いい角


我が家の一角に、1ミリにも満たない小さな小さな蜘蛛が巣を張り住んでいた。

今朝見たらどこかに引っ越して行ったらしく、巣は無人(無蜘蛛)になっていた。

なので巣を撤去し跡地を綺麗に清掃した。

...ということを、ここ数ヶ月、5回は繰り返している。場所はいつもこの同じ一角だ。

前の住人(住蜘蛛)が出ていくと、程なくして新しい住人(住蜘蛛)がやって来て、同じ場所で営巣し始める。この角は、蜘蛛界で人気があるらしい。というかこんなに入れ替わり立ち替わり現れるぐらいうちの中に蜘蛛がいるのに普通にビックリしているのだけど、それは置いておく。

それでこの、蜘蛛が住みたい角として人気を博している我が家の角のことを、蜘蛛界の吉祥寺と呼んでいる。例のランキングにおける吉祥寺の順位は毎年変遷しているみたいだけど、大体の感じで。

その角は日当たりはゼロ、湿度もそこそこ高く、日に何回かは空気の入れ替えがあり、風通しは悪くない。
というか、うろんなワードを出して恐縮だが、その角とはおトイレの角なのだ。
うちには猫がいるが、人間のおトイレには猫は出入りしない。
小さい虫を発見したらジッと見つめておもむろに舐め取ってしまう猫が暮らしている我が家にありながら、猫に襲われる心配のない角であるところも、この角が人気を博す理由かもしれない。

「ここはとってもいい場所ね」と蜘蛛達が口コミを広めているかどうかは分からないけれど、こう何人も(何蜘蛛も)立て続けに暮らすからには、私が毎日手塩にかけて(?)お掃除しているおトイレが、それなりに「いい」と思われているのは間違いあるまいと思っている。少し嬉しい。





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