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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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#米澤穂信

本棚:『いまさら翼といわれても』

いちいちタイトルがかっこいいよなぁと思う古典部シリーズ第6弾。「いまさら翼といわれても」と思ったのは、はたして誰なのか。 本書は長編ではなく短編集でして、一番印象に残ったのは主人公の折木奉太郎の「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」のモットーの原点がわかる「長い休日」というお話。なんだか切なくなりました。 本書とは全然別の本なのですが(著者も違います)、主人公が「不器用な人が嫌い」と思う場面があって、その理由として、不器用だから、やってい

本棚:『栞と嘘の季節』

『本と鍵の季節』の続編、シリーズ2作目。学校の図書室に返却された本に挟まれていた栞。栞には押し花が使われており、手作りと思われたが、その押し花の名はトリカブト。 前作は短編集でしたが、本作は長編なので読み応えがありました。持ち運びやすさと解説がついていると得した気分になるので文庫本の方が好きですが、こちらはまだ文庫版が出ていないので単行本。続きが気になって、通勤の電車内でも、重い単行本を広げて読みました。 この物語の高校に自分もいたならば…と考えると、めちゃくちゃ怖いですが

本棚:『本と鍵の季節』

高校二年生の堀川次郎は図書委員。委員会で知り合った松倉詩門は背が高くて顔もよく、話してみれば快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋だった。そんな二人が図書当番しているところにやってきたのは図書委員会を引退した先輩。先輩がもちかけてきた「ちょっといい話」とは。 米澤穂信さんの「古典部」や「小市民」シリーズに比べると、主人公がふつうっぽくて身近な感じでいいかな~と思って読み進めるも、あら、この子たちもなかなかふつうじゃないわ…と。 解説によると、本書の最初の話「913」(図書館を利

本棚:『ふたりの距離の概算』

古典部メンバーは高校2年生に進級。そして、新入生の大日向が仮入部するも、本入部届の締め切りであるマラソン大会の前日に入部しないと告げる。しかも、原因は千反田のようだが…。 古典部シリーズは、「氷菓」「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠まわりする雛」に続くのが、「ふたりの距離の概算」「いまさら翼といわれても」でして、どれもタイトルがかっこいいよなぁと思います。これまでの4作は、ふだん利用する図書館で借りたのですが、その続きをなかなかお目にかかれず。もしや、ここには

本棚:『巴里マカロンの謎』

小市民シリーズの既刊の最終巻。再び高校1年生の小鳩くんと小佐内さんに戻って、短編4つが収録。このころは、平和だったなぁ~としみじみ。なお、4つのお話のタイトルは、いずれも地名+スイーツなのですが、巴里、紐育、伯林、花府、読めますか?私は読めませんでした。 一方、スイーツの方ですが、マカロン、チーズケーキ、あげぱん、シュークリームの4つ。この中でどれが一番好きかと聞かれたら、迷うけれど「あげぱん」かなぁ。ただ、私にとっての「あげぱん」は給食のあげぱんのイメージで、あれ、好きだっ

本棚:『秋季限定栗きんとん事件 上・下』

『春期限定いちごタルト事件』、『夏季限定トロピカルパフェ事件』に続く、小市民シリーズの第三弾。小市民を目指す高校生の小鳩くんと小佐内さんのコンビが主人公ですが、前作の終りで、二人は互恵関係を解消。その後、どうなっちゃうの?と気になっていました。お互いに恋人ができて、憧れの小市民の道へまっしぐら…と進むわけもなく。なにせ小鳩くんと小佐内さん、小市民ではないですから。本作品は上下巻に分かれていて、2冊並べると、イラストが繋がります。 新聞部が毎月発行している『月報船戸』が重要アイ

本棚:『夏季限定トロピカルパフェ事件』

小市民シリーズの第二弾。第一弾は『春期限定いちごタルト事件』で、小市民を目指す高校一年生の小鳩くんと小佐内さんのコンビが主人公。季節は春から夏へと移って…と思っていたら、1年ちょっと進んでいて高校二年生の夏となっていました。互恵関係にあるけれど、依存関係にはない二人。それでも傍から見れば、恋人同士のようですが、この事件の後の二人の関係がどうなったのか…が一番気になります。それは続きの『秋季限定栗きんとん事件』を読めばわかるのかな。 <小佐内スイーツセレクション・夏>なるものが

本棚:『春期限定いちごタルト事件』

〈古典部〉シリーズの折木奉太郎の信条は「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」でしたが、本書に登場する小鳩君と小佐内さんの信条は「小市民たれ」。彼らは互恵関係にあるけれど、依存関係にはなく、まして恋愛関係にもない。彼らが小市民を目指す理由とは。 高校一年生の信条が「小市民たれ」といのは珍しいというか、むしろそれは小市民ではないということの表れというか。人気者になろうとは思わなかったけど、小市民になろうとも思わなかった…というか、あまり「小市

本棚:『遠まわりする雛』

シリーズ第4弾は短篇集。古典部の4人の1年を振り返るような感じでした。これまでの3作 以外にも1年間、色々あったんだなぁと。里志が伊原のチョコレートを受け取ろうとしなかった理由をはっきり理解できるわけではないけれど、なんとなく分かるような気もして、私の理解が間違っていないのであれば、すごく誠実だなとも思いました。 それにしても、奉太郎の「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」という信条、だんだん気に入ってきました。その省エネ具合、はじめから

本棚:『クドリャフカの順番』

〈古典部〉シリーズ第3弾。とうとう神山高校文化祭の幕開け。古典部の文集「氷菓」の事前に打ち合わせた発行部数は三十部。それでも売れ残り覚悟の数字だったのに、なんと実際に刷り上がってきたのは二百部。この積み重なった「山」をどう乗り越えるのか。 古典部4名のそれぞれの視点で話が進んでいきます。学生時代の一大イベントが各自の視点で…というところから、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』が再び読みたくなりました。人生をもう一度やり直せても、きっと、わたしは以前と大して変わらない学生

本棚:『氷菓』

何事にも「省エネ」な高校1年生、折木奉太郎。姉からの手紙により、廃部になりかけていた古典部に入ることに。古典部の文集のタイトル「氷菓」に込められた意味とは? 奉太郎が通う神山高校の文化祭はなんと5日間。自分の高校時代を振り返ってみれば、1日だけだったと思うし、高校よりも中学の時の方が印象に残ってるんですよね。1年生~3年生までクラス毎に一緒になって、クラス対抗の応援合戦とか、何か絵を描いたような気もするし。先生数名による劇とかもあったし。一方、高校の頃は勉強ばかりだったなぁ。