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ありのままを大切にするためのカウンセリング コラム20

以前にもしたカール・ロジャーズ先生。来談者中心療法という心理療法を世に知らしめた方です。人間中心療法とかパーソン・センタード・アプローチとも呼ばれます。今ではカウンセリングの基礎的な考え方になり、世界中のカウンセラーがこのアプローチを用いています。

 それまでは、心理療法があり、その方法を用いて治療するという考え方が主流でしたが、人(来談者)を中心に据えた上で適切な心理療法を用いるということにカウンセリングが変化しました。

 来談者中心療法では、人には誰でも自己実現に向かう生得的な傾向が備わっていると考えます。その力を開発したり育てたりするための条件や環境を提供することが、セラピストの役割であるというのです。

 例えば、花の種を果断に植えました。そこに水や肥料を加えていくと種から根っこが生えてきて茎が育ってきて、やがて花が咲きます。花の種自体は、花を咲かせる力をもともと備えています。しかし、時と場合に応じて、水が得られない、日光が当たらない、気温が適切でないなどの状況が生まれます。そこを整えてあげると、本来の種が持っている力が解放されていきます。

 同じように、その人(来談者)が置かれている環境から、その人が本当に育ちやすい環境を整えていく、またはそこで自分らしく生きていく力を育てていくための援助がカウンセリングなのです。

 このアプローチの根底には、二つの信念が必要です。一つは、相手(来談者)には、自己実現に向かう力があると信じること、もう一つは、解決策や正解は相手(来談者)が持っており、こちらが決めるものではないということです。

 花の種の例に戻すと、「この種で咲くかな~」と疑いながらお世話はしません。また、「自分で咲けないなら私が代わりに何とかしてあげよう」とうのもおかしな話なのです。

 そして、大事なのは、その人(来談者)の自己実現した姿は、その人のありのままのを大切にした生き方そのものであるということなのです。ですから、人と比べたり、優劣が付くものではないのです。

 いのちあるものは、身体も心も自分らしく育つように創られています。それがありのままであり、そのことを指示て関わるのが来談者中心療法の中核にあるものと考えています。

 生きづらいというのはありのままの自分ではない何かに認められたいという思いや、そうすべきと縛られているときなのです。そこから解放されていくためにも、出てきた感情をそのまま認めたり、できてもできなくても「この自分で良い」と認めることが重要なのです。

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