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アメリカで日本菓子のサブスク

<今日は世界に向けた日本の話題です>

ありがとうダニー・タンさん。
アメリカで日本の菓子を世界に紹介してくれているのですね。

日本のお菓子を詰め込んだ箱をサブスクリプションで販売し、アメリカを中心に人気が拡大中の「Bokksu」。

タンさんが2015年に創業し、これまで世界100カ国で100万箱以上を販売済みです。

■なぜ「日本のお菓子」なのか

ダニー・タンさんは、早稲田大学への留学後、日本の楽天に勤務していた日本通。
日本中を旅行し、その土地でしか食べられない食べ物に触れたそうです。

日本で4年ほど勤めた後、アメリカに帰国。
そこで残念に思ったのが日本で楽しんでいたお菓子が手に入らなくなってしまったこと。

アメリカでも日本のお菓子が手に入らないわけではないけれど「ポッキー」や「ハイチュウ」といった大手メーカーの商品だけ。

タンさんは、小さな家族経営のメーカーが作っているお菓子や地方のお土産品のようなものがほしかった。

そこで、自分で会社を立ち上げ日本のお菓子を詰め込んだ「箱」をサブスクリプションで販売することを始めたわけです。

立ち上げた会社の名前は「Bokksu(ボックス)」。
英語の「Box」を日本人が発音するとカタカナ的な「ボックス」となりますが、そのカタカナを英語にした社名にしています。

いやー日本愛が感じられますね。嬉しい限りです。

Bokksu


■「サブスク」という出会いの場

「Bokksu」は20個ほどのお菓子とお茶のパックを詰め込んだ箱を毎月ユーザーの自宅に届けるサブスクリプション。

アメリカでは手に入りづらいお菓子を中心に大手メーカーの人気商品から地方の名物など、累計1000種類以上の日本のお菓子を取り扱っており、その中から厳選した20個ほどのお菓子がアメリカを中心に世界へ届けられています。

料金は月額49.95ドル(約5700円)で、3、6、12カ月の継続利用プランでは割引が適用されます。

サブスクリプション=サブスクのいいところは、経営的には毎月安定した売上が望めることにありますが、購入する側だと「出会い」にあると私は思います。

ネット通販でお菓子を買う時に、やはり知らない菓子は手を出しにくいですよね。
罰ゲーム的なイベントでもない限り、不味い失敗はしたくありませんから。

けれどもサブスクで届くものだと自分のチョイスではないので、これまで食べたことのないお菓子と「感動の美味しい体験」に出会えます。

口に合わなければ「まあ自分のチョイスではないし」と自分に言い訳できますからね。

まあ、サブスクのベースに日本お菓子が大好きで会社まで起こしてしまった「タンさんの選択なら間違いない」という目利きの要素があるので、まず失敗はないと思いますが、個人の好き、嫌いはありますので。

■背景にアジアブーム

日本のお菓子という「優れた商品」をサブスクという「安定したビジネスモデル」で運営したとしても必ずヒットするわけではありません。

時代背景が重要になってきます。

「Bokksu」の人気を一気に高める原動力となったものに「アジアブーム」があります。

一言でいえば「韓国」のおかげです。(ありがとう!)

BTSを代表としたK-POP、ネットフリックスの韓国ドラマの影響で、アメリカでは今アジアがブーム。
その中で日本については「食」に興味を持たれています。

実際にアメリカでの日本食レストランの市場規模は過去5年の成長率が4.8%に対し2022年だけで6.5%の伸びとなる見込みだそうです。

この流れをとらえてタンさんは、創業を思い立ったわけですね。

■サブスクの課題は継続性

時代背景を捉えて創業したタンさんですが、一過性のトレンドには否定的でもあります。

それが「クールジャパン」。

キャラクターなどを描いたパッケージでなければアメリカ人に売れないとの考えが根強いなか、タンさんは「伝統的なものこそ売れるし、原料や味、パッケージも変える必要はない。長年続けてきたように作ればわかってもらえる」と指摘。

日本のお菓子のサブスクビジネスに参入する競合も増えるなか、他社は日本のアニメキャラクターを起用したり、オタク文化を表す「Weird(奇妙)」「Wacky(奇抜)」といった言葉をマーケティングに使ったりしているが、それでは多くの人になじみのないものになってしまうだけ。

まさに日本のお菓子を愛してやまない目利きの発言ですね。

「日本のお菓子を箱に詰めて定期販売する」という真似しやすいビジネスモデルであるだけに、取り扱う商品と購入者に真摯に向き合い続けることが、継続性が大切なサブスクに欠かせない視点なのですね。

■最後に

なによりビジネスを続けていく本質は、そのビジネスに対する“愛=熱量”なのでしょうね。

タンさんは新しい事業として昨年末、アジアの食料品を販売する北米向けのネットスーパー事業「ボックス・グローサリー」を開始。

アメリカのベンチャーキャピタルなどから資金を調達し、食品専門店「久世福商店」などを展開するサンクゼールと資本業務提携を締結。

まだまだ知られていないジャパンの魅力的な商品(特に地方の)を世界に紹介していただきたいと勝手に思った次第です。

(有馬)

出典:全米を席巻!「日本のお菓子サブスク」成功の秘訣
/東洋経済オンライン


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