見出し画像

「共同親権」の運用に関し、子どもの最善の利益の観点に基づいた十分な議論を求める意見書(府中市議会)

6月19日、府中市議会(東京都)で「「共同親権」の運用に関し、子どもの最善の利益の観点に基づいた十分な議論を求める意見書」が可決されました。

"改正により共同親権が導入された場合、裁判所の決定により、関係の破綻した双方が共同で子どもの養育などに関与することを強いるような共同親権の強制があってはならない。離婚後の共同親権は原則ではないことを明文化し、強制が起きないように対策を行うことは不可欠である。"

なお、6月の地方議会では、紫波町(岩手県)、小金井市(東京都)、大和高田市(奈良県)でも共同親権に関する意見書が採択されています。

令和6年第2回定例会議決結果 東京都府中市ホームページ (city.fuchu.tokyo.jp)

※note掲載にあたり、一部、改行(余白)などレイアウトを修正しています。


「共同親権」の運用に関し、子どもの最善の利益の観点に基づいた十分な議論を求める意見書

 2024年5月17日、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」の選択を導入する改正民法が参議院本会議で可決、成立した。単独親権以外の選択肢を増やすことは、家族の在り方や子育てなどが多様化する中、必要な場合もあるが、最優先されるべきは子どもの最善の利益にほかならない。

 一方、全ての親と子どもに対して重大な影響をもたらす可能性があるにもかかわらず、国民的議論もないまま、拙速に議論が進んでいるとの懸念の声が上がる中での成立となった。
 改正により共同親権が導入された場合、裁判所の決定により、関係の破綻した双方が共同で子どもの養育などに関与することを強いるような共同親権の強制があってはならない。離婚後の共同親権は原則ではないことを明文化し、強制が起きないように対策を行うことは不可欠である。

 改正により家庭裁判所の業務負担の増大及びDV・虐待のある事案への対応を含む多様な問題に対する判断が求められることに伴い、十分なアセスメントを行い、子どもの権利が阻害されないようにするための人的・物的な体制の強化は急務である。

 法制審議会家族法制部会における「家族法制の見直しに関する要綱」の付帯決議に「子の養育は、子の意見・意向等が適切な形で尊重されることも含めて子の利益の確保の観点から行われるものである。その上で、子の養育は、父母のみがその責務を負うものではなく、その子の養育をする父母及び子に対する社会的なサポートが必要かつ重要であり、また、ドメスティック・バイオレンス(DV)及び児童虐待を防ぎ、子の安全及び安心を確保するとともに、父母の別居や離婚に伴って子が不利益を受けることがないようにするためにも、法的支援を含め、行政や福祉等の各分野における各種支援についての充実した取組が行われる必要がある。」とあり重視すべきである。

 また、子どもの利益を確保するため、養育環境の決定時に、子ども自らが意見や意向を安心して伝えられる、専門家による聞き取りなどの支援体制の構築や、ひとり親の貧困を解消するため、法定養育費制度の確実な運用、養育費の支払い確保等の各種支援策を拡充するべきと考える。

 よって、府中市議会は、国会及び政府に対し、離婚後共同親権の選択の導入に関し、児童の権利条約及びこども基本法を踏まえ、子どもを権利の主体と位置づけ、「子どもの最善の利益」を最優先にし、具体的かつ実効性のある運用に向けた議論を尽くすことを強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年6月19日

議 長 名

(宛先) 衆 議 院 議 長 、 参 議 院 議 長 、 内 閣 総 理 大 臣 、
法務大臣、内閣官房長官


関連記事


離婚後共同親権に関する声明などは、こちらにまとめています。


よろしければサポートお願いします。 共同親権問題について、情報収集・発信の活動費として活用させていただきます。