見出し画像

朝んぽのすヽめ

 久しぶりの連休。昨日の夜から、舞い上がって眠れない。

 スマホで読める無料漫画を読み始めたら止まらなくなって、だらだらとページをめくり続けるうちに、気づけばもう朝になっていた。カーテンの隙間から、光が少し入り込んでくる。

 うちのわんこ、ダックスのミルちゃんは起きるのが早い。毎朝6時ちょうどになる頃、顔をペロペロして起こしにくる。今日ももれなくペロペロタイムが始まった。ひたすら口の周りをペロペロベロンベロン舐める。放っておくと、多分、ずっと舐め続ける。そこで、最近開発したペロペロを止める技の出番だ。顔を高速でブンブンブンブンブンと5往復ほど左右にふると、なぜか止めてくれる。「あ、終わりか〜。は〜い。」みたいな感じ。たまたま見つけた技だけど、百発百中でペロペロを止めてくれるから助かる。

画像1

 せっかく早く起きたから、というよりも寝ていないのだから、そのままお散歩ならぬ、朝んぽへ行くことにする。リードをつけて、お散歩グッズを持って、いざ出発。

 ドアを開けると、眩しい光が大量に目に差し込んでくる。清々しい。清らかな朝だ。うふふと微笑まんばかりに、細めた私の目に飛び込んできたのは、大量のイナゴの姿だった。3階建のアパートの階段の壁に大量にくっついている。ぞわぞわ。少し数えただけでも、10匹以上いる。う・・・。お願いだからこっちに飛びかからないでよ・・・と念じながら横を無事通過。

 仕切り直して、再び朝を感じる。アパートは田んぼのど真ん中に立っている。まだ若い田んぼの緑が、視界いっぱいに広がる。開放感。よきよき。

画像5

 だあれもいない。静かな朝。太陽が昇り始めたばかりで、照りつける日差しもまだない。地面も冷えていて涼しい。空気も澄んでいる。自然と美味しい空気が体の中へ吸い込まれていく。汚される前の空気は実に美味しい。不純物ゼロといった感じ。静かだと思いきや、耳をすませば虫や鳥の鳴き声で賑やかなことに気がつく。どの声も、自然と調和していて心地よい。賑やかだけど騒々しくない。

 少し歩いたところで、向こうから歩いてくる釣竿を担いだおじさんを目撃。散歩中に人とすれ違うときいつも戸惑う。挨拶をするか否か。ここはどがつくほどの田舎だけど、アパートには地元民でない短期滞在者の方々がたくさんいて、少々マナーの良くない男性たちもいる。誰だかわからない人に、変に挨拶をして、顔見知りになるのも嫌だしな・・・ここはいつも通り、ミルちゃんを見ているふりをして下を向いてやり過ごすことにしようと、スタスタ歩く。そこへ、思わぬ出来事が。「おはようございま〜す。」とおじさんの方から声をかけてくれたではないか。慌てて私も少々掠れた声で挨拶をお返しする。よいなあ。こういうの。

画像3

 おじさんをクリアした後、曲がり角でミルちゃんのうんちタイムが始まる。気張ってる姿ってなぜかかわいいんだよなあ。背中を丸めてもっこり体制で、うーんうーんって一生懸命気張りながら、チラッと上目遣いで時々見上げてくれる。うんちする姿がかわいいなんて、得な生き物だよなあ。ふとミルちゃんの脇に目をやると、ミミズの死骸に小さなアリンコさんたちが群がっていた。たくさんいる。まだ朝の6時過ぎなのに、もう仕事している。働き者だわ、本当に。

画像6

 普段ミミズが死んだ後どうなるのかなんて考えないけれど、こうしてアリンコさんたちや他の昆虫なんかが食べてくれているのだろうなあ。道で行き倒れても、誰かが生きる為に命をいただいてくれる。自然界ではこうしてちゃんと、命がぐるぐる回って巡っている。無駄がない。不要なものがない。それに比べて我々の暮らしはどうだ・・・。

画像6

 朝んぽの道中で、3匹ぐらいミミズを見た。みんなもう死んでしまっていて、アリンコたちにちゃんと見つけてもらっていた。

 ぐるりと短めの散歩コースを一回りしてアパートに戻る。よく見ると、アパートの壁のそこら中にイナゴがくっついている。ドアの縁にも付いているから、きっと住人の誰かが開けた時家の中に飛び込んでいくだろなあ。びっくりするぞ。(経験者は語る。)玄関に停めてある私の愛車(自転車)にも、かなりの数のイナゴさんたちがくっついている。がびーん。まあ、最近乗ってないしいいか。

 まだまだ7時にもなっていない。今日は長い1日を過ごせそうだ。

画像5



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?