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向日葵さん 2

 入院で苦しい胸の内をブログで綴り、同じ病名の人をネット上で探していた頃、私に1通のメッセージが届いた。
「私も同じ脊髄腫瘍で手術しました」
と言う書き出しで、いろんな詳しい話をブログに載っているので、よかったら参考にどうぞと言う親切なメールだった。すぐにブログを訪問し、これから自分に起こりうるものだと思いながら読み進めて行くと、想像を絶する恐怖の毎日だという現実が綴られていた。全て読み切り、まだ詳しく知らない彼女に、不安の胸の内を打ち明けた。彼女から戻ってきた返事には、
「私は信頼できる医師に出会い、手術していただき少しずつ回復に向かっています。諦めない気持ちと医師と医療を信頼する気持ちが大切です。迷われているようでしたら、セカンドオピニオンも検討される事をお勧めします」との連絡の最後に、彼女の病院名と医師名が載っていた。
「え?」
と一瞬目を疑った。自分のベッドについている医師と同じ名前だった。その時の驚きと喜びは言葉では言い表せないもので、今思い出しても涙が溢れてくる。真っ暗闇の不安の中で見つけた唯一の光だった。この時流した涙は、それまでとは違う希望の涙だっただろう。彼女との続くメッセージのやり取りの中で、
「きっと、助けてくれますよ」
と届いたメールが、その後の私の心の支えになった事は間違いない。彼女との出会いは当時の私にとって、手術をする勇気と希望を与えてくれた人物です。この日まで手術の不安と後遺症の不安、命の不安までも考えていた自分を救出してくれた、運命さえ感じる向日葵さんの心強いメールは、一生忘れることはないだろう。
 翌日から毎日のように色んな検査が入り、私の運命を決める事になる全身PET検査の日がやってきた。これでひと通りの検査は終了です。この検査で腫瘍が写っていたら、間違いなく脊髄腫瘍ですぐに手術になることになるだろう。「どこにも何も写っていませんように」と願うしかなく、この日から病名がつくまでの11日間は、私の生涯で1番苦しい思いをする時間になった。



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