「教員免許を持たない国産バイリンガルが英語講師を続けている話」-3

3:私の英語。

おはようございます、国産バイリンガルの魚住アリナです。
ちまちま書き進めているこのシリーズも、ついに第3章です。ベートーヴェンの月光ならここで終わりですが、一応4章も下書きがあったりします。笑
続き物なので、初めてここに到達してしまった、という方は以下もどうぞ。
1章:それなりのプロフィール
2章:私にとっての英語

前回は、英語そのものが私にとってどんなものなのか、というのを綴ってみました。
今回は、私の英語がどんなものなのか、という切り取り方をします。
ごゆるりとお付き合いくださいませ。
〜〜〜〜〜

フィーリングでしか英語を使っていない私が、大学卒業後に正社員として塾講師になってしまいました。
中学生に英文法の集団授業をしなければならない。今までのフィーリングに頼っているだけでは、説明ができない。フィーリングには、名前がない。文法書やテキストを読み漁って勉強しました。

だけど、そこに載っている英語は、なんだかとても味気なかった。
日本語ベースで切り取られた英語。日本語の意味という枠組みに仕舞い込まれた英語。
本来ならイメージがどこまでも膨らんでいくのに、それを押さえつけられて、窮屈そうだった。

そして思いました。
それまで私が積み重ねてきた英語の色や感覚は、日本における英語教育では不要なものなんだと。
すべて捨てて、先輩社員の模擬授業のように文法書の通り伝えることが、正しいやり方なんだと。

苦しかった。
色を消されてしまった英語はモノクロで、見ていて悲しくなった。
私の知ってる英語じゃ、ない。
けど、モノクロの英語の方が正しい英語“指導”なんだと言い聞かせて、色を消し続けました。

それでも、音だけは、消せなかった。
先生、発音めっちゃすごいね!
小中高、どの学年の子も、キラキラ言ってくれる。

どうやるの?
ーー音を出す“前”に舌を巻くんだよ。
先生みたいに英語を使う仕事に就きたい!
ーー世の中には塾講以外にもそういう仕事はたくさんあるよ、いろいろ調べてごらん。
ユーザーって、英語のユーズが元なの?
ーーお、よく気づいたねえ。ユーザーIDって言うよね。

彼らの中では、英語が色を持っていた。まだほぼほぼ透明だったけど、モノクロには染まってない、染めてはいけない色。

書きつつ、今改めて振り返ると、私の発音が、彼らにとっての楽しさ、興味のきっかけになったんだろうな、と僭越ながら感じています。目の前の日本人が、いきなり外国人と同じように発音したから、びっくりしたんでしょうね笑
(先生、どこの国の出身?って聞かれたこともありました。日本生まれの日本育ちでございます笑)
その驚きを、好奇心や興味として私に返してくれたんだと思います。ありがとね。

3回目の校舎異動。大きな校舎に行くことになりました。お前の授業力ならと思って俺が推薦した、と前の校舎の校長に言われての異動。イケメン校長、その言葉はずるい。
そんな、社員何年目かの春期講習、新中1のクラス。
春の穏やかさと、この時期この学年特有の、ちょっとした緊張感。
あったかい、晴れた日だった。

be動詞っていうのが…うーん、名前は一旦忘れていいや、役割を知ってほしい。
こいつ、算数や数学の、イコールなんだ。
I am Tom. 私、イコール、トム。
以上。

教室の空気の色が変わった。
え、それだけ?なんだ、あんま難しくないや!よかったー!
誰かが言った。
そうだよね、中学校上がって色々環境も変わるのに、勉強までめんどくさいのは不安だよね。
私も、君にそう言ってもらえてちょっと安心した。
私が当時、それまで20年近く積み重ねてきた英語は、何も間違っていなかった。
ありがとう、証明してくれて。

こうして、私の英語は輪郭を持つようになりました。
文法書での勉強は、私のフィーリングを言語化することに、とても役に立ったと思っています。
ふわふわした羽毛みたいな、不確かなフィーリングを、理論、理屈という、ある程度の枠組みに入れてあげることができて、ようやく形になったみたいな感じ。
どっちが正しいとかじゃなく、どっちも必要。
イメージでなんとなく分かっちゃう子もいれば、理屈できちんと理解していきたいと思う子もいる。
以降、集団授業では2パターンの説明をするようにしていました。
現在は集団授業からは離れてしまっていますが、だからこそ、個別指導ではその生徒さんに合わせて説明を使い分けています。フィーリングでしか捉えていない不安定な子には、理屈という土台を。理屈で雁字搦めになって苦しそうな子には、イメージという羽を。
これ、結構強いんじゃないの?とこっそり自負していたり笑

さて。次回は、英語の話ではなく、そんな私の授業や生徒対応全般のことを書いていこうかなと思っています。よろしければぜひ。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
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