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中野英幸政務官「不必要な紛争が多発するとの懸念には当たらない」 水野もと子議員の質問へ答えず

3月26日、水野もと子議員(立憲)が参議院外交防衛委員会で離婚後共同親権について質問しました。

水野議員は、「親権と監護権の定義が曖昧なままで共同親権を認めると、紛争が多発するのではありませんか」と質しました。中野英幸法務大臣政務官は「不必要な紛争が多発するとの懸念には当たらない」と答弁し、水野もと子議員の質問に答えませんでした。



中野英幸政務官「不必要な紛争が多発するとの懸念には当たらない」

3月26日、参議院外交防衛委員会での質疑は以下の通りです。中野政務官はDVの場合の親権者の決定について言及したのみで、「親権と監護権の定義が曖昧なままで共同親権を認めると、紛争が多発するのではありませんか」との水野議員の質問に回答しませんでした。

水野もと子議員(立憲)
今般の法案で、離婚後共同親権、当事者の合意がなくとも裁判所が認める可能性があるようでございますが、 合意がない場合には認めるべきではない、もし認めるとしてもごく限定的であるべきではないかというふうに考えます。というのは、紛争が増加するからであります。
親権と監護権の定義が曖昧なままで共同親権を認めると、紛争が多発するのではありませんか。特にDV被害者の方から身の危険を感じて心配が多く、声が上がっています。もっと丁寧な検討が必要と感じますが、法務省の方、お願いいたします。

中野英幸法務大臣政務官
本改正案は、DVの場合のように、父母双方を親権者と定めることにより、 子の利益を害すると認められた時は裁判所が必ず単独親権と定めなければならないとすること等、DVのある事案に対しても配慮をする内容となっております。従って、委員ご指摘をいただいたような場合に、不必要な紛争が多発するとの懸念には当たらないと考えております。
そのうえで、国民に不安が広がることなく、本改正案の内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと存じます。

水野もと子議員(立憲)
今回の法案、様々な問題があると思いますけれども、親権の定義と監護権の定義がそれぞれバラバラで、そして両方にその分掌をすることを認めてしまいますので、今まさに子どもと一緒に住んでいる人が何が単独で決められるのかをはっきりしないと、たくさんの紛争につながりますので、その辺りの法制度構築におきましては丁寧にしっかりと行っていただきたいと思います。


小泉法務大臣「不必要な紛争が多発するとは考えておりません」

新たな紛争が多発する懸念については、3月14日、本村伸子議員(共産)も衆議院本会議で小泉法務大臣へ質しています。小泉法務大臣は、日常の行為や急迫の事情は単独行使できるとして、「不必要な紛争が多発するとは考えておりません」と答弁しました。

本村伸子議員(共産)
夫婦間の信頼が失われ、破綻し、離婚に至る場合、共同親権がかえって子どもの安心・安全・命を損なう現実的な懸念をどう検討されたのでしょうか。共同親権になった場合、子どもに関わる重要な決定は、元配偶者の同意が必要となります。合意が得られなければ、その度に裁判所の判断を求めることになり、新たな紛争の多発が懸念をされるのではありませんか。

小泉法務大臣
紛争が多発する懸念についてお尋ねがありました。
本改正案では、監護又は教育に関する日常の行為をするときや、子の利益のため急迫の事情があるときは、親権を単独で行使することができることとしており、不必要な紛争が多発するとは考えておりません。


紛争が多発し、家族法改正に至ったオーストラリア

なお、離婚した父母に共同決定を求めることで紛争が多発することは、すでに海外で明らかになっています。
例えば、オーストラリアでは、どのような場合に共同決定が必要なのか明確でないことが紛争を誘発する要因になったとして、2023年、家族法の大幅改正に至っています。

  • ‐複雑で反復的であるため、依頼人のコストは増大し、裁判所の効率も損なわれている。

  • ‐父母の共同決定を求める条項は、どのような決定なら協議を必要としないかについての明確な情報がないため、紛争を誘発する要因となっている。


<参考資料>


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