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本棚:『クドリャフカの順番』

〈古典部〉シリーズ第3弾。とうとう神山高校文化祭の幕開け。古典部の文集「氷菓」の事前に打ち合わせた発行部数は三十部。それでも売れ残り覚悟の数字だったのに、なんと実際に刷り上がってきたのは二百部。この積み重なった「山」をどう乗り越えるのか。

古典部4名のそれぞれの視点で話が進んでいきます。学生時代の一大イベントが各自の視点で…というところから、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』が再び読みたくなりました。人生をもう一度やり直せても、きっと、わたしは以前と大して変わらない学生時代を過ごすんだろうなと思いますが、現実には戻れないからこそ、眩しく感じます。
この〈古典部〉シリーズ。「氷菓」「愚者のエンドロール」に続く本作ですが、タイトルがなかなか難しいですね。恥ずかしながら「クドリャフカ」は知りませんでした。へぇ~と思うよりは、なんだか切なくなりましたが。

自分にとって大事なこと、好きなこと、これまで真摯に取り組んできたことが、それまで興味のなかった友人が試しにやってみたら、自分なんかとは全然比べものにならないぐらい、自分より上だと気付いたら…。向き不向きはあるから、そういうことは当然あるだろうなと思うけれど、真っ先にくるのは「悔しい」という感情でしょうか。諦めることも大事だと思えるようになるまでには少し時間が必要でしょうかね。


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