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「離婚後共同親権」の施行に向け、十分な検討を求める意見書(大和高田市議会)

6月20日、大和高田市議会(奈良県)で「「離婚後共同親権」の施行に向け、十分な検討を求める意見書」が原案可決されました。
意見書は、附帯決議の具体化とともに、子の意思の反映、DV・虐待についての関係機関への徹底、父母の所得を一律に合算しないこと等を求めています。
なお、6月の地方議会では、紫波町議会(岩手県)、小金井市(東京都)でも共同親権に関する意見書が採択されています。

意見書・決議/大和高田市 (city.yamatotakada.nara.jp)

※note掲載にあたり、一部、改行(余白)などレイアウトを修正しています。


「離婚後共同親権」の施行に向け、十分な検討を求める意見書

 本年5月17日に参議院本会議において民法等の一部を改正する法律案が可決、成立しました。今次の法改正においては、離婚した夫婦が離婚後も子どもの養育について共同で親権を担う「共同親権」の導入が大きな改正点となっています。離婚後の親権のあり方に関する改正は77年ぶりの大きな変更であり、関連する分野も多岐にわたります。

 しかし、今国会における法案の審議では、改正による影響や運用上対処すべき問題点等について十分に深められたとは言い難いものであり、衆議院で12項目、参議院で15項目にわたる附帯決議が採択され、法成立後も検討すべき課題を残しています。

 とりわけ、既に信頼関係を失った元夫婦間の葛藤が共同親権に持ちこまれ、その趣旨に反して共同親権が子どもの福祉を損なうことが強く懸念されます。またDVの被害者等からは、加害者側が離婚後も支配、介入を企てる手段として共同親権が利用される恐れが指摘されています。教育や児童福祉の現場からは、「親権者の所得」を要件とした子どもへの支援施策において、子と生計を一にしない共同親権者の所得が生活実態に関わらず算入され、対象外となる可能性が示されています。こうした懸念を払拭し誤りのない運用がなされるよう、改正法の施行までにしかるべき基準やガイドラインの整備が行われ、周知されなければなりません。

 国におかれては、令和8年度に予定されている改正法施行に向けて、国会での附帯決議が求める内容をすみやかに具体化するとともに、特に下記の点について十分な検討を行い、国民に理解を求めることを強く求めます。

  1. 離婚後共同親権において父母の意見が一致しない場合に、子どもの利益が損なわれることがないよう、基準やガイドラインを整備し周知すること。特に親権の単独行使の範囲については、当事者の意見を踏まえた具体的かつ児童福祉に即したものとし、子どもの意志を適切に反映できる仕組みを設けること。

  2. 裁判所での親権の決定に際して誤った判断がなされないよう、DVや児童虐待についての知見を収集、研究して関係機関に徹底するとともに、相談体制を充実すること。

  3. 「親権者の所得」を基準とする施策の対象となる子どもが離婚後共同親権の下で養育されている場合に、親権者たる父母の所得を一律に合算せず、子どもの生活実態に即した支援が行われるようにすること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

  令和6年6月20日

大和高田市議会


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離婚後共同親権に関する声明などは、こちらにまとめています。


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