りかんさん(梨木香歩/新潮社/2003.6.28)

日本人形のイメージが変わった本。日本人形が愛しく思えるようになったし、自分と遊んでくれた人形たちに感謝の気持ちを抱くようになった。

祖母から譲り受けた日本人形から始まる、不思議体験。リカちゃんではなくりかさん。不思議な存在なはずなのに、お姉さんみたいな、友達みたいな、お守りみたいな存在。

不思議な設定と並行して、女性であることで経験する、理屈だけでは割り切れない、相反する感情が共存する、混沌と美しさが描かれている。高みから見るのでもなく、分析するでもなく、隣にいる座る人にしみじみ打ち明けるような文章。

こういう価値観がまどろっこしいという人もいるだろうけど、日常を愛したいという人におすすめ。


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