勝手にロックダウン日記 夢か蜃気楼か(5/21)
お天気も相変わらず悪く、5月とは思えないほど肌寒い。ゾクゾクした冷気を感じつつも、こんなときこそ一度も外に出ないのも気が滅入るの。とりあえず「ドーナツ屋さんにドーナツを買いにいこうよ」と娘を誘い出し、自転車に乗りこんだ。
首尾よくドーナツを買ったとはいいが、こんなに寒かったら公園で食べるのも辛いなあ。そう思いながら、とりあえずドーナツを5個カバンにしまう。
そして、自転車をあてもなくこぎだすと、すぐ目の前に新しくできたばかりのカフェが目についた。
大きな木製の扉の向こうにカウンターが伸び、店の奥にはずらりと並ぶ本棚。看板には「ブックカフェ」とある。換気のためか、ドアが大きく開いていた。
え、ほんとに? うそでしょう!
びっくりした。私はもう長い間、家の近所にブックカフェが出来て欲しい、と強く強く願い続けていた。空き家や空き店舗をみるたびに、ここがブックカフェになればいいのに、とIくんに話したが願いが叶うことは一度もなく夢破れた。
私は本屋さんも好きだが、同じくらいブックカフェが好きだ。コーヒーと本は最高の組み合わせなのだ。
日本全国には素晴らしいブックカフェやカフェを併設した本屋さん、本を置いているカフェがいくつもある。東京だったら胡桃堂書店やカモメブックス、Title, 沖縄のクジラブックス、郡山のGo Go Around the World Cafe 、松本の栞日、安曇野の「書翰集」、福岡のブックスキューブリックなどなど。
しかし、うちの近所はとにかく本屋不毛地帯である。唯一あるT書店さんはちょっと本の趣味が違うようで、何度かよってもなかなか書いたい本が見つからないという大問題があった。
ところが、このどんよりと曇った午後、なんの前触れもなく目の前に素晴らしいブックカフェが出現した。そしてそこは、自分が想像したよりもさらに素晴らしいのだ。
幻? 妄想? 蜃気楼??
「入ろう」
私たちは、ふらふらとお店に吸い込まれた。中にはカウンターの中に二人の女性がいて、奥にはピシッと並んだ大きな本棚。そして、空間の中央には大きくどっしりとしたテーブル。
美しい空間にも関わらず、他にお客さんは誰もいない? これって宮沢賢治の世界?
気がついたら私はコーヒーを頼み、娘は「おしりたんてい」を広げた。
3月いらい、外でお茶をを飲むのはこれが初めてだった。
2ヶ月ぶりに外で飲む暖かい飲み物は、とてもおいしかった。
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