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『サピエンス全史』世界は神の創造ではなく、人間の想像で作られている

今日は十五夜、あるいは納豆の日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

満月と言えば、先日お話したところ、と言っても食べる方ですが。そう、阿闍梨餅のお店の名前、そして限定のお饅頭の名前です。詳しくは、2つ前の記事へどうぞ。

前置きとは全く関係ない、あまりに突然ですが、私の修士は「スペイン語学専攻」という、いかにも、というか普通に考えると言語学の研究なのだけど、私は映画を研究しまして。小さい大学ゆえのフレキシブルさのおかげです。

もうあの脳内フィーバーの日々から2年も経過したと思うと恐ろしいのだけど、というのも働きはじめてからのボケーっとし具合に危機感を抱き、それによる自分のシナプスの劣化が心配だからなのだが、そんなヒーヒー言いながらも書き上げた私の修士論文を読んだ教授の1人が、エッセイとしてはとてもよく書けている、と言ってくれたのです。
つまり、アカデミックさに欠けるということらしい。

ふむ。
本来ならショックで立ち直れなくなるくらいパワフルな意見だと思うけど、研究者というよりは、ライター気質だと思われる私にとっては褒め言葉ともとれる。ポジティブ万歳。

そんな先生は、読み物として面白いから、雑誌に切り売りしたら?と提案してくれた。

それは面白そうだ、と思いつつ、何もアクションせず月日は経過。
なぜなら、その術が分からなかったから。
今更感しかないけど、トライしてみようと思う。とりあえず、小チャプターにまとめていけばいいみたいなのだが、どうしたものか。
映画/芸術/文化系の雑誌に関係している人に出会いにいくしかないかな。

そんなエッセイじみた修論を書く過程で学んだこともシェアしていきたいのだが、それはまた今度にして、取り急ぎメインに論じたのは、フィクションと現実の関係性。

それを聞いて、『サピエンス全史』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。読んでいない人には強くおすすめしたい。とても面白い一冊。

私は世界に興味はあるけれど、世界史には興味が持てなかった。
なぜなら、年号・偉人の名前・戦争で埋め尽くされた、暗記してナンボの授業がつまらなかったから。
高校の授業は、イコール受験のため。それによって、歴史への苦手意識がある人、少なからずいると思う。

私がまさにそうだったのだけど、中田敦彦さんの動画が面白くて読んでみたら、大正解。動画だけで満足しないで、是非自分でも活字を追ってほしい。

「歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ。」(下、p. 48)

最初のセンテンスが「歴史を研究するのは、過去を知るためではなく」ではなく、「未来を知るためではなく」という点にロマンを感じる。どのみち否定しているとはいえ。

本書で一貫して語られるのが、この世界のベースはフィクションであるということ。

人類最初の革命、認知革命。
物語を共有する、今となってはなんてことのない動作。でも、世界の全てはそれに基づいていると言っても過言ではない。

国家、貨幣、資本主義、自由、平等、、等々。これらのアイデア全てはフィクション、創られたイメージ。国という概念がみんなの中で共有されているから国が成り立つ。
そのように、ある物語/価値は多くの人で共有されることで形となり、そうして世界は回る。

この価値観は常に変わっていく。だから、全ては神の創造ではなく、人の想像の賜物。この概念を脳に刻んでおくのは、生きる上で良いことだと思う。

それから、本書を読んだのがコロナ禍だったために注目した箇所がある。
人類が微生物を発見したのは1674年、「その後の300年間に、人類は厖大な数の微小な種を知るようになった。微生物が引き起こすとりわけ危険な致命的感染症のほとんどを、何とか克服するとともに、微生物を利用して医学や産業に役立ててきた。今日、私たちは細菌に手を加えて医薬品を生み出したり、生物燃料を製造したり、寄生体を殺したりする。」(p. 56)

もしかしたら、コロナウイルスは、人間にコントロール権を握られた微生物たちによる300年分の恨みの爆発だったのかもしれない・・・というのは、もちろん冗談だけれど。

著者はイスラエルの歴史家、ユヴァル・ノア・ハラリさん。
『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』も読んだけれど、とても面白かった。他言語では読んでいないので分からないけれど、日本語訳用に多少ローカライズされている気がする。
というのも、どちらも日本に関する言及が挟まれていたから。内容が共通ではなく、その国に合わせて例を出していると推測しているのだけど、その労力は凄まじいと思う。
もちろん、面白いさを下支えしている翻訳者への感謝も忘れずに。

ところで、ユヴァル・ノア・ハラリさん、ウクライナの戦争についてTED talkで語っているみたい。
早速聞いてみようと思います。

そんなわけで、今日はこの辺で。

ごきげんよう。


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