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【映画感想】『シン・仮面ライダー』

3/18上映日、近くの映画館の一番早い枠で観てきた。エヴァファン・庵野監督ファンとしては、ネタバレがとにかくこわいので早めに観に行けてよかった。

本作は確かシン・エヴァ上映の1ヶ月後くらいに制作が発表されて「うぉー!!庵野監督、次は仮面ライダーかよ!もう『宇宙戦艦ヤマト』とか『機動戦士ガンダム』とかもぜんぶシン・シリーズとしてリメイクしてれよ!」と大興奮したのを覚えている。

(Wikiで見直したら、2021年4月3日だった。かつて『仮面ライダー』の第1話が放送された日時である4月3日の記念イベントで発表されたとのこと)

当時twitterで「次に庵野監督にシン・シリーズとしてリメイクしほしい作品は?」みたいな大喜利がなされていて前述の『シン・ヤマト』『シン・ガンダム』、あと『シン・ナディア』などゆかりある色んな作品が列挙されているのをよく覚えている。

ちなみにわたしは『シン・ナウシカ』を挙げた。

ところで、わたしの仮面ライダー力はそんなに高くない。平成シリーズもちゃんと追いきったのはクウガくらいで、あとは断片的な知識しかない。令和に至ってはゼロ知識に近い。

むしろ実家にVHSが転がっていた関係で、幼少期は初代とV3のほうがよく観ていた。ただ初代もいわゆる新1号(もちろん当時は全然意識していなかった)からの回しか録画されておらず、旧1号部分は大学時代にちょろっと観直したかな程度。

そんな感じで仮面ライダー力は、かなりふんわり。どちらかというとウルトラマンやゴジラといった巨大特撮もののほうが好きなのだが、『シン・ウルトラマン』と違って今回は監督を庵野さんが務めるということでめちゃくちゃ期待度は高かった。

さて本作はその期待度に対してどうだったのか。

以降は、ネタバレありでつらつらと感想を感想を書いていくので、未鑑賞の方はくれぐれもご注意ください。


**以下、ネタバレしています。ご注意ください**










結論から言うと、なかなか評価が難しい作品だったと思う。おもしろかったんだけど『シン・ウルトラマン』でも感じたシコリと同じものが残った。しかもそのシコリは本作のほうが大きい。

シコリというのは「特撮ファン、仮面ライダーファンじゃない人がこの作品を観ておもしろいのだろうか?」、もっと端的にいえば「これは大衆ウケするのか?」という疑問だ。

石ノ森章太郎原作をリスペクトした演出、理不尽とまでいえる急な場面転換やアップを多用したカメラワーク、突然出てくるショッカーの戦闘員、各種オマージュ。自分はそこまでコアな特撮ファンとはいえないけど、それでも幼少期から昭和の古き良き特撮を浴びてきたほうだと思う。

だからこそ本作に(特に感じたのは場面転換やカメラワークなんだけど)多大に込められた「特撮愛」は多少なり感じることができた。

でも、そこまで特撮慣れしてない人からするとどうなんだろう。身も蓋もない言い方をすれば「なんか雑だな」と捉えられたりしないだろうか、と感じてしまう。

『シン・ウルトラマン』のときもそうだった。原作の空気感を出すために色々こだわってるのがわかるのだが、「現代でそこを忠実に守ろうとしたゆえになんだかチープにみえん?」みたいな危うさがあった気がする。本作はその危うさがとくに顕著だったように思えた。

『シン・ゴジラ』のときはそういう危惧がまったくなかった。あの作品はゴジラを知ろうが知らまいが、手放しで誰にでもおすすめできる作品だった。

原作の設定を踏襲しながらもリアルさに説得力をもたせ、もちろんフィクションなんだけど、そこにはなぜか納得感があった『シン・ゴジラ』。まさに「昇華」を感じた、衝撃的な作品だった。

自分はシン・シリーズにはすべてあの衝撃を求めすぎていたのかも知れない。

まだ『シン・仮面ライダー』は1回しか観てないのでなんともだけど、現時点での自分のシン・シリーズの評価序列は以下だ。これが今後年月を経てどう変わるだろうか。

シン・ゴジラ≒シン・エヴァンゲリオン(※)>>シン・ウルトラマン>シン・仮面ライダー
※ただし、シン・エヴァは思い出補正等が多分に含まれる

ネガティブっぽい評価から書いたが、もちろん良かった点もたくさんある。

まず何より「画」が美しい。これはもう予告のときからヒシヒシとよさが伝わってきてた。

最近自覚したのだが、自分は庵野監督のカット割り(という表現が正しいのかわからないけど)が大好物なんだと。

『シン・ウルトラマン』では、庵野監督は撮影にノータッチだったらしいがやっぱり『シン・ゴジラ』のときに感じられた精密な画へのこだわりは感じられず物足りなかったんですよね。

その点、本作はいたるところに静止画として止めたくなるようなカットがいっぱい。

以前、シン・エヴァ上映後に庵野監督と宇多田ヒカルさんがInstagramで対談されていたときに庵野監督が「カットさえよければ、どうとでもなる」的なことをおっしゃってて、思い返せばエヴァのTV版のときから「止め絵でもかっこいい」みたいなのは無意識に感じていたのかも知れない。

今回もその庵野さんの力が存分に発揮されていたと思う。

もひとつはキャストがよかった。浜辺美波さんはもちろん最高にお美しかったが、一番うれしかったのは竹野内豊さんの政府の男。

わたしは『シン・ゴジラ』の赤坂補佐官が大好きなので、『シン・ウルトラマン』につづいて、似た位置づけのキャラクターを竹野内さんが演じてくれたのは大興奮だった。

このままシン・シリーズではお約束のように登場してくれるとうれしいなぁ。

そんな感じの『シン・仮面ライダー』。世間では早くも賛否両論な雰囲気はあるし、そうだろうなと思う。

わたし自身もシン・シリーズの序列では一番下にしてしまったけど、それでも大前提でおもしろいのは間違いない。

感想まとめてたら無性にもう一回行きたくなったなぁ。




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