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食パン

まだ夜も開けていない2月の午前5時。

目覚まし時計も仕事をする前に目が覚める。

昨夜は午後9時に寝た。9時に寝たら5時に起きても8時間睡眠。

起きたらひとまず腹に何かを入れて落ち着きたい。

何があったかな?いつもは何か惣菜パンを食べるが買い置きはない。そんな時は食パンだ。

実はそんなに食パンは好きではない。

食パンを食べるよりかは惣菜パンや菓子パンといたもの方が好んで食べている。食パンは昔から妙に舌に馴染まない。もちろんまずいものとは思わない。

最近は食パン専門店もあり、買ってみて食べたこともある。確かに味はいい。でも食パンはあくまで食パンだ。結局ずっと食べ続けるのはしんどい気持ちになってしまう。

こんなにこき下ろすならじゃあ食うなとみなさん思うことだろう。申し訳ない。しかし人の体というのは罪なもので、無性に食べたくなる時がある。そんなことで今日は食パンで朝日を迎える事にした。

暖房のスイッチを押し、パンをトースターに置く。冷蔵庫のサイドポケットからスライスチーズを取り出し、包みをはがし、パンに載せる。この時パンの全体にチーズが乗ってくれない。買ったパンは山形の食パンだ。仕方がないのでチーズをパンの下の方に載せて、トースターのつまみを3分の所にひねる。じじじじーと音を鳴らしながらトースターが動き出す。

トースターを待っている間にインスタントスープの準備。コーンスープの素をサラサラと黄色くて丸い形のカップに入れて、ケトルにお水をたし、カチッとボタンを押す。

ここまで整えば、一仕事終えたとホッと一息。

チンという音と共に、表面がパリパリに、チーズがトロトロになったトーストの出来上がりだ。ケトルのお湯をカップに注ぎスープと共にテーブルに置く。

トーストはチーズののった下から食べる。上のチーズの甘味と旨味が口の中で広がる。味の主演はチーズだが、食感という助演は下の食パンがになってくれる。助演というより建物の基礎、土台だ。チーズのコクと旨みに唆られて、一口、もう一口と食べていくとあっという間にチーズとパンは消えていく。美味しいところを必死に貪ってしまったせいか、まだ食パンは半分ほど残っている。

さてどう食べようかと1つ考える。ジャムはバターもいい。でも目の前のスープにふと目がいく。そうだ、これにつけて食べたらいい。

まだ大きいパンの一部分をスープに浸す。あたかもパンがスープを飲むかのようにどんどん吸い込みヒタヒタになったところをパクリ。

お麩のようにトロトロな食感とコーンスープの甘みがしっとりと口に広がり、スープの暖かさに心もホッとした気持ちになる。

またしても一浸し、二浸しをして食べていったら今度こそ無くなってしまった。

名残惜しいがこの温かい食事によって体も1日を迎える準備が整った。

朝日がカーテンから少しずつ入りだし1日が始まる。豊かな朝と同じような豊かな1日となりますように。


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