「教員免許を持たない国産バイリンガルが英語講師を続けている話」-2

2. 私にとっての英語。

日本で生まれ育った国産バイリンガル、魚住アリナです。
(それなりのプロフィールはこちらをどうぞ。)

3歳か4歳くらいから英会話を習い始めたらしいです、母曰く。自分の中でスタート時の記憶はないんです。そんなタイミングから英語に触れていたせいか、右と左、未だに一発で判別できません。右、right…こっちか。みたいな。右がrightなのはわかる、rightの方向もわかる、右の方向は…わからない。だから、いつも、三段論法。
それと、日本語がちゃんとしていない時からのスタートだったので、「し」がshの音になる、ラ行は舌を巻きすぎる…という感じに、日本語の発音や滑舌がめちゃくちゃ下手でした。今でも、英語の授業中や、ぽやぽやしているときには英語っぽい音で日本語話しちゃってたりします。
その分、ネイティブにも褒めてもらえたり国籍を疑われたり(笑)するくらい、きれいなアメリカ英語の音を身につけました。一番最初と、次に教えてくれていた先生がとても綺麗な発音の先生だったので、それをきっちり受け継げたんだと思います。アキコ、レイコ、とそれぞれ呼んでいました。苗字も、お名前の漢字も知らない。当時私は幼稚園とか小学生だったから。二人とも、元気かなあ。

そんな私にとっての英語は、別に特別なものじゃないんです。
酸素と同じような、ナチュラルな存在。
日本語と同じ、情報伝達のためのツール、言語、言葉。

ただ、なんだろう。すごく、カラフルだと思う。

単語ひとつずつに役割があって、役割毎にカラーが違う。
それらが並ぶと、数式のように図式化されて、情報に色が射す。
日本語はスイカみたいだ、と思ったことがありました。お世話になっている先輩から、台本読解のために英訳してみることを勧められた時。日本語はすごく硬く、地味に見えて、でも割って(英訳して)中身を見たら、とても鮮やかだった。それと対比させるなら、英語は苺か…オレンジか。中身の鮮やかさが、そのまま表出している感じ。

それに、単語ひとつずつにはそれぞれ軸となるイメージがあって、それが膨らんでいく。
treatは“扱う”、だから、「対処する」「もてなす」「治療する」……
pressは“押す”、だから、ex(外)pressで“外に押し出す”=「表現する」、im(=in、中)pressで“中に押し込む”=「印象付ける」……
たった一つのイメージなのに、ここまで膨らませていける。

英語には、鮮やかなカラーと、どこまでも広がっていくイメージがあるんです。
それはまるで海のような、宇宙のような。それに触れた時、気づいた時、その海や宇宙を漂流しているような気持ちになれる。ゆったりとした、開放感。

日本語の繊細な色合いが云々、英語にはそういうのないでしょう云々、と言う人に出会ったことがありました。
“違う”言語だから、当然差異はある。それが面白い。
でも、同じ“言語”だ。優劣をつけるのは間違っている。
英語をよく知りもせずにそう言っているのなら、ただの冒涜でしかない。

そんな感じで、完全に、音と感覚でしか英語を使っていませんでした。今でも割とフィーリングです。あと語彙力がない。
そんな私に立ちはだかったのは、“中学英語”という、まるで牢屋のような空間でした。結構…苦労しました…。

まず、単語が書けない。音でしか覚えてないので、スペルなんて知らないんですよ。幸い、暗記系は得意なので覚えることはできたんですが、テストは毎回スペルミスで点数を落とす始末。100点を取れたのは、マークシート形式の模試だけでした笑

そして、「日本語に訳しなさい」の問題。初めて“言葉の壁”にぶつかりました。多分意味違うけど。英語を英語のままで理解しているので、
My book is on the desk.「私の本は机の上に載っている」
すら日本語にできなかったんです。英語を見てしまうと、スイッチが切り替わってしまって、日本語が出せなくなるんですよね。OS違いで文字化けするというよりも、シャワーとカランから同時に水が出せない、みたいな、そんな感じ。一応◯はもらうけど、日本語が修正されて答案が返ってくることもありました。(高校生の時でしたが、「~しようとしまいと、」と書くべきところで表現が出てこず、「~しようとしなくても」と書き、校正されて返ってきました。しまいと、なんて普段使わなくないですか?笑)

極め付けは、「~詞」という言葉をはじめとした文法用語。
本当はどこまでも広がっていく宇宙なのに、日本語という枠組みの中に無理やり押し込まれてしまって……英語が、とても窮屈そうだった。
今振り返って考えるなら、きちんと説明できる教師に出会えなかったという自分の不運を嘆くしかありません。まあ正直、説明できないなら教師なんてやらないでほしいとも思ってしまうんですが……。
しょうがない部分もあると思うんです。変に情報量が多いと、理解できなくなる生徒さんが多いのも事実です。いや、でもそれも工夫次第で万人に対応できる説明もあるはず……やっぱり自分の不運を嘆くしかないですね笑
(ちなみに私が中学生向けにざっっっっくり説明するとこうなります。)

そんなわけで、所謂“英文法”というものには、苦戦していました。が、ちゃんと勉強したことはなく。
「会話は通じるし、わりとなんとなくでも正解するから別にいっか」
と思っていたフィーリング英語ユーザーでした。

そんな私が、大学在学中はアルバイターとして、卒業後は正社員として、塾講師になってしまいました。フィーリングだけでは、授業ができない……

次回。授業を重ねて見つけた、私にとっての“英語の新しい形”のお話です。
ふらっとこっそり更新すると思いますので、ぜひご覧くださいませ。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
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