか、今後スカラー実装が期待されるSTEPN とかです。

しかし、そもそもBCG自体を撤退するタイミングと読み、半年間戦ったフィリピンの精鋭たちへ別れを告げたのです。

これまでブログ、Twitter、そしてこのnote などでAxie Inifinity の情報発信をしました。得た経験を淡々と発信するという味気ない内容ではありましたが、Axie を世に知らせた罪滅ぼしも兼ねてポエムを追記します。

もしいま進退に悩んでいる方に届けばいいなという思いです。

結論

・2021年と同じような上昇相場は来ない。2022は覚悟して臨んだ方がいい
・金融引き締め局面は流動性リスクが高くなる。BCGに限らず特にNFTは
 流動性リスクが極めて高い。撤退は流動性があるうちにしかできない
・GameFi 含むDeFi は基本的にすべてがポンジ。つまり先行者優位のゲーム

「稼ぎたい!」と息巻いている人、この3文を読んでぱっと理解できなかったらAxie Infinity をはじめとする BCGに一切かかわらない方がいいです。

「楽しみたい!」という人。儲からないことを前提に「BCGを知る」という純粋無垢な目的を持っている人はいますぐにやるべきです。ただし、少額でやりましょう。

BCG の未来は明るいです。しかしいまは投資すべきフェーズではないというのが個人的な見解です。

2021年と同じような上昇相場は来ない

2020年、2021年という年を一言で表すならば、

何を買っても儲かる年でした。

ラッキー相場だったんですね。

その背景にあるものは何か。それはコロナ禍を支えるための世界各国の中央銀行による金融緩和。これが正体だったといえます。

しかしこの緩和は2022年3月、まず米国が終了 (テーパリング) させます。また、終了と同時に急ピッチな政策金利の利上げを開始させ、6月からはバランスシート縮小(QT) も追加で行うだろうという観測が出ています。現在ばらまきすぎた弊害による高インフレの予兆が出ているからです。

ゲーム銘柄は投機(リスクマネー)が相当含まれる

ゲーム銘柄の値動きから推察するに、投機(リスクマネー)が相当数含まれていることがわかります。金融引き締め局面は、リスクマネーから引きあがると言われます。つまり、世界がリスクオフとなった場合、真っ先にやられるのがゲーム系銘柄の可能性が高いのです。

2021年のビットコインとAXSコインの値動きをおさらいします。

Axie Infinity のガバナンスコインであるAXSが最高値は $166 でした。2021年11月上旬です。

AXS/USDT 週足。6月末はわずか$4。これがたった5ヶ月で$166へ。現在は$56。

同じころ、大型アップデートを迎えたビットコインも2021年の最高値である、$69,000 をつけています。つまり、仮想通貨全体が盛り上がっていたんですね。

しかし相場全体は11月頃から雲行きが怪しくなり、以降は右肩下がりが続きます。だらだらとした展開が続き、そして2022年1月下旬の暴落を経て、一時ビットコインは$33,000,  AXSは$45 をつけました。

たったの2か月で、ビットコインは50% 下落。しかし、AXS は75% もの下落を記録したのです。これは驚異的な調整です。

注目するべきはAXSの下落率

ビットコイン、イーサリアムといったメジャーコインは50% の下落率で留まりました。しかし、AXS コインをはじめとするゲーム関連銘柄もウォッチしたところ、メジャーコインよりも強い下落圧力を受けたことがわかりました。

これは何を意味するのでしょうか。ゲーム銘柄はメジャーコインと比較して投機色が極めて強いということです。

2022年の金融は大変厳しい見通し

お金の大局的な流れを知るには、米国市場を観察する必要があります。

2022年1月の米国消費者物価指数(CPI) は7.5% という数字をつけました。これはオイルショックなどにより強いインフレに苦しんだとされる1970年代以来、40年ぶりという衝撃的な数字です。

加えて政策金利の比較をすると、当時は7.5% とされていたそうですが、現在は0.25%。つまり、ゼロ金利政策の真っ最中なのです。このようにゼロ金利政策金利下での強いインフレは、いまだかつて人類が未経験の異常事態と言えるのです。

・我々は3つのリスクに直面しています

NFTは流動性リスクが極めて高い

NFTは流動性リスクが高いため、売りたいときに売れない流動性リスクがあります。

流動性が高いとは、

「買いたいときにすぐに買え、売りたいときに売る」

健全であり望ましい市場の在り方といえます。

流動性リスクとは、このような望ましい状態ではなくなるということです。

売りたいときに売れなくなるのです。

NFTの利用用途は極めて限定的

NFTは利用目的がはっきりしています。

ゲームのキャラクターであれば、ゲームをプレイする用途で使います。一方、用途以外のユースケースは限られることがほとんどです。

用途が限定的であるということは、そもそも構造的に流動性リスクが高い商品 ということです。

Axie Infinity のキャラクターであるアクシーも1体、1体がNFTです。いまはゲームへの需要があるので流動性があります。しかし、ゲーム以外では何の利用用途もありませんから、ゲームへの信頼性が低下すればするほど価格が下がり、そして誰にも売ることが難しくなっていきます。

また、現在は日本円換算でとても高額です。割高といえます。

BCGは2021年に大ブームとなった新興市場です。BCGに過大な期待があり、明らかなプレミアムが価格に上乗せされています。

アクシー1体の最低価格(フロア価格)の推移を紹介します。2022年2月現在、わたしが参入した2020年8月頃の価格と比較すると、フロア価格は1/10 にまで下落しています。

2021年8月 … 0.153 ETH  (時価約3万円)

2022年2月 … 0.011 ETH  (時価約3千円) 

資産が1/10 となる……これがどれほど恐ろしいことが分かりますか。Axie Infinity への期待 = プレミアムが相当はげ落ちていることもここから理解できると思います。

GameFi 含むDeFi は基本ポンジ

ポンジというと、ちょっと表現は過激かもしれませんが、いまはあえてこのような言い方をした方が時代的に正しいと感じるので説明します。

Axie Infinity というゲームが稼げるとされますが、その稼げる給料 (=SLPトークン) の源泉は何でしょうか?正解は、(1) AXSトークンの売却益(VC調達含む) (2) ユーザによるアクシーのお買い上げの手数料 (ETH) となります。

Axie Inifinity には現在、外貨を稼ぐ機構が備わっていませんから、現時点では「お金の流れ」だけをみるとポンジスキームですね。

そもそも、SLPの発行量は運営が調整できるのです。ゲームシステムの改変という名目で中央集権的に行うことができます。

つまり、これは富の再配分ゲームです。先行者優位が働くのです。

「儲けたい」という下心を持つ人はこの点を真っ先に抑えるべきなのです。「いつ撤退するか」を計算してから参入するのです。

中身があるからポンジか?という議論は意味がありません。お金の流れだけに着目する必要があります。

・外貨を稼ぐ機構が存在するか
・参加するユーザが外貨を稼ぐことに貢献できる仕組みがあるか(UGC要素があるか)

こんなところがポイントなんじゃないかと思います。

一旦市場が縮小しだすとどうなるのか?「儲かるはず」としていた多くの人たちがぽつり、ぽつりと消えていきます。SLPの原資が減っていく訳ですから、ますます儲からなくなるループに入ります。「崩壊し始めた」と誰の目にも明らかになったときは手遅れです。売れないNFTの山が積みあがっていくのです。

特に、現在は金融マーケットが不安定であり、リスクマネーが抜けやすい局面であるといえます。AXS, ETH の価格下落は、過度なユーザ離れを引き起こす可能性があります。

この一点はしっかりと認識するべきです。

補足事項

BCGは発展途上の新興市場です。

いまは資金の流れだけみればポンジに近い形式となってしまっていることは否定できません。しかし、今後発展し、大きな経済圏を構築する可能性があります。

ちなみにお前はどうだったのか

えらそうに語りましたが、結果的には収支ほぼトントンか、ややマイナスで終わることになってしまいました。結果論でわたしの撤退適齢時期は11月でした。撤退の難しさを痛感しました。

しかし、わたしの場合はBCGを体験したことによって様々な知見を得ました。フィリピンの若者たちとの国際交流、チーム運営、etc と、勉強になることばかりで、この代え難い経験がタダでGETできた、という見方をしています。ポジティブ(笑)

強がっている訳ではなく、「まだみんながよく分かっていない」「バブル」はノリと勢いで乗りこんでみるのは大事であると実感しました。

Axie Infinity に関してはほぼ稼ぎはありませんでしたが、たとえばGala Games 等では大きな稼ぎを得ました。これはAxie を通じてポンジ構造を理解し応用したためです。

しかしGala は運営がかなり強気な価格設定をしておりややチキンレースの雰囲気を感じます。いまから参加するのはあまりおすすめできません。

現在の投資ポートフォリオはビットコイン以外はほぼキャッシュ(ステーブルコイン含む) です。投資が開始できるタイミングをじっと待っています。

免責

半年間、実際にAxie Infinity 投資を行った一個人の感想であり、この文章はファンタジーです。

将来は誰にも分かりません。将来の予測を含む記述は「最悪のシナリオの一つ」としてご検討頂けると幸いです。

わたしの投資スタイルは最悪を避ける、が第一義です。

(余談)投資に絆(慣れ合い)は不要

「投資」を行うときの鉄則は「隣人を憎む」態度を持つことです。

Axie Inifinity も例外ではありません。

Twitter をながめていると、必要以上に深い関係性を構築しているようにみえるアカウントもちらほらあり、少し心配になっています。「いちぬけた」が裏切りのようになってしまう可能性があるからです。

しかし、そもそも投資は個人戦ですから、裏切りもクソもないのです。

・投資資金の大小
・参入時期
・リスク許容度

人それぞれですよね。

いつやめようが、他人にはどうでもよく、問題はじぶんの中にしかありません。忖度した結果、損失をしたところで他人は補填をしてくれませんからね。

やっかみがめんどくさいなら、Twitterアカウントを削除しましょう。新しいアカウントをまた作りましょう。Web3らしく、いくつもの「わたし」を作ればよいのです。

もし何かのお役に立てましたら、サポートを頂けると嬉しいです。