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力士達の黄昏《シコナロック》

 7度目の破壊の後、若き審判者の血大地を染めし時、神聖なる力士が土俵を裂き審判を下す。
ー土俵文書第8章2節よりー

 両国国技館…地下666メートル暗黒相撲闘技場。7度目の大破壊《オスモウインパクト》により死亡した観客は通算2万7千人に登り、生き延びた力士も僅かに12人となった。これは全盛期の1/30である。

 だがそれは問題ではない。暗黒相撲闘技場に生きる者にとっては相撲こそがただ唯一の真実。なればこそ今日も相撲が行われるのが当たり前と言うものだ。

 若き行司が見守る中今日も立ち会いが行われる。ぶつかり合い激しい相撲の余波に、若き行司の足元が揺らぐ。「グワッーー!」極限まで踏み固められた土俵は一般人にとって凶器でしかない。仰向けに倒れた行司の頭は割れ土俵が赤く染まる。

 観客の老人が震え怯えながら呟く「”力士達の黄昏”じゃ…相撲の健全を守る力士が来るぞ…」

 遥か宇宙。人工衛星の中で一人の力士が目を覚ました。
【続く】

#逆噴射プラクティス
#小説
#相撲

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