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(6)検証:選択肢の文言はどう改変されたのか? 【TBS報道特集が取り上げる「実子誘拐被害調査報告書」とは?】

8月24日の報道特集は「子供の連れ去り」とTBSが告知しています。
報道特集(JNN / TBSテレビ)
告知動画などによると、報道特集では、NPOキミトによる「実子誘拐被害調査報告書」も取り上げるようです。

今回の記事では、「実子誘拐被害調査報告書」での選択肢の文言の改変について検証します。


<これまでの記事>


選択肢の文言を改変してDV「一切ない96.7%」と強調

前回の記事では、「相手にDVをしていましたか?」との設問について、以下の問題点を指摘しました。

  1. DVの範囲を極端に狭くとらえる選択肢が設計されており、深刻な被害(病院・精神障害・経済破綻など)、または、複合的かつ一方的かつ継続的な嫌がらせに該当しなければ、「上記のようなことは一切ない」との回答になること

  2. グラフでは、「上記のようなことは」との重要な文言を削除し、「一切ない」と表記していること

  3. シンポジウムのスライドでは、DV「一切ない96.7%」と強調していること


グラフ上の表記が簡略化されることなんてよくあること?

これらの疑問について、「グラフ上の表記が簡略化されることなんてよくあるけど、社会調査を解釈する素養がない人には難しかったんだろうなぁ。」とのコメントをいただきました。

ご指摘の通り、グラフを見やすくするために、選択肢の文言を簡略化することはありえると考えます。ただし、その場合、「意味を変えない範囲において」ということが大前提となるでしょう。


「実子誘拐被害調査報告書」は、最も文字数の少ない選択肢をさらに削っている

では、NPOキミト「実子誘拐被害調査報告書」では、選択肢の文言をどのように改変しているのか、検証してみましょう。

(調査票の文言と一致していると思われる)数表では、各選択肢の文字数は、最小13文字、最大55文字です。「上記のようなことは一切ない」との選択肢は、他の選択肢より文字数が少ないことは一目瞭然です。
にもかかわらず、なぜか、「実子誘拐被害調査報告書」は、グラフ作成にあたり、「上記のようなことは」という重要な文言を削除して改変しています。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」
(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)
P35より作成


「一切ない96.7%」「DVしていない96.7%」と強調

このように改変された選択肢の文言をもとに、NPOキミトは、シンポジウムやSNSで、DV「一切ない96.7%」「DVしていない96.7%」などと強調しています。

「実子誘拐被害を知るシンポジウム」2024年2月26日
https://x.com/Megumi88Mori/status/1826271210344460645
※引用に際し赤枠を追加


他の選択肢も改変されていた 「複合的」「継続」との限定を削除

今回の検証では、新たに他の選択肢も改変されていることが明らかになりました。
設問22「あなたは相手にDVをしていましたか?」では、「深刻な被害」に該当しない場合、DVに該当するものとして、以下の選択肢が提示されています。

  • こづいたり蹴ったり罵倒したり小遣い与えなかったりなど軽度だが複合的な嫌がらせを 【一方的に】継続して与えていた

一方、グラフでは以下の表記に改変されています。

  • 小突いたり蹴ったり罵倒したり小遣いを与えないなど軽度の嫌がらせを一方的に行っていた

ここでは、「複合的」「継続」という重要な文言が削除されています。また、回答に影響を与えたと思われる【一方的に】という文言について、強調の【】が削除されています。
(自由記述では、「お互いに」とのキーワードを含む回答が複数ありました)

2024年「実子誘拐被害調査報告書」
(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)
P35より作成


以上、「実子誘拐被害調査報告書」での選択肢の文言の改変について検証しました。
このような改変は、意図的であれば「調査報告書」として重大な問題がありますし、単なるミスであれば調査データの取扱いに慎重さが足りなかったと言えるのではないでしょうか。


報道特集は、この「調査報告書」をどのように取り上げるつもりなのか、TBSの対応が注目されます。


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