4泊5日台湾鉄道一周の旅[3日目・その2]
今度こそホテルへ
お店を出て市場を抜けると、外の道路の交通量が明らかに減っています。
そして、ゼッケンみたいなベストを着た人々がどこからともなく現れ、大通りの交差点から路地の交差点に至るまで、ありとあらゆる交差点にスタンバイし始めました。大通りの交差点だと四つ角の角毎に1人ずついるので、1交差点につき4人います。路地の信号のない交差点でも1~2人はいる。結果、街中がベストの人だらけ。
交通警備の人たちかと思ってベストをよく見ると、「警察」「POLICE」の文字が。これはマジでガチでヤバい事態では…!?と、あまりの衝撃に語彙力が後退する我々。今度こそホテルに戻らねば。
本気を出した我々、封鎖開始まであと10分というところで、ホテルのあるエリア(ブロック)に到着。ところが、封鎖の終了時刻をガイドさんから聞いていないことに今頃気付き、最悪の事態に備えて水と食料を確保しようと、同じブロックにあるコンビニへ。
コンビニでは、ご年配の女性二人が入口の前に置かれた椅子に座って談笑していました。もしかするとそんなに緊急事態ではないのかも、と油断しかけましたが、交差点を通るたびに見かけた警官の姿が脳裏をよぎり、急いで買い物を済ませてコンビニを飛び出します。13:30まであと3分くらいしかないぞ!
そしてサイレンが鳴り響く
両手にレジ袋をぶら下げ、両足をフル回転させながら、13:30きっかりにホテルに到着。入口の扉を開けてフロントに飛び込んだ瞬間、街中にサイレンが大音量で鳴り響きました。何?どうした?今から高校野球でも始まるの!?
あっけにとられる我々を、フロントに座っていたお姉さんがハイタッチしそうな勢いで立ち上がって出迎えてくれました。我々の生還を祝ってくれた模様。うれしい。でも何事。
部屋に入ってネットを検索したところ、今日は台南市で「萬安演習」と呼ばれる空襲避難訓練が行われる日だったのです。空襲…避難訓練…!?
そう、あまりに平和なのですっかり忘れていましたが、台湾は中国と未だ臨戦態勢にあるのでした。そのため、年に一度、台湾各地で空襲を想定した避難訓練が行われるのです。開催日は都市によって異なりますが、大体5月か6月に行われるようなので、この時期に旅行を計画される方は、事前に日程を調べておかれることをお勧めします。
訓練の時間は30分間。この間、屋内にいる人は外出禁止。車の運転も禁止。運転中の場合は路肩に停車し車内で待機。道路から建物への出入りも禁止されるので、道路上にいる人は建物の側に移動し待機。屋外において警察官から避難指示や誘導を受けた場合はそれらに従い、違反者には罰金が科されるとのこと。観光客も例外ではありません。国を挙げて行われる、本気の避難訓練じゃないか…。
部屋の窓から外をちらりと覗いたところ、見渡す限り、道路には人っ子一人いませんし、時折パトカーが走る以外、車は一台も走っていません。台南市内バスのアプリを見たところ、最初の画面に「訓練中は運行中止」との情報が載っていました。マジで徹底的に避難している。そりゃ、ガイドさんたちが必死に我々に伝えようとしてくれるわけです。
何も知らずに街中でサイレンを聞いたり、警官に詰め寄られたりしてたら(しかも中国語で)、間違いなくパニックになるところでした(そして罰金コース一直線)。ガイドのみなさん、ほんま謝々そして我爱你やで。
正興街へ
訓練は14時に終了したので、再び街歩きへ。若者の街といわれる「正興街」を目指します。
平日だったからか、それとも避難訓練の直後だったからかは分かりませんが、あまり賑わっていませんでした。やたらとアイスが売っていたような記憶だけある。若者はそんなにアイスが好きなのか?他のものも食べたくない?おいしかったからいいけど(食べてる)。
林百貨店へ
本日の最終目的地、林百貨店にやってきました。
日本人実業家である林方一氏により1932年に創設された林百貨店ですが、戦後は工場や警察事務所などに使用されていました。その後、1980年代からは空きビルとなっていましたが、2010年から改修工事が行われ、2014年に百貨店としてリニューアルオープンしました。
夜の写真しか手元にない挙句に私の撮影の腕がゴミレベルなので、何だかもう大変アレな映りになっており全く伝わらないとは思いますが、建物自体がもう本当にめちゃくちゃかわいいんですよ。私が大富豪なら一棟買いしたいくらい。言い値で払うぞ。台湾の人に怒られそうなので止めておきますけど。
館内では台湾のオシャレなお土産物が売られています。雑貨好きにはたまらない場所だな。
屋上庭園があるので、エレベーターに乗って屋上に向かいます。
1932年の創業時からある近代的なエレベーター。
インジケーターの説明文には日本語版もありました。
庫内の床のモザイクもかわいい
庭園にはなぜか郵便ポストがありました。現役なのだろうか。
奥はお土産物ショップです。
ショップでは名物の肉まんが食べられます。うまうま。
館内にはカフェもあるので、街歩きに疲れたら是非。
私の出身校の旧校舎にも丸窓があったので、懐かしや…と思って調べてみたら、こちらも1932年に竣工していました。君たち、同い年だったのか。
1920~1930年代は幾何学模様を多用したアール・デコ様式が流行したので(アール・デコ様式の建築として有名な東京庭園美術館も1933年に竣工)、両方とも当時の流行を取り入れて建設されたのかもしれません。よく分かんないですけど。
左:踊り場に椅子がしれっと置いてあったりする。絵になるのう。
右:階段横のエレベーターシャフトに開いている丸い穴。通気口かな?
階段(左・中央)とカフェ(右)のランプ。
ところで、点灯しているランプってどうすれば綺麗に撮れるんでしょうか。加工すると明かりの色味がどんどんニセモノっぽくなっていくし…(突然のお悩み相談)
館内を満喫し、お土産も購入したので、本日はこれにて終了。台湾の過去と現在を知る、良い一日になりました。
明日は台南を離れ、列車に乗って移動します。
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