【共同親権法案】地方紙が続々と社説 ―「拙速な法改正は許されない」「今国会成立にこだわるべきではない」
参議院で審議中の「共同親権法案」について、地方紙・ブロック紙が次々と社説を掲載しています。
国会で議論を尽くすことを求めており、具体的には、以下の点を指摘しています(要旨)。
DV案件を1件でも見逃せば、命に関わる事態が起きかねない
適用を誤れば、離婚後の子どもの安全を脅かしかねない。
「真意」を確認する措置について、施行日まで検討を先送りしてはならない。
「急迫時の事情」「日常の行為」など、参院でも踏み込んだ議論が進まなければ、今国会成立にこだわるべきではない。
子どもの権利について盛り込まれていないことも改正案の大きな欠陥
4月以降、共同親権法案についての社説を掲載した地方紙・ブロック紙は以下の通り(5月4日現在)
北海道新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、北日本新聞、山陰中央新報、山陽新聞、中国新聞、愛媛新聞、佐賀新聞、大分合同新聞、宮﨑日日新聞、琉球新報
【北海道新聞】共同親権 子ども守る議論さらに
(4月16日)
暴力や虐待の被害者らは、加害者側による理不尽な支配が続くことを強く懸念している。
「真意」をどのような措置で確認するかは、政府が施行日までに検討するという。
重要な論点であり、先送りしてはならない。政府は父母の気持ちを見極める具体策を示し、参院で議論を尽くす必要がある。
【琉球新報】「共同親権」衆院可決 子の利益配慮した議論を
(4月17日)
共同親権導入には、ひとり親家庭の当事者団体などから異論が出ている。元配偶者による家庭内暴力(DV)を断ち切れなくなるとの懸念を払拭できないからだ。参院はこうした不安に向き合い、丁寧な審議に徹してほしい。拙速な法改正は許されない。
【信濃毎日新聞】共同親権法案 子ども主体の議論尽くせ
(4月18日)
どのような仕組みであれば導入が可能なのか。その前提としてまず、親権とは何かを明確にし、認識を共有することが欠かせない。この国会での法案の成立を見送ることも含めて、丁寧に議論を積み重ねる必要がある。
【新潟日報】共同親権 DV被害者の不安払拭を
(4月21日)
成立すれば26年までに施行され、既に離婚した父母も単独親権から共同親権への変更を申し立てることができる。
このため、家裁への請求件数が膨らむ可能性はあるが、DV案件を1件でも見逃せば、命に関わる事態が起きかねない。家裁が慎重に見極められるか問われる。
【山陽新聞】共同親権法案 子の権利守る議論尽くせ
(4月22日)
子どもの権利について盛り込まれていないことも改正案の大きな欠陥と言わざるを得ない。日本が批准してきょうで30年となる国連の「子どもの権利条約」には自分の意見を表明する権利が明記されている。家裁などで子どもの意向を丁寧にくみ取る仕組みが要る。昨年施行された「こども基本法」を踏まえ、国会は子どもの権利保障のための議論を尽くすべきである。
【北日本新聞】「共同親権」衆院通過/DVの不安、無視できぬ
(4月23日)
ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者が法案に抱く不安は切実だ。その声を無視するわけにはいかない。
【佐賀新聞】共同親権法案 DV排除へ議論深めよ
(4月24日)
衆院審議で野党は、父母の十分な合意を共同親権の条件とするよう与党に修正を迫った。DVなどで父母の力関係に差があり、対等に話し合えないことも考えられるからだ。付則に「真意を確認する措置を検討する」との文言が盛り込まれることになったが、課題を先送りしたに過ぎず、実際に何らかの対策が講じられるかは見通せない。
【宮﨑日日新聞】共同親権法案 DV排除へ議論深めよ
(4月25日)
共同親権が導入されれば、多くの争いが家裁に持ち込まれることになるだろう。それをさばき、信頼を得るのに十分な体制を早急に整えなくてはならない。
https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_77333.html
【山陰中央新報】共同親権法案 DV排除へ議論深めよ
(4月26日)
子の医療や教育を巡り、どこまでなら父母双方の同意は必要なく、一方の親だけで決められるかという線引きも曖昧なままだ。混乱を招かないよう、参院で議論を深め、詰めなくてはならない点が多々ある。
【中国新聞】共同親権法案 生煮え議論では不安残る
(4月26日)
衆院は「急迫時の事情」「日常の行為」が何かを示すガイドライン制定を求めた付帯決議もした。議論が生煮えだったことの証左と言えよう。これでは法案が子どもの利益最優先をうたったところで、不安を拡大するだけになりかねない。参院でも踏み込んだ議論が進まなければ、今国会成立にこだわるべきではない。
【愛媛新聞】共同親権法案成立へ 当事者の声を聞き丁寧な審議を
(4月27日)
元配偶者との関わりを避け、子どもの安全を守りたいとの反対意見は根強い。DV被害者らが始めた、廃案を求めるオンラインの署名活動には約22万筆が集まった。政府は当事者の声に耳を傾け、改正案に反映させるべきだ。
当事者らは、親権の決定権を持つ家裁がDV事案を適切に判断できるか疑問視している。
家裁は父母で合意ができなくても、DVや虐待の恐れが認定された場合を除き、共同親権を決定することができる。ただ、密室で起きるDVの証明は難しい。認識や判断を公正に行えるかは不安が残る。
この点は衆院でも議論され、親権の在り方を決める際、父母の「真意を確認する措置を検討する」と付則に加えた。適用を誤れば、離婚後の子どもの安全を脅かしかねない。参院では、父母の気持ちを見極める具体策について議論を尽くさなければならない。
【大分合同新聞】共同親権法案 DV排除へ議論深めよ
(4月27日)
https://www.oita-press.co.jp/1042000000/2042002000/2024/04/JDC2024042502497?pagn=1
お読みいただき、ありがとうございました。
なお、過去の報道関連は、こちらのマガジンにまとめています。
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