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TikTokとYouTubeの相互補完

・正月のワンシーン
正月にSNSを見ていて感じたことがいくつかあった。例えば、Twitterを見ていると、以下のようなツイートを見かけた。

「お正月なので、Facebookを久しぶりに覗いてみたら、おじさんの自撮りだらけなので、Twitterに逃げてきました」

実際、Facebookの10代20代の利用は、2014年に約50%だったところが2020年には15.8%まで下降しているし(※参照1)、実際インターン生や会社後輩の様子を見ても積極利用の様子はない。現実の知り合い同士のフォローによるクローズドなFacebookは他のSNSメディアとは別物の存在に感じる。

・一生、触れることのないコンテンツ
一方で、TikTokやYouTubeでは、もはや芸能人も入る隙がないほど新しいタイプの有名人や人気者が誕生している。「流行りのアプリを使っている、使っていない」という利用の問題だけでなく、レコメンド機能によって偏ったコンテンツで時間を消費することになり、一生触れることのないコンテンツも多数ある。なので、テレビで見る有名人は知っていても、人気YouTuberが誰が誰かわからなくなっている人たちも多いのではないだろうか。TikTokについては、もはやアプリすら入れていなければ触れることのない未知なる世界だ。

「10代トレンドワード予測(芸能人インフルエンサー部門)」
・1位 KPOP第4世代(ITZY、aespaなど)
・2位 ゆら猫(TikToker)
・3位 むくえな(YouTuber)
・4位 ばんばんざい(YouTuber)
・5位 nanakoななこ(YouTuber)
(※参照2:Markezine)

・テレビからYouTubeへ
"インスタグラマー"や"TikToker"がインフルエンサーとして、(収益的に)活動している場合もあるだろうが、やはりYouTubeの収益モデルが確立されており”ユーチューバー”としての肩書きが目立つ。一流芸能人を相手に圧倒的な差をつけているユーチューバーが増えていることは下克上のようで興味深い。

WHY YouTube?
・一流の制作企画プロ集団であるテレビのコンテンツではないものに面白さを感じている
・同年代の仲間と時間を一緒に過ごしているような感覚がある
・美容や写真など専門知識の得る場になっている
・プライベートなスマホが情報空間の中心なので、それに適したものであるなど

・TikTokの存在感とYouTubeとの関係
また果敢にTikTokのような若年層にアプローチしようとするビジネス界隈の動きも見られるが、TikTokの月間アクティブユーザーは950万人(※2022年1月時点、参照3)であり、老若男女のコミュニケーションツールであるLINEの約10%に過ぎない。(※LINE8900万人、参照3)

にもかかわらず、TikTokに異様なエネルギーを感じるのは、雰囲気だけではない。短尺動画であるが故の異常な高速回転である。それは一般のネットユーザーの投稿が他人の目に触れる確率が高いことと、いいねやシェアのハードルの低さが相まって、超高速PDCAが回るメディアになっていることだ。(普通は見られずに終わっていくものが、いいものがあればバズりやすい。)また、人の真似をして面白がる文化も成立しており、伝言ゲームのように伝播する側面もある。

そして、もう一つの脅威はYouTubeとの相互作用である。TikTokはユーザー層に偏りのある印象が否めないが、それよりもメインの収益源となるYouTubeとの文脈が根強いことに注目したい。つまり以下のような理由でユーザーがTikTokとYouTube間を相互に合い入れる可能性があるということである。

・YouTuberのコンテンツの切り抜きがTikTokに上がって脅威的に拡散
・YouTuber自体もTikTokアカウントを持ち、切り取られやすい工夫
・TikTokで知って、プロフィールからYouTubeへ移動
・TikTokerとしてバズった人がのちにYouTubeに主戦場を移す

・自己紹介よりもインスタ!?
補足的にインスタについては、TikTokerが激しくコンテンツを上げている中で、同じ人物とは思えないほど落ち着いた記念写真の保管場所のような印象を受ける。そして、特徴的なのはやはりストーリーズであり、TikTokに上げるような短尺動画や静止画(写真)の加工をひたすら上げては消えていくという風潮だ。
先日、親戚の中学生が高校に入学する際に、(名前などの)自己紹介をする前に「インスタのアカウント教えて!」と初対面の友達にいわれたと聞いてびっくりした。そして通常の投稿は少なく、多くがストーリーズに取りとめもないものが上がることになる。

まとめ
・TikTokとYouTubeは相互に関係が深いものになっている
→「小さく高速なTikTokの回転」と「大きな収益と人気知名度を拡大する巨大コンテンツのYouTube」が共存する生態系が出来上がりつつあることで、他のメディアの可処分時間を奪っていく脅威

・TikTok/インスタ/YouTubeショート動画などの短尺は中年世代が思うよりも増殖が早く、Facebookにいると一瞬で知らない世界になる可能性がある


補足
・参照1:https://honote.macromill.com/report/20200107/
・参照2:https://markezine.jp/article/detail/37951
・参照3:https://www.comnico.jp/we-love-social/sns-users