背景、無色の君へ(星乃企画)
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久しぶりに芝居を見た。その前に下北沢の変わりようにびっくりした。駅を出ると、どこに来たのか分からないほど変わっていた。地図で本多劇場を確認して、周りを見回し、マクドナルドとかいくつか以前と同じ店があるのを見つけて安心し、少し歩いたところでパチンコ屋さんが閉まっているのを見つけて肩を落とした。芝居を見に行く下北沢でパチンコをしようと思うことはかつてなかったが、何年か前ににぎやかすぎる下北沢の雑踏から逃げるように入ってみたら、静かに過ごせるパチンコ屋という、不思議な空間があった。パチンコ屋はたいてい光がチカチカしてて大音響がジャカジャカしてて、うるさくいのが魅力的なのに、ここは台こそ今のものだが、店の雰囲気が昭和で、そして何よりお客さんが少なくて、外の喧騒を忘れることができる空間だった。パチンコ屋で静けさを感じられる店なんて、ちょっとない。そんな店がなくなったのはたいへん惜しまれる。
芝居は会話のオムニバス、漫才のような会話がおもしろい。特にセリフに含まれるたとえ話が魅力的だった。会社の朝会とかお寺の法話とかで借用したら、けっこう受けるのではないかと思い、メモしようと思ったが、ペンを取り出した時には話題が移ってて、メモできなかった。とほほ
ストーリーは、主人公の芸人がコンビ解散に至る経緯を、取材に答える中でたどるというもの。時間・空間がクロスして、適度なナゾを残しながら話が進んでいき、伏線を回収していく。
あえてダメを出すなら、冒頭が退屈だったことと、登場人物の思考レベルが同一で、話がかみ合う一方、突拍子もない展開がないことくらいか。
アフタートークで、名前にビートルズ要素を持ち込んで遊んだとの話があった。アルバム「リボルバー」をもじって作ったコンビ名は、二丁拳銃とかマシンガンズとか実在の芸人をもじったのかと思ったら違ってた。
そんな端々までいろんな思いを込めて練り上げて、下手をすると分かりにくくなりかねない時の転換もうまいこと処理してて、こんな台本を作った人が、観客はもちろん、役者よりも演出家よりも、誰より一番この芝居を楽しんだのに違いないと思えた。
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