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娘の発達検査とことばの遅れと頼もしい横顔の話

私には、息子と娘、2人の子供がいます。
もう何度も書いていることですが、息子は知的障害を伴う自閉症です。
今回は、息子の妹である、1歳の娘についてのお話です。


まさか娘も発達に遅れが?ある日の保健師さんからの電話


以前、Twitterで書いたことですが、娘の発達が遅れているのではないか?と、保健師さんから電話がきました。
6月のことです。

1歳半検診で、娘の発語が3つもなかったので、言葉がちょっと遅いかな?という指摘でした。
正直、この電話は私にとって寝耳に水で、ドスーーーンという衝撃が走ったのを覚えています。

なぜなら、息子はいわずもがな発達が遅れまくっていますが、娘はここまで発達に不安を感じたことは一度もなく、むしろなんでも勝手にできていってすごいなーと思っていたくらいだったのです。

これは、一人目が発達障害の子あるあるだと思います。
最初の子があまりに発達に難があると、母親の育児における発達スタンダードがめちゃくちゃ下がっているので、次に生まれた子がなんでもやたら早いように思えてしまうのです。

その上、1歳半検診でも、娘は一切の指摘を受けませんでした。
お医者さんからも「問題ない、大丈夫ですよ~」と言われて帰ってきたので、私に疑う余地はどこにもなかったのです。

それが、保健所にきた検診結果を見た保健師さんからの突然の電話。
保健所から電話がくるって、そうそう無いじゃないですか?
だからとにかく驚いたのです。

モヤモヤするならはっきりさせたい


普通、発達がちょっとゆっくりめかな?→即発達検査 ってなかなかならないと思うんです。
でも、私は一人目でこの手のことはこれでもかってくらい経験してきたので、発達が遅い→発達支援センターで相談→まずは親子通園で療育かな と既に頭の中でポンポンポンといろんなことが浮かんでいました。

保健師さんも、もうこの人にあれこれ説明は不要だな、と感じたようで、
「じゃあお母さん、発達検査受けてみますか?」と、一番白黒はっきりする方向にストンと着地したのです。

はい!お願いします、発達検査。

受けてきました発達検査

前置きが長くなりましたが、先日、ようやくその発達検査を受けてきました。
K式です。超オーソドックス。

K式は息子が何度か受けたことがあり、私の中ではなんとなく、「あんな感じだな」とイメージできますが、娘は初めてです。

息子の場合、絶対に検査中、もしくは検査前から奇声をあげるか癇癪起こすか、とにかくその場で検査を受け終えることが最大のミッションでした。

でも、なんとなく娘は、受けることに手こずりはしないだろう・・・という母親の勘がありました。
その勘の通り、娘は検査室の前の聞き取りでも、大人用パイプ椅子にちょこんと座って一緒に保健師さんのお話を聞いていました。
時々自分も喃語?で反応しながら。

そしていよいよ発達検査。
検査室に入ると、促されて「なんか靴ぬぐっぽい」と感じた娘はベリッと靴のマジックテープを外し(自分では脱げない)、「なんか座るっぽい」と思ったのか、検査用の机の前の豆イスに座りました。

おお・・・驚くほどにスムーズ!
これが普通なのかもしれないけど、私にとってはこの時点で既に100点です。

その後、心理士さんが娘の前に座り、検査が始まりました。
検査の詳細をここで書くのはよくないので割愛しますが、正直、現時点で5歳の息子より1歳の娘の方が、圧倒的によくできていました。

予想はしていたけれど、正直ここまで違うとは思いませんでした。
だって、息子が絶対にできなかったような課題を、今はじめて目の前にした娘が、すっすっとこなしていくんですもん。

私自身、娘をみくびっていたというか、「え!これわかるの?」と、知らなかった娘の成長にも気づいた発達検査でした。
もちろんできなかった課題もありましたが、最後まで娘は一度も癇癪をおこさず、発達検査は終了しました。

結果


検査が終わると、心理士さんとの面談になりました。

結果ですが、年齢相当の発達、とのことでした。
ただ言葉だけが、5か月程度の遅れがある。
でも、運動面などものによっては、年齢以上の発達段階にあるものもある、とのことです。
心理士さん曰く、DQまで計算するまでもないとのこと。
よく育っているし、問題無いと言って頂きました。

娘は検査中、ことあるごとに、心理士さん、保健師さん、そして私、それぞれの顔を見て、「わかんない」「これでいい?」「みてみて!すごいでしょ!」のようなニュアンスの確認をしていました。

これは、言葉は出なくとも人に関心があって、人とコミュニケーションをとろうとしている現れだそうです。
娘はまだ、「りんご」「ばなな」のような名詞の単語は出ていないけれど、「どうぞ」「おいちー」などの、感情表現や対人コミュニケーションの単語は出ています。

こういう子の場合、むしろ名詞しか言わない場合よりも伸びる可能性がある、とも言って頂きました。
人とのコミュニケーションがこれだけとれているので、教えれば名詞も覚えそうだと、言われました。

息子が自閉症なので、同じ遺伝、環境要因で育っている娘はどうなのか、私はどこかずっと不安がありました。

そこについても聞いてみましたが、心理士さん曰く、娘は自閉症スペクトラムとは真逆。
なぜならものより人に興味あるからだそうです。
※自閉症スペクトラムは、人よりものに興味関心がいく特徴があります。

遺伝についても、「この子は大丈夫だと思いますよ」と言って頂き、一安心しました。

娘と息子 比較ができたことで気づいた発達検査のすごさ

結局、娘は発語の遅れはあるものの、発達障害の疑いはなさそう、ということで今回の件は落ち着きました。
保健師さんが電話をくれたのも、息子のことがあったからこそ、余計に心配して下さって目がとまったのかな?と思います。
実は、せっかちな私は、既に息子の通う療育施設に娘のことも相談していたくらいに先走っていたのですが、取り越し苦労だったようです。

そして発達検査についても、新たな気づきがありました。

私はこれまで、「なんかうまくいかない発達検査」しか経験したことがありませんでした。

でも、うまくいかなかったり、落ち込むような検査結果を知る度に、

始めて入る検査室で落ち着かないなんてどうしようもないことじゃん。
見慣れない人が検査をするんだから、指示が通らなくたって普通じゃない?
できる時はもっとできるのに、今日はコンディションが悪かっただけ。
もっと使い慣れた積み木や、見たことある絵だったらできそうだけど。
発達検査って本人の機嫌や環境要因で、かなり結果変わっちゃうんじゃない?

と、こんなことを思って、自分の気持ちを保っていたように思います。
だって、自分の息子の発達検査しか見たことがないんですもん。
普通みんなこんなもんでしょ、って思っても不思議じゃなくないですか?

でも、違いました。

娘の発達検査を真横で見ていて、「できる子は何歳だってできるんだ」ということを知りました。

定型の子だったら、どんな環境でもどんな日でも、検査に影響を及ぼすくらいに乱れることは無い。
たとえ1歳でも、最初から最後まできっちり受けられる検査。
初めて見る道具でも、できることはできるし、できないことはできない。
そもそも心理士さんの指示を聞く姿勢を作れるか、という所から検査は始まっている。

今回、娘の発達検査を経験してそんなことに気づき、改めて、発達検査って本当によく考えて作られているんだろうなぁ・・・と感じました。

素人目でみても、明らかに、検査中の娘と息子の様子は違いました。
年齢関係なく、これが障害の有無なのだと。

娘の新たな一面も知れた発達検査

検査全体を通して、娘の新たな一面にも気づくことができました。

娘は、全部の課題がすんなりこなせたわけではなく、できない課題もありました。
でも、終始、うまくいかなくても何度も挑戦する、なんか違う?と違和感を感じたら、何度もやり直して正解を模索する、なんとかしてできる限りの最高の状態にしようと努力する姿勢が見られました。

幼い娘が頭をふり絞って、「どうやったらいいのかな・・・」と考えている様子は、横で見ていてなんとも歯がゆく、今にも手を出したくなってしまいました(ダメ母)。

でも発達検査のルールなので、私は何もできません。

結局できない事はあったけれど、負けず嫌いさを見せながらも、冷静に考え、時に大人がやる様子を観察して模倣したりと、娘の子供らしさがありながらも落ち着いた姿勢に、私は頼もしさを感じました。

そして、娘ができなかった課題で、ものの名前を聞かれて言う、指をさす、というものがありました。
これに関しては、私は大反省で、娘ができなかったのはおそらく私の責任です。

私は検査中、「しまった・・・」と思いました。
なぜなら、娘にあまりものの名前をちゃんと教えたことがなかったからです。
つまり、娘はそもそもそれの名前を知らないので、答えられるわけがないのです。
心理士さんも言っていましたが、明らかに困ったように固まって、ぽかーーんとしていました。

いつも、息子の言葉のことばかりに気を取られて、娘にはたいした言葉かけをしていなかったように思います。

娘にも言葉かけをしなければ、とは思ってはいたけれど、なにしろ毎日余裕がない。
ゆっくり対面して向き合う時間が、とても足りていなかったように思います。

私が娘と外に出る時はいつも息子の送迎時なので、息子の手をしっかり握るために娘はおんぶ紐にいれて、ほぼ息子の方しか見ていなかったのです。
娘と息子、両手につないでちょっとの距離なら歩くこともありましたが、歩幅があわないことに息子が癇癪をおこすので、常に気を張っていて言葉かけどころではありませんでした。

息子の言葉が遅いのは、障害があるから。
でも娘の言葉が遅いのは、私に責任がある。

心理士さんはそんな風には言わなかったけど、私はなんだか非常に責任を感じ、娘に申し訳なく思いました。

「お兄ちゃんは、大変だけどやりがいがある子育てだと思うけど、この子は、教えれば教えただけどんどん吸収していきますよ。
お兄ちゃんのことで大変だと思うけど、娘さんにもいっぱい話しかけてあげて。」

できるかわからないけれど、保健師さんから言われたこの言葉を忘れずに、娘の言葉も伸ばしていきたいと思います。


以上、私の備忘録と戒めのための記録として、今回の記事を書かせて頂きました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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