BEASTARS(板垣巴留/秋田書店)

すごい作品に出会ったんだなと、読み進めるほどに思った。電子漫画の試し読みでずっと気になっていて、あるときえいっと1巻を購入したら、もう止まらなくなって最新刊まで一気に読んだ。

完結が寂しかったけれど、壮大になり過ぎずに完結してくれたのはたぶんすばらしくて、何度も読み返している。読み終わっても、登場人物たちがどこかこことは交わらないけども確かにある世界で暮らしている感じがする。

動物の擬人化ともなんか違う、動物の人体的な表し方がまずすごくて、絵がきれいでかわいくてかっこよくて。眺めているだけで楽しい。そしてとりあえずのキャラクターが一人もいなくて。設定が確かで。ふわふわしてない。ちゃんと世界がある。

種族の違いとか、所属の違いとか、物理的な強い弱いがある者同士がどう社会を営んでいくかとか、テーマはすごく重厚なやつで皆が納得する正解ってなくて、そのままだととてもとても重い社会派な作品になりそう。なのに、キャラクターの愛らしさと日常感と、他者を好きになるときのきらきら切ない気持ちと(恋愛に限らない)、そういうのが共存していて等身大。

キレイすぎるといわれるかもしれないけど、こういう理想を目指してもがきながら楽しみながら生きるというのはやはりあきらめたくないと勇気をもらうような作品だった。

最後に、アニメ化されたときの音楽までかっこよくて。まだいろいろ感情が動いているので都度感想は直したり付け足したりするかもしれない。


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