心の脆さこそ創造性の源 : 私がクリエイターを応援したい理由
こんにちは、臨床心理士arisanです。
この記事では、最近、私の中で抑えられなくなってきた「クリエイターのためのコーチングをしたい!」という想いについて書きたいと思います。
やっぱり「何かを創り出して社会に貢献する人」を応援したい
去年の夏頃からコーチングを学び、クライアントさんへのコーチングを本格的に提供させていただく中で、自分の中でむくむくと大きくなり、抑えきれなくなってきた想いがあります。
それは「私はやっぱり『何かを創り出して社会に貢献する人』を応援したい」という想いでした。
自分の頭の中に在るアイデアを「かたち」にして社会に届けようとする人
自分の信念に忠誠を誓って事業を立ち上げようとしている人
自分の本心に突き動かされてモノつくりをし続けている人
自分の世界観をお店として表現している人…
クリエイター、香水ディレクター、起業家、菓子職人、店舗オーナー等、職業は違えど、自分の頭の中にあるものを実現し、社会とコミュニケーションする人たちに会うと、私の心は大きく揺さぶられます。
ここでは便宜上、こうした方々をクリエイターと呼ばせて頂きます。
なぜクリエイターの応援をしたいのか?
なぜクリエイターの応援をしたいのか?と問い続けて見えてきたこと、それは、
私はクリエイターの「心の中にある情熱や、頭の中にある大切なアイデアを、社会にさらけ出す」その勇気と大胆さに心底惚れ込んでいるのだということでした。
そして、その勇気と大胆さの奥にあるvulnerability(傷つきやすさ)に飽くなき深い関心をもっていることでした。
創造性の源となるVulnerability(ヴァルネラビリティ)とは
Vulnerabilityとは傷つきやすさ、弱さ、脆さ、攻撃されやすさ、無防備さ等と訳されます。weakness(弱さ)とはまた違う、ニュアンスをもっている言葉です。
この言葉をどう表現したらいいか考えていたときにTED Talksのヘレネーブラウン氏の「The power of vulnerability 傷つく心の力」の動画に出会いました。
彼女は「自分たちの心を脆くするものこそ、自分たちを美しくする」と述べています。
傷つきやすかったり、ワキが甘かったり、誘惑に負けやすかったりする不完全な自分を隠して、完璧の鎧を背負っていても創造性は生まれない。
むしろ、自分の不完全さを人に対して、誰より自分自身に隠すことなく受け入れて、そこから何かを産み出していく力こそがクリエイターに必要とされるものだと思います。
私がvulnerabilityに関心がある理由
私事ですが、私は4歳から21歳までバイオリンを弾いていました。思春期までは人前で弾くことが好きでした。でもだんだん「聴かれる」ことを意識するようになり、人前で弾くことが怖くなりました。
それでもバイオリンが好きだったし、クラシック音楽の世界への探求心が止まらず、また音楽を通して出会う才能豊かな人達に囲まれているのが楽しくて音大に入りました。
人前で楽器を演奏するということは、その姿だけではなく、性格、努力、センス、音楽性、技術、そのときの心情、つまり「自分がどういう人間か」が音を通して丸裸になるということです。
いくら格好をつけようとしてもごまかしは効きません。
聴く側が成績をつけたり、評価したり、競い合う人であれば尚のこと、それは当時の私にとってはとても怖いことでした。
あの体験があるからこそ、私はクリエイターが恥ずかしさや恐怖を超えて自分をさらけ出す勇気を心から尊敬します。
そして、彼らがその勇気と大胆さの奥に抱えているvulnerableな部分に関心があるのです。
思春期に友人の中にみた脆い美しさ
Vulnerabilityという言葉で思い出す一人の女の子がいます。彼女とはパリ郊外のお城で開催されたバイオリンの講習会で出会いました。
当時、私たちは中学生で同い年。彼女は星の王子様が大好きな、色の白い、細く、あどけない少女でした。講習会が中盤に差し掛かる頃、優秀だった彼女は講習会会場であるお城の地元の人たちを招いたサロンコンサートで演奏するように言い渡されました。
朝〜お昼のレッスンを終えた夕方、お城のホールの窓からは西日が差し、窓際でバイオリンを構える彼女は彫刻のように美しかったです(多分演奏はブルッフのバイオリン協奏曲)。
曲がクライマックスに差し掛かり、フィナーレに向かう前に、一瞬の、神聖な「間」がありました。まるで時が止まったようにその場にいる皆がその瞬間に引き込まれました。そして振り下ろされた弓からは素晴らしい音色が奏でられました。
あの時、私は「音楽の神様に選ばれた子って本当に居るんだ」と茫然としました。嫉妬と挫折と憧れが入り混じったまま彼女のところに行くと、演奏の直後、色んな人からの賞賛、絶賛の声を背に、楽器をしまいながら彼女は一人、泣いていました。
なぜ彼女があのとき泣いていたのか、何の涙なのか、きっと本人もわからなかったのではないかと思います。でもその場にいて私は「心の中の大切なものをそのまま出したんだろうな」と思ったのでした。
自分の柔らかいところを世間に晒すリスクをとる人たち
この話がariがクリエイターの応援をしたいということとどう繋がるのか疑問に思われるかもしれません。
でも私の中では大有りなんです。
自分の内にある大切なものを純粋に、そのまま、人前に出すこと。
これは全ての起業家、職人、クリエイター、ものを創る人に共通するものです。
この世にないものを0から創り出そうとする人は皆、自分の柔らかいところを世間に晒して傷ついたり、恥をかいたり、攻撃されたりするリスクをとって仕事しています。
それでもなお、社会に心を開いて自分のアイデアを投げかけていく大胆さと勇気、そしてその奥に柔らかいvulnerableな部分を抱えています。
そのことが私の心を揺さぶるのです。
それが私がクリエイターの応援をしたい最大の理由です。
クリエイターの抱える悩みとは
周りのクリエイターの声に耳をそばだてて私が理解している彼らの抱える悩みは以下の3つです。
孤独であること
アイデア実現を阻むマインドブロック
ストイックになりすぎること
1.孤独であること
アイデアや才能があるだけではクリエイターにはなれません。頭の中、心の中にあるものを社会に届ける継続力、集中力、行動力、忍耐力、交渉力、統率力が必要になってきます。
華やかな表舞台と打って変わって、たいていこれは地道で孤独な作業です。たいていの場合、一人でこの多様な力を発揮しなくてはいけません。
2.アイデアの実現を阻むマインドブロック
人の心には、誰にでも前に進むことを阻むマインドブロックがあります。
クリエイターはアイデアを実現するために必要な行動を着実に継続する過程で行動を邪魔するマインドブロックに沢山ぶつかります。
例えば「作品が思ったように個展で購入されない=自分に才能がない」と思ってしまったり、「感性を研ぎ澄ませてバイイングすると商品が一向に売れない=自分は世間から見放されている」と思ってしまうなど、結果を不合理に自分の能力に起因させて落ち込むことがあります。
マインドブロックは人から言われてきたことや、所属コミュニティの価値観、コンプレックス等によって作り出されます。
これに気づいて、ブロックを外せるようになると、行動が飛躍します。
3.ストイックになり過ぎること
クリエイターは人の役に立つこと、人を喜ばせることに熱心である一方、自分に対してはストイックで、追い込みすぎる傾向もあります。
組織に属していれば多方向からの評価が得られますが、クリエイターは作品(結果)=自分の評価につながりやすいため、失敗も含めたプロセスや努力を評価しない傾向にあります。
Ariのコーチングで何ができるか?
そこで、Ariのコーチングが役に立ちます。
Ariのコーチングでできること
クリエイターの行動を阻むマインドブロックを同定し、必要ならばそれを手放すことを助けます。
クリエイターが自分を思いやる能力(セルフコンパッション)を成長させ、持続的に創作に向かえるマインドセットを持てるようになることを助けます。
そして、創造し続けるためにvulnerableで居続けるクリエイターへ敬意と共感をもって寄り添うことを誓います。そして、クリエイティブな人がもっとクリエイティブに、飛躍するお手伝いをします。
人は、誰からも攻撃されることのない安全な空間では思い切り自分のvulnerableな部分に向き合うことができます。
私が思うにVulnerabilityはその人が生まれながらに持っている美しさであり、創造性の源でもあるのです。
もちろん、今、私のコーチングを受けようと思ってくださる方にはとても感謝していますし、どのような目標であれ、いつも私の持てる力を全部提供させていただいています(これからも引き続きそうするつもり)。
クリエイターのみなさん、これを読んで心が動いたらぜひご一報ください!!
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