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 悩み好転!『禅語の智慧』の物語 No.66

【飛躍編】

2024年5月11日(土)

悩み事:受験に失敗したことによる将来への不安

目次
1、あらすじ
2、禅語「無可無不可」(かもなくふかもなし)の解説

物語のタイトル:収穫の季節、心の収穫
1、序章
2、農業への復帰
3、「無可無不可」との出会い
4、華の到来と影響
5、新たな認識
6、華の成長と告白
7、選択
8、新たな始まり
9、コミュニティとの絆
10、未来への展望
11、悟の心の成長
12、まとめ
13、ごあいさつ

1、あらすじ
悟は大学受験に失敗し、故郷の農村に戻ることになった。家業の農業に専念しながら、自分の進路について悩む日々。そんな中、悟は「無可無不可」という禅語の教えと出会い、新たな視点を得る。農学部卒の研修生・華の到来は彼の人生に新しい風を吹き込む。二人の交流を通じて、悟は自分と向き合い、未来に向かって一歩を踏み出す勇気を見つける物語です。

2、禅語「無可無不可」(かもなくふかもなし)の解説
禅語「無可無不可」は、「何も許可されていないわけではなく、何も許可されていないわけでもない」という意味です。この言葉は、事物を固定観念にとらわれず柔軟に捉え、現状をそのまま受け入れることの重要性を教えています。心が開けば、すべての事象は自身の心次第でどのようにも受け止めることができるという禅の智慧を表しています。

物語のタイトル:収穫の季節、心の収穫

1、序章
悟は22歳の若者で、農学部への夢を抱きながらも、現実は彼の期待を裏切った。大学受験の結果は彼の希望に反して不合格だった。彼の故郷である静かな村への帰路では、窓外に広がる田園風景が以前とは異なり、彼にとってはただの背景に過ぎなくなっていた。電車が駅に近づくにつれ、彼の心境はさらに重く沈んでいった。家族の期待を背負い、大学進学という目標に向かって何年も努力してきたのに、その全てが無に帰してしまったのだ。

彼の母は駅で待っていて、息子の帰りを優しい笑顔で迎えたが、悟の表情は曇っていた。家路の途中、彼は母に結果を告げた。母は「大丈夫よ、何かしら意味があるわ。時間がすべてを教えてくれるから」と慰めた。家に到着すると、父も同じように悟を励まし、彼に家業である農業を手伝うことを提案した。彼らは悟がいつかまた夢に向かって進むことを期待しながら、今は家族として支え合う時だと感じていた。

2、農業への復帰
家に戻って最初の数週間、悟は自分の部屋に閉じこもりがちだったが、徐々に畑を耕す父の姿を窓から眺めることが増えた。ある朝、父が悟を畑に誘い、二人で土を耕し始めた。父は「農業も人生も、天候に左右されるものだが、受け入れて最善を尽くすしかない」と語った。この言葉が悟の心に響き、彼は農業の仕事に真剣に取り組むようになった。

季節は春から夏へと移り変わり、悟は種まき、水やり、草取りといった日々の作業に没頭するようになる。農業は彼にとって、失敗から立ち直るプロセスの一部となり、自然との対話を通じて内面の平穏を取り戻していった。彼は作物が成長する過程を通じて、自分自身も成長していることを実感し始めた。毎日の労働が彼に自信を与え、失敗に対する恐れを少しずつ克服していく手助けとなった。

村の他の農家との交流も増え、彼は地域の農業コミュニティの一員として認められるようになる。彼らは悟を温かく受け入れ、農業の技術だけでなく、人生の智慧も共有してくれた。悟は特に老農家から多くを学び、彼らがどのようにして困難な時期を乗り越えてきたかの話に耳を傾けた。

3、「無可無不可」との出会い
秋が深まり、悟は村の周辺を散策することにした。彼の足は自然と村の外れにある古びた寺へと向かった。寺の庭は落ち葉で覆われ、静寂が包む中、悟は寺の本堂の扉をそっと開けた。中には円明という名の老僧が坐禅を組んでおり、悟の気配を感じ取るとゆっくりと目を開けた。

「何か心に重荷を抱えているようだね」と老僧は言った。悟は自分の状況を話し、未来への不安を吐露した。円明は静かに聞き、ふと微笑みながら「無可無不可」(かもなくふかもなし)という禅語を口にした。悟は戸惑ったが、円明はさらに説明を加えた。「全ては心の持ちようだ。物事に固執せず、流れに身を任せるのだ。何も許されていないわけではなく、また何も許されていないわけでもない。心が開けば、全てが通じる道となる。」

この出会いが悟の心に新たな光を与えた。彼は自分の内面と向き合い、物事を柔軟に捉えることの重要性を学び始めた。円明の教えは次第に彼の日常に浸透し、農業における苦労や喜びも新たな視点で捉えるようになった。

4、華の到来と影響
春の訪れとともに、華が悟の家族の農場で研修生として働き始めることになった。彼女は明るく積極的で、農学部を卒業したばかりの知識を活かして、悟の家の農業技術に新しい風を吹き込んだ。彼女の専門は種子改良で、特に持続可能な農業方法に関心を持っていた。

華の到来は、悟にとっても大きな刺激となった。彼女の熱意と専門知識は悟に新たな学びの機会を提供し、二人は多くの時間を共に過ごすうちに、互いに刺激を受け合う関係へと発展した。華は悟の家族にもすぐに受け入れられ、彼女の明るい性格が家の雰囲気を一新させた。

特に、華が提案する新しい種子のテストや、土壌改善の方法は悟の家族にも好評で、彼女の実践的なアプローチは農場の生産性を向上させる効果をもたらした。彼女の存在が悟の日常にもたらした変化は計り知れず、悟は自分自身の中で感じていた「無可無不可」の精神をさらに深く理解することとなった。

5、新たな認識
悟は、自然のリズムと調和して生きることの重要性を徐々に理解し始めました。春の終わりに近づくにつれ、彼は農作業の一環として土と植物との対話を深め、農業が単なる作物の生産以上のものであることを学びました。円明から学んだ「無可無不可」の教えは、悟の日々の選択に深く根ざし始めていました。例えば、突然の天候の変化が作物に影響を与えたとしても、悟はそれを受け入れ、可能な限りの対応を考えるようになりました。彼は、自然の挑戦に対する対応は、心の準備と受け入れが鍵であると理解しました。

この変化は、悟が農業コミュニティ内でリーダーシップを取る機会を増やすことにもつながりました。彼は地域の農業会議で話すようになり、他の農家に対しても積極的にアドバイスを提供するようになりました。彼の経験と円明からの学びは、彼の新しいアイデアと方法はコミュニティに貢献する原動力となりました。

6、華の成長と告白
華は農場での経験を通じて、実際に手を動かすことの価値と、理論だけでは得られない知識の深さを理解しました。種子改良に関する彼女の専門知識は、実際の農作業と組み合わさることで、より実用的な形で発展しました。彼女は、特に地元の気候に適応した新種の開発で顕著な成果を上げ、その成功は地域の農業展示会で認められました。

華は、悟と過ごした時間から多くを学び、彼に対して強い尊敬と感謝の感情を抱くようになりました。彼女はこれらの感情が、ただの友情以上のものであることに気づき始めていました。秋が深まるある夜、悟と二人きりで過ごしていたとき、華は勇気を出して自分の気持ちを打ち明けました。彼女の告白は悟にとって予想外でしたが、彼もまた彼女と過ごすうちに芽生えた感情を自覚し始めていたため、喜んで彼女の気持ちを受け入れました。

この新たな関係は、二人の人生に新たな展開をもたらし、それぞれの未来に大きな希望と展望を与えました。彼らはお互いに支え合いながら、個々の夢と目標に向かって一緒に進む決意を固めました。

7、選択
秋の収穫が終わりに近づく頃、悟と華は互いに向かって歩む道を固めていきました。彼らの関係は、ただの同僚以上のものへと深まり、共に生きることの意味と喜びを見出していました。華の種子改良の仕事は、彼女が外部の企業に勤めるか、悟の農場で実地に応用するかという選択を迫られましたが、彼女は悟との未来を選び、共同で持続可能な農業を目指すことにしました。

8、新たな始まり
悟は華の決断に心から感謝し、二人で新しい農業プロジェクトを計画することになりました。これには、地域の農家を巻き込んだ持続可能な農法の普及、特に若い世代に農業の魅力を伝える教育プログラムの開発が含まれていました。彼らの計画は地域社会からも支持され、多くの農家がこれに参加を表明しました。

9、コミュニティとの絆
悟と華の結婚式は地元の神社で行われ、小さな村の大きな祭事となりました。式には村中の人々が集まり、二人の新たな門出を祝いました。この日、悟は深く感謝の意を表し、これからも地域とともに歩んでいくことを誓いました。彼はまた、円明から教わった「無可無不可」の教えを思い出し、どんな未来が待ち受けていても、それを受け入れ、最善を尽くすことを心に誓いました。

10、未来への展望
結婚式の後、悟と華は地域の子どもたちを対象にした農業教室を開始しました。彼らは子どもたちに種まきや植物の育て方を教え、自然の循環と生態系の大切さを伝えることで、次世代に農業の価値を伝承していくことを目指しました。華の専門知識を活かし、改良された種子を使っての実験も子どもたちに大いに興味を持ってもらえました。

11、悟の心の成長
物語の最後に、悟は自分の農場を見渡しながら、これまでの人生を振り返ります。かつては未来に対して不安と恐れを感じていた彼も、今では自信と希望を持ってそれを見つめることができました。華とともに新しい挑戦に取り組む彼の心は、どんな困難も乗り越えていく力を得ていました。そして彼は知っていました、人生のすべての経験が、彼を今のこの場所へと導いたことを。

12、まとめ
悟は大学受験に失敗後、故郷の農業に戻る。禅の教え「無可無不可」に出会い、心の持ち方を学び始める。研修生華の到来で新たな風が吹き、二人の交流から多くを学ぶ。悟は自分の道を見つけ、華とともに新しい生活を歩む決意を固める。禅の教えを胸に、彼らは地域社会と共に持続可能な農業を目指すことを誓いました。

13、ごあいさつ
読者の皆様へ、この物語を通じて、どんな状況も心の持ちようで変わることができるというメッセージをお伝えしたいと思いました。悟と華の物語が、皆さんの日常に新たな視点をもたらし、どんな困難も乗り越える勇気を与えることができれば幸いです。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

14、柔海 剛山(じゅうかいごうざん)の『禅語の俳句』
    禅語の「無可無不可」(かもなくふかもなし)に関する俳句

                                  雲の流れ 有りも無しも同じ 青い空

「雲の流れ 有りも無しも同じ 青い空」の俳句の解説
この俳句は禅の教えを反映させ、心に静かな余韻を残すことを願っています。

の流れ:雲は風によって流れ、変化する。物事は常に移り変わることを示しています。

有りも無しも同じ:有りも無しも同じく大切であり、受け入れる姿勢を表現しています。

青い空:青い空は美しく、無限の広がりを持つ。有りも無しも同じく美しいという視点を示しています。

2024年5月11日(土)
柔海 剛山   

【追記】
当サイトは個人的な見解や意見に基づいたものでは一切ありません。
多様な文献や資料、そしてインターネット上の情報源を参考にして、可能な限り柔軟かつ包括的な観点から、情報を物語化して提供することを目的としています。

『柔海 剛山流(じゅうかいごうざんりゅう)あるがままの俳句』とは
『柔海剛山流 あるがままの俳句』は、「あるがまま」という表現を核に持ち、曹洞宗の開祖である道元禅師が提唱した生き方の哲学からインスピレーションを受けています。この哲学は、物事をそのままの姿、自然な状態で受け入れ、現実を直視することの重要性を強調しています。この禅の教えに基づき、私の自由律俳句では自然体でありのままの感覚や感情を詩に昇華させるために「あるがままの俳句」という名前を採用しています。

伝統的な俳句は文字数や季語などの厳密なルールによって特徴づけられますが、現代ではこれらのルールに拘束されない形式の俳句も存在します。この形式は「自由律俳句」と呼ばれ、従来の5-7-5の音節制限や季語の必須性を除外した形式です

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