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「ぜーんぶ好き」って言いたいし言われたいのかもしれない

ありんごです

私が何かを好きと言うとき、いわゆる全肯定とはイコールではなかったりする

たとえすっごく好きでも、死ぬほど好きでもだ

たとえばある人について、「全てひっくるめて愛おしい」と思う瞬間はあるけれど、「こういうところはいただけないな」と思うことだってあるし、会話していると「その主張はともすれば差別的では?!」と思うことだってある。すべて並立しうる。

それでも好きだなと思うから好きだと言うわけなのだが、、、

学生時代のある日、私が友人なずなのことを好きな友達だと友人みどりに話していると、みどりは若干顔を翳らせて言った

「りんご、なずなが△△の時みどりに『◎◎◎』って言ってきたんだよ。それってひどくない?」

この場はみどりと2人きりだったし、私はみどりとなずなが話していた△△の時は同じ場にいなかった。率直に、もし本当にそうならひどいなあと思ったから、あっさり私は言った

「本当に?それはひどいし良くないことだね。詳しくー」

すると、みどりは結構驚いた顔をした。その顔に私が驚いた

「なんでみどりが驚くの?」

「りんごとなずな仲良いから、そんなあっさりひどいなーって言われると思わなくて」

「仲良くても、もし本当ならひどいなあって思ったから、ひどいなあって言うよ」

「シンプルかよ。そうかあ、じゃありんご、なずなに『みどりにこんなこと言われた、ひどくない?』って言われたらどうする?」

「シンプルかよって口悪いのやっぱり面白いな。みどりまたママに叱られるね。んー『もし本当ならひどいね!詳しく!』って言うかなあ」

みどりママは言葉遣いに厳しいことで定評があるのだが、みどりはテンションが上がると少しだけ口が悪くなってかわいいのだ

「りんご、後でママに怒られた話きいて。あーそうかーでもなずなにも同じこと言うのかー。それでりんごはみどりのこと嫌いになる?」

「え、それはわからない。中身によるし、みどりの話聞かずに勝手に嫌ったりしないよ。芸能人じゃないんだし。」

「待ってりんご、わからないってどういうこと。あと、芸能人じゃないしってどういうこと」

「芸能人はすぐ話したり会ったりできないでしょ。だから、ひどいなあと思う話を聞いたときに本人に実際どうなんですか?って聞けないでしょ。だからエピソード聞いた時点であまりにもショッキングだとどうしてもイメージダウンしちゃうことはあるよね。本当のことはわからないから、これだけで判断するのやめようって言い聞かせたとしてもね。普段どんな人か、とかも分かんないし」

「あーそれはわかるかも、みどりも応援してた芸能人のスキャンダルとかショック受けちゃうもん」

「だよねー、それでも応援したくなる人と、もうやーめたってなる人、何が違うんだろうね」

「わかんない。うーんわかんないけどね、みどり、応援してた芸能人がまあなんていうか、悪いニュースになっちゃった時、本当はどうなの?!どうなんだよー!!!ってすごい本人に聞きたかったんだよねー。聞きたくてしかたなくて、、、だから、みどりはやっぱりその人が好きだなって。その気持ちを大切にしようって思って応援し続けたんだー。今復活し始めて嬉しいんだ」

「そうなんだ。復活してきたなら良かったね。芸能人なんて本当、見えない部分が多いのに、それでも応援し続けようって思えるなんて、素敵だよ」

「そうだよ素敵なんだよ。、、、てかりんご、さっきなずなにみどりのひどい話聞かされたら、みどりのこと嫌いになるって言ったでしょ」

話をレールに戻すのは、みどりの得意技だったりする

「うっ、、そこまでは言ってない」

「みどりはちゃんと話を聞いているし頭が良いんだぞ」

「わかってるよ」

「あっさり認めるなよ、恥ずかしいだろ」

「ママに怒られるよ」

「ママの話は後でたっぷり聞いてもらうんだけど、結局みどりのこと嫌いになるのならないの」

「わからないと言いました、、、!!!」

「なんでわからないのよーりんごのバカー」

「「どうせみどりよりなずなの方が好きなんだろ」」

はもった。はもってしまった

みどりが完全にむくれた

「りんご嫌いーそうやって言おうとしたことかぶせてくるの嫌い」

「いや、本当にはもれるとは思わなくて」

私はゲラゲラ笑っていた

みどりは可愛い顔で私を睨んでいた。私はやっと呼吸が整ったのでみどりに話しかけた

「なんかさあ、よく、何されても好きでいられる気がするとか、全部好きーとかいう言葉あるじゃない?」

「あー梨奈が太郎大好き期によく言ってたやつね」

(以下記事に少しだけ登場する梨奈と太郎)

別れてしまった友人カップルを思い出したのかみどりが複雑な顔になった。それからはっとした顔になって言った

「てか、りんごも『ぜーんぶ大好き』とかみどりによく言うじゃん。なんでなずなに言われたことくらいで嫌いになるの?うそつき!」

またむくれてしまった

「嫌いになるとは言ってないよ。でも、聞いた中身によっては悲しくなることはあるし、ひどいなって思ってしまうこともあるかもしれない。でもね、もしどんなにショックでもみどりと話すまでぜったいに判断しないから安心して」

「りんご、ちゃんと話聞きにきてくれるの?」

「もちろん。芸能人じゃないからね」

「もうーそういうことか。わかりづらいんだよりんごは」

「わかってくれるみどりにありがとうー」

実際、みどりの理解力にはいつも脱帽だった

「どういたしましてっ。りんごと芸能人として出会ってなくてよかったな。話を聞いてもらえるから誤解だったら解けるもんね」

みどりがかわいい笑顔になった

が、束の間、般若のような顔に変わった

「待って、誤解を解くって、、、りんご、なずながみどりにひどいこと言った話、なずなにする気?」

なんなら、みどりが私の手首を掴んでいる

「しないよ。もし同じようなシチュエーションがあったときに同じこと言う人なのかは見ようかなって思うけど。あと、みどりとなずなが話してる時はそーっと聞きに行っちゃおうかなあ」

「もーびっくりした。良かった安心した。りんごがなずなに「みどりから聞いたんだけど、なずなあの時◎◎◎ってみどりに言ったんだって?』とか言ったらどうしようって焦ったよ」

「そんな下手打ちませーん。私が知りたいからってだけで人間関係掻き回すのも嫌だもん。みどりに当たり強いのが続いたり、見ていてみどりが泣きそうになってたらなずなに言うかもだけどね、最終手段でしょ」

「そりゃ良かった」

みどりは私の手首を離した

「りんごのことも温かく見守ってやろう」

「やったーーー」

「ねー本当なずなにまだなんも言っちゃだめだよ」

「わかってるよ」

「言うわけないってわかってるんだけどね」

「でも詳しく聞くよ、みどりが嫌な気持ちになった時の話。そうしないとわからないし、色々」

「うれしい。話すね。今日はすっきりするんだ」

「うふふ」

「ふふふ」

みどりみたいな素直な人が大好きだ

あれからもみどりとは選択する道は違えど、良い距離感で楽しく過ごしている

ちなみに素直な人とデリカシーのない人は違う、その話も近々書きたい

みどりは優しくて温かい人だ

素直な人は良い。一緒にいると自分も素直でいようと思えるし、素直と素直の組み合わせならどこまでだってゆける

みどりに「全部好きとか言ってても嫌いになる可能性はあるんかい」というツッコミをプレゼントされた当時の私を思い出す

全部が好きってなんなんだろうな

私自身の話で言うと、「全部が好きだー」って思う瞬間のその気持ちは本物なんだけど、厳密には何かや誰かの全てを見ることなんてできないわけで、後で「はい?知らなかったんだけど?!」という一面や案件が出てきたりするんだろう

あるいは、逆転の発想をするなら、見えている姿が全てと捉えることもできてしまって、だからこそ見た目に気を遣ったり、時には心にもないことを言って繕ったりしてしまうんだろう。ただただ「全部好き」って言ってもらいたいためだけに。でも苦しい時もあるよね、それって

みどりとなずなの件みたいに、自分が直接知らない噂みたいなものでネガティブな衝撃を受けた場合、その後自分で考えたり調べたり、もし会える人なら本人と会って話したりしてみて、好きだった気持ちが負けて、もう良いや無理ってなることもあった。逆にやっぱり好きだなと思うこともあった

間柄にもよるけど、仲良いからこそ見えていない一面があって、衝撃をきっかけに関係を見直す気付きになることがある。一方で、何をよしとし悪しとするかも自分次第だから、結局は関係継続と言うことだってある

そうだなあ

優しさを忘れずに、でもさらけ出していきたい

素直でありたいな、お互いに
そうしていたわり合いたい
「全部好き」って言いたいし、言われたい

私たちは、なんだかんだでそういうのを求めてるのかもしれないなって思うんだ


ありんご


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