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使える英語の勉強法

2020年3月22日(日)

【Day3】

軟禁生活3日目にして、やることのなさに愕然とする……かと思いきや。

やることがないと言えばそうなのだが、快適な家のおかげか、まだ精神的に辛いと感じることはない。

ご飯を3食作り(いや、ここ2日は昼近くまで眠り呆けているため2食だけれど)、洗濯機を回し、部屋の片付けなどしていると、1日経つのははあっという間だ。

空いた時間にやることと言えば、次女・ミノリを肩車しての筋トレ、ミノリと手押し相撲、ミノリとにらめっこ、SNSをダラダラ見る、そしてこの日記……

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「この日記」を仕事に置き換えたら、ほぼこれまでの生活と変わらない。移住前の主な仕事は記事の執筆だったのだからなおさらだ(ちなみに長女のナツモはその間、ずっとナンプレをやり続けている)。

いや、そこそこちゃんとした食事を作り、最低限のハウスキープに務めているとなると、以前より今の方が充実した生活を送っていると言っていいぐらいだ。

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そして今日は、現地校での小学校生活に対してナーバスになっているミノリと英語の勉強などに取り組んでみる。

自分自身勉強が必要な僕が英語を教える、というのは少々おこがましい気もするが、次女が取り組むのは、挨拶だとか自己紹介といった基礎中の基礎だからなんとかなるだろう——

——と、思ったが、いざ教えるとなると、これがなかなか難しい。

例えば「See you later」と「See you soon」、どう使い分けるの?と聞かれると、僕には正しくは答えられない。

「See you laterは『じゃあ後で』で、See you soonは、『じゃあまたね』みたいな感じかな」

「じゃあ、See youは『じゃあ』なの?」

「イヤ、See youは『サヨナラ』的な…」

「じゃあ、See you laterは『サヨナラ後で』なの?」

「イヤ、そこはサヨナラというか、『それじゃ』みたいな雰囲気で……」

「soonは、またねっていう意味?」

「イヤ、soonは、『すぐに』とか『間もなく』っていう感じで……」

「じゃあ、See you soonは『それじゃすぐに』なの?」

「まあ、そうなんだけど、『それじゃすぐに』っていうわけでもなくて……」

これについてはGoogle翻訳先生に聞いても教えてくれない。

これではラチがあかないので、細かいことは気にせず、今後実生活で予想されるシチュエーションを選びつつ、使えそうなフレーズを丸暗記させ、それを反復させる、という即席のレッスンを行ってみた。

学校での自己紹介、廊下で友達とすれ違った時の挨拶、授業中トイレに行きたくなった時、トイレの場所が分からなかった時……

そして、シチュエーションは学校の外にも飛び出していく。

レストランで水が欲しかったら。アイスクリーム屋さんでどんな味かを確かめたかったら。その味が気に入って買うときは。その味を聞いてやっぱり違うものを選ぶときは。買ったアイスがとてつもなく美味しかったら。

この勉強法、意外と悪くないかも知れない。とりあえず会話をスムーズに運ぶことだけにプライオリティを置いている場合は特に。

正しい文法を覚えて自分で文章を組み立てようとすると、頭で考えてしまって会話に詰まってしまいがちだ。しかし、使えるフレーズをとりあえず丸暗記すれば、反射的にコミュニケーションが取れるようになれそうな気がする。

そして、丸暗記したフレーズを頭で考えずに発することができるようになったら、文章の構造(文法ではない)を理解しつつ単語を入れ替えていけば、様々なシチュエーションへの対応力は一気に高まるのではないだろうか(と、自分でそれっぽいことを思いついた気持ちでいるが、もうすでにそういった勉強法は確立されているに違いない)。

でも、ミノリ自身はこのやり方が気に入ったようで、こちらから指示を出したわけでもないのに、覚えたフレーズを反復練習する際、勝手に愉快な寸劇を挟んでくる。愉快すぎて、芝居と英語、どちらがメインの目的かを見失っている感もある。

ミノリを見ていると、学習を自分のやり方で楽しめるというのは才能だな、と感じる。自分が同じぐらいの歳の頃には(今もかも)はなかったものだ。

……と、ここまで書いているときに玄関のドアがノックされた。

ミハヤが退院して帰ってきたのだった。妹を溺愛しているミノリは、誰よりも喜びを爆発させてミハヤに駆け寄った。

ミハヤは、病院で大量のお土産(オモチャやら絵本やらお菓子やら)をもらって随分とご機嫌である。一患者にこの至れり尽くせりな対応を見るに、こちらの病院の手厚さは尋常じゃなさそうだ(請求書も尋常じゃなさそうだけど)。

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とりあえず、もうすっかり元気なようで一安心。

たった1日で回復するということは、今回のミハヤは肺炎ではなく、おそらくひどい喘息の発作を起こしたのではないだろうか。僕自身、ひどいアレルギー体質で、ハウスダストには敏感だ。その体質が遺伝しているのかも知れない。

そういえばミハヤは昨日、いかにもハウスダストの巣窟となっていそうな毛足の長い敷物に顔を埋めていたな……

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