笹井宏之賞 落選短歌たち!2020夏

唐突に短歌を何首も載せる非礼


短歌と言いつつ575で失礼します。

タイタンの学校で太田光代理事長による短歌・俳句・川柳の授業が2020年の夏頃にあったのですが、そこでプロの芸人ならば短歌の一つや二つ作れて当たり前だ!(大意)というふうにハッパをかけられやる気になりたくさん作ったものの、その授業で推奨されていた応募先がいくつかあってそこにみんなで応募しましょうという流れだったのだが、謎の尖りをみせて結局そこには応募せず、笹井宏之賞という書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)さん主催の短歌の賞に応募して、見事に一次審査で落選した短歌があったことを思い出したので、載せます。
恥ずかしいね!

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「基本的に天使しか乗れないのです」と ヘリポート前で帰らされけり

その跡に大仏でも置いとけばよい ビルの間の急な空地に

灰色のオフィスの床に脱糞す 蛍光灯の効果やいかに

わたしにはたくさんの姉がいたような 無限のいとこも存在しえた

卓球の球を打つたび意識さる 黒くて青くて無慈悲すぎる床・・・

キンカンや鯛を食わない生活が 人に漫才などつくらせる

もう二度とみんなで歌はうたえない ビリー・アイリッシュをもってしても

前任とわたしのあらゆるおこないで汚れたシーツを覆う 上から

カレンダー、唯一無二の記念日も とりあえずトマト色で保存す

深夜にてバックヤードで調整す カラーボールの投球フォームを

夕方にコーヒー飲まざるを得ぬひと 朝の占いを打ち消すために

つけ麺を食べてる子熊 終わったら 一緒に光の方にゆくのね

スイッチを消しても とわに持続する 熊谷市民へのインタヴュー

スイッチを押すと自分のスイッチを切る機械ならどんなに楽か?

「この時計 進んでいるね」と言ったけど べつに直して欲しい訳では

速さもて節足動物斃【たお】すとき君の潜在的鬼が出る

U F Oがやってきたって変わらない オリンピックは演られ続ける

二曲目を楽しみにして否応なしに聴いた一曲目も好きになる

こんなにもこの世青いかブルーライトカットグラスをはずす夏の夕

「いない間見張っていてね」と綿菓子を渡された座敷わらしと目が合う

砂浜に打ち捨てられたAirPods集まってできた島がこちらです

貴婦人の日傘のあるく丘の影 滴り落ちる薔薇の背脂

種のない アボカドの中の真空の ここにしか響かない音楽

凄まじき 電子音楽の塊 ドリアンの肉差し出すような

漆黒のビニルでできたゴミ袋 いきなしそれで生まれ落ちたの

喫煙者押し込められし渋谷の角 車道シマウマの群れが駆けゆく

肉塊にライトセーバー使いをり ミディアムレアのステーキできる

「グロテスクな世界観をもつひとですがそれ自覚してる善き夫です」

「茄子は水」との謗【そし】りを受けてなお茄子が、ブリリと光を反射するなり

「何が幸福?」というプロジェクトについて考えざるをえない罠なの

風が吹き 切られた爪の飛散して そこからはじまる悪の帝国

風景であり続けたその鉢植えを枯らしてしまおうと決めた夏

地底人 高級地割れの店にゆく 命のスリルあればなおよし

この世への無知で成立するくらし 考えれば歩くもままならぬ


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短歌・俳句・川柳って一見できそう?とか思っちゃうのが最大の罠ですよね!

見返したらなんか暗いしあんまり面白くなかったんでもっと頑張ります!

Adieu.


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